251. 小児期の基礎型間欠性外斜視に対する両眼外直筋後転術と片眼前後転術の8年間の成績

8-Year Outcomes of Bilateral Lateral Rectus Recessions versus Unilateral Recess-Resect in Childhood Basic-Type Intermittent Exotropia

Pediatric Eye Disease Investigator Group; Donahue SP, Chandler DL, Wu R, Marsh JD, Law C, Areaux RG Jr, Ghasia FF, Li Z, Kraker RT, Cotter SA, Holmes JM; Pediatric Eye Disease Investigator Group. Ophthalmology. 2023 Sep 9:S0161-6420(23)00630-9. doi: 10.1016/j.ophtha.2023.09.004. Epub ahead of print. PMID: 37696452.


目的:小児間欠性外斜視(intermittent exotropia:IXT)に対する両眼外直筋後転術(bilateral lateral rectus muscle recessions:BLRc)と片眼前後転術(recess-resect:R&R)を比較したランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)の8年間の成績を報告すること。

デザイン: RCTコホートの8年追跡調査
参加者:無作為化された197人のうち123人が、3年後の結果観察後も追跡調査を継続することに同意した(ベースライン年齢 3~11歳未満、prism and alternate cover test(PACT)による基礎型IXT 15~40⊿、ベースライン立体視400秒以上、手術歴なし)。
方法:3年後のRCT主要アウトカムに続き、4年から8年まで毎年追跡調査を行い、治験責任医師の裁量で治療を行った。

主要評価項目:ランダム化から8年後までの外科的転帰は、いずれの来院時においても以下のいずれかと定義された:遠見または近見での同時プリズムカバーテスト(simultaneous prism cover test:SPCT)による外斜視が10⊿以上、遠見または近見でのSPCTによる恒常性内斜視(ET)が6⊿以上、ベースラインから0.6 log arcsec以上の近見立体視の低下、または再手術。副次的転帰として、1)8年後までに再手術を行う、2)8年後に完全またはほぼ完全に消失している:遠見および近見でのSPCTおよびPACTによる外斜偏位が10⊿未満、遠見および近見でのPACTがベースラインから10⊿以上減少している、遠見および近見でのETが6⊿未満、ベースラインから0.6 log arcsec以上立体視が低下していない、再手術またはIXTに対する非外科的治療を行っていない。

結果:8年後までのKaplan-Meier累積確率は、BLRcで68%(リスク101例中55例)、R&Rで53%(リスク96例中42例)であった(差=15%、95%CI:-2%~32%、P=0.08)。8年後の完全またはほぼ完全な消失は、BLRcでは14%(6/42例)、R&Rでは37%(16/43例)で発生した(差=-22%、95%CI:-44%~-0.1%、P=0.049)。再手術の累積確率はBLRcで30%、R&Rで11%であった(差=19%、95%CI=2%~36%、P=0.049)。

結論:主要転帰において有意差は認められなかったものの、95%信頼区間ではR&Rの中等度の有益性は否定されなかった。このことは、副次的転帰と合わせて、われわれの手術用量を用いた基礎型小児IXTの場合、片眼R&R後に通常のケアを行う方が、BLRc後に通常のケアを行うよりも長期的転帰が良好である可能性を示唆している。

※コメント
PEDIGからの報告です。
偏位の測定になぜSPCTを使用しているのかはよくわかりません。
R&Rの方が予後が良くないという報告に反旗を翻すことのできる報告の1つにはなるかもしれません。
問題点としては、多施設ならではかもしれませんが、症例への治療方針が責任医師の裁量で決められてしまっていることです。PEDIGで指摘される点の1つであると個人的に思っています。

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