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自慢の弟は一番最後

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#井上和

自慢の弟は一番最後 13話

自慢の弟は一番最後 13話

『146』

育成ドラフトで拾ってもらってからつけてきたこの背番号

特守で泥が染みたユニフォーム
これを着てきた期間は短かったけど、すごく名残惜しくなった

○○:...ありがとうございました

ロッカーにユニフォームを掲げ、深々と頭を下げる

~~~~~~~

強化部:〇〇、ちょっといいか?

〇〇:...はいっ!

強化部:部長から話があるから、あそこの会議室へ行ってくれ

○○:わかりまし

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自慢の弟は一番最後 14話

自慢の弟は一番最後 14話

支配下登録になって以降...

カキーーン

○○:しゃあ!!

2軍での試合が主戦場となっている○○は5試合連続マルチ安打と絶好調

守備もセカンドだけでなく、ライト、レフト、サードといろんなポジションをそつなくこなし、さらに評価を上げていた

そのアピールの甲斐あって...

ピロリン

○○L:次のロッテ戦、1軍登録になった!

和:....よしっ!!
ついにきたっ!

○○が火曜日から始

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自慢の弟は一番最後 15話

自慢の弟は一番最後 15話

ピピピ ピピピ

○○:...ん

1軍に昇格して初めての試合を迎える
そんな素晴らしい朝

...となるはずだったのだが...

○○:...はぁ....

頭によぎるのは、悲しい顔で真実を告げる本当の姉の姿と...

○○:...あれが夢であったらよかったのに...

自身を一番近くで応援してくれていた姉、和の悲しい顔

○○:...なんで....今、なんだよ...

やり場のない

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自慢の弟は一番最後 16話

自慢の弟は一番最後 16話

"カキーーーン!"

○○の1軍初の打席

打った瞬間に白球は綺麗な放物線を描いて飛んで行く

ポタッ ポタッ

あれ...おかしいな...
なんで水滴が...
今日は快晴のはずなのに...

自分が泣いていると気がついた時には、座席に座り込んでしまいグラウンドを見れなかった

塁を回っている時、頭には和のことしかなかった

走馬灯じゃないけど、和との思い出も頭に流れてきて

小さい頃には..

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自慢の弟は一番最後 17話

自慢の弟は一番最後 17話

色々あった1軍デビュー戦を終え...

和:○○~♪

ギュ

○○:和~、暑っついって笑

和:だって久々に一緒に居れるんだもん...

○○が支配下登録され、1軍に召集されて以降...
ずっと福岡に居ないこともあるため、寮を退寮し久しぶりの和と2人暮らしが始まっていた

ちょうどオリンピック期間が被っていたこともあり、公式戦が行われない中断期間があったことで引っ越しはスムーズに進み...

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自慢の弟は一番最後 18話

自慢の弟は一番最後 18話

あやめはあのあとTV出演があるからと行ってしまった

一人ブルペン室に残された俺

"異性として意識しないの?"

あやめから言われた一言
ずーっと頭の中で反響している

意識してないわけないじゃないか
今までの人生で一番関わってきた異性だぞ

俺が今まで野球を頑張れてきたのは、和がいたから
でも姉だから、血の繋がった家族だから...

そう思ってきたのに...

パンパン
○○:...今は切

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自慢の弟は一番最後 19話

自慢の弟は一番最後 19話

ついに始まる野球界の祭典
セリーグが先攻の為、スタメンは全員名前を呼ばれて守備に付く

MC:6番 サード 井上○○!

『うわぁぁぁ!!』

...歓声がおきた
それだけで少しだけ安心する

自分の時だけ歓声がおきなかったら、悲しいもん...

『井上選手!サインください!』

抽選で選ばれた子供たちの持ってきたものにサインをしていく

○○:はいっ!

子供:ありがとっ!
ボクも野球頑張る!

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自慢の弟は一番最後 20話

自慢の弟は一番最後 20話

『わぁぁぁ!』

自分の打球によって湧くバンテリンドーム

塁上でプロ野球選手としての幸せを嚙みしめる

そして...
なおも続くチャンス
ノーアウト2塁の場面

バッターは源田さん
内野の守備位置は定位置

岩崎さんの癖は、長岡選手に少しだけ教えてもらったし...
狙ってみるか...

岩崎さんがセットポジションに入る...
こっちの様子は...見てないっ!
行けるっ!

ダッ!

『走った!

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自慢の弟は一番最後 21話

自慢の弟は一番最後 21話

あやめとさくらさんが帰った後...

咲月:ほら、行こ?

和:...もういないんだよね?

咲月:いないよ笑

○○:...何してるの?笑

関係者入り口の近くでうろうろしていた2人

咲月:あっ、○○君
MVPおめでとう!

○○:あ、ありがとうございます!

咲月:しっかり見てたよ

○○:嬉しいです!

咲月ちゃん…実の姉をちゃん付けで呼んでいいのかわからないけど…
未だに緊張してしまって

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自慢の弟は一番最後 22話

自慢の弟は一番最後 22話

迎えたオリックスとの3連戦

舞台は大阪・京セラドーム

○○:ふぅ...

アウェイということもあるのか...
少しだけ息が詰まるような感覚を覚える

1軍でオリックスさんとは何度も当たっているのに...
それでも現在首位のチーム

勝ちが続く場所って言うのは、
選手、ファンにとって、最高の環境であり、相手からすると一番嫌な場所となる

それに….
プレッシャーもかかる
応援の声もホームの方がで

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自慢の弟は一番最後 23話

自慢の弟は一番最後 23話

5回表終了時 オ1ー1ソ

同点に追いついた後の5回裏

オリックスの打順は、7番の紅林選手

武田:ふぅ....

ビュ

カキーーン

和:くっ....
ツーベースヒット....

今まで好投を続けていた武田さん
だけど、5回に入ってから少しストライクとボールがはっきりわかるようになっていた

そして8番の若月さんにはフォアボール
0アウトの状況で、ランナーが1塁2塁

9番の安達選手はバン

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自慢の弟は一番最後 24話

自慢の弟は一番最後 24話

試合は6回表、3-1でオリックスがリードしている

○○がロッカーで気持ちを切り替えている中....

「なんでまだ、井上使うんだよ」

「何か武器があるわけでもないのにね」

「監督も監督だよな」

「そうだよ、あの無能な髭笑」

応援団から少し離れたところに座っているため、
静かに試合を観ているホークスファンから聞こえてくる言葉の数々...

史上最速で育成の一番下から支配下に登録された○○

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自慢の弟は一番最後 26話

自慢の弟は一番最後 26話

和:私....

"野球が....嫌いになっちゃった...かも..."

○○:えっ...

衝撃だった...

あれだけいっしょにやってきて...
マネージャーとしても支えてくれていた和の口から...

野球を、嫌いになったかも...

なんて言葉が出てくるなんて思ってもなかった...

だが、和がここまでになるには何かあったはずだ

○○:...どうして?

和:....なんか...わかんない

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