60. 基礎型の間欠性外斜視は,両眼融像を維持したまま近見固視した時の調節負荷の変化が正常対照者よりも大きい。

Clinical exhibition of increased accommodative loads for binocular fusion in patients with basic intermittent exotropia

Ha SG, Jang SM, Cho YA, Kim SH, Song JS, Suh YW. BMC Ophthalmol. 2016 Jun 7;16:77. doi: 10.1186/s12886-016-0260-y. PMID: 27266700; PMCID: PMC4896026.

背景:間欠性外斜視(IXT)患者において,両眼融像を維持するために必要な調節負荷の変化を調べること。

方法:基礎型IXT患者17名と正常対照者15名を対象とした。オートレフラクターWAM-5500(GrandSeiko, Fukuyama, Japan)を用いて,6m,50cm,33cm,20cmで両眼視と単眼視の条件の屈折誤差(D)を測定した。各距離における両眼視と単眼視の屈折誤差(D)の差は,調節負荷の変化と定義した。調節負荷の変化は,IXT患者と対照者の間で比較された。また,IXT患者における固定眼に応じた調節負荷の違いについても検討した。

結果:IXT患者において,平均偏位量は6mで20.2±7.19,33cmで21.0±8.02Δであった。両眼視下において,IXT患者の各眼の調節負荷の変化は,50cm,33cm,20cmにおいて,正常対照者よりも有意に大きかった(p < 0.05, all)。6m地点での固視眼と偏位眼の調節力の変化はIXT患者と対照者の間に有意差はなかった(それぞれp = 0.193, 0.155)。IXT患者において,各距離における固視眼の調節負荷の変化は偏位眼と有意な差はなかった(p>0.05)。

結論:IXT患者では,両眼融像を維持したまま近見固視した時の調節負荷の変化が正常対照者よりも大きい。

※コメント
間欠性外斜視では,両眼融像をして近見視をする時は正常被験者よりも調節が惹起されているとの事。輻湊性調節との考察ですが,本研究で示された値としては0.97D。このことから,間欠性外斜視患者が早く近視を発症および進行するという仮説を支持する要因の 1 つになり得るとのことです。理屈的には理解できますが,臨床感覚的にはなかなかマッチしないか?と思いました。

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