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ビジネスアイデアの市場規模

ビジネスアイデアを事業計画に落とし込み、自分たちのアイデアをピッチする時、いつも悩ましいのが、市場規模の説明の仕方です。スタートアップとしては自分たちがターゲットする市場は大きい、そしてまだまだ成長する市場と言いたいのですが、本当にそうなのか自問自答してしまうことが多々あります。

結論から言うと、私のビジネスアイデアはスモールビジネスであり、スタートアップでないので、市場規模を大きく見せる必要がなく、別の戦略を示すべきであったと言う話をこれからしたいと思います。

先日、ある有名な投資家の話を聞いて、自分の考え方を整理することができました。
彼曰く、「自分たちのビジネスは、スモールビジネスなのか、スタートアップなのかを考えましょう。スモールビジネスがダメだとか、スタートアップでなければならないと考える必要はない」と説明されました。
なぜなら、スモールビジネスであれば自己資金や銀行からの借入で事業を動かし、確実に利益を上げることができるモデルを描くことに専念すれば良いるからです。銀行からの融資は、それまでの実績が大きく左右するので、きっちりと事業を回して積み上げていくことが大事だからです。
一方、スタートアップは事業の立ち上げ期、一時的にマイナスの期間があり、その期間を外部資金等で賄う必要があり、その後急激にJカーブを描いた成長モデルにしていかなければならないため、アイデアと時間の勝負になります。
つまり、自分が描くビジネスモデルがどちらに該当するかを自分で理解していないと、投資家や外部の協力者に協力をお願いする内容が的確でないため、お互い時間をロスしてしまうことになります。

自分ごとでは
現在、私が進めている「パパもケアする助産師」は外部の資本を必要とせずに立ち上げることができそうで、投資家に協力を要請する必要がないモデルなので、スモールビジネスです。確かに、事業モデルは地味に感じますが、課題を解決するアイデアとしては斬新性があると考えているので、スモールビジネスであるけど、イノベーティブだと考えています。

自分のビジネスアイデアがスモールビジネスと認めたら、少し気分が楽になりました。

ただイノベーティブな市場、つまりこれまでにカテゴリーとして存在しない市場についてどのように表現するかという課題が残っています。

このような時に用いられることが多いTAM(Total Addressable Market)、SAM(Serviceable Available Market)、SOM(Serviceable Obtainable Market)という考え方です。

TAMとは想定される市場の最大規模を表現し、SAMはTAMのうちサービスでアプローチし得る市場規模で、SOMは自社のサービスでどれくらいアプローチできるかを表す市場規模になります。

例えば、産前産後ケアという市場を見た時、
TAMは、保育サービス市場全体と見た時、1.8兆円となります。この中には保育所や教育、家事代行などのサービスも含まれます。
SAMは、内閣府が産前産後ケアを目的とした予算を自治体向けに299億円あり、これ以外の民間サービス等を合わせると、400-500億円の市場規模となるかと推測できます。
SOMは、私たちが提供しようとする「パパもケアする助産師」がセミナーや個別相談に対応するサービスでアプローチできる市場規模は5億円くらいかと想定されます。

SOMに対する考察
自分たちが新規参入する市場が競合が多い市場であれば、SOMで示す市場規模を確保する難易度が高まりますが、競合が少ない市場であれば、SOMで示す市場規模を確保することは戦略次第というようになります。確かに、スタートアップで5億円の市場規模と説明されたら、投資家もリターンが小さい市場に見え、投資先と選ばないのは明確です。しかし、競合が少ない市場で、粗利率が50%となるビジネスモデルではかなりビジネスとして旨味のある市場というようにも考えることができます。

スモールビジネスとスタートアップ共存モデルもある
ビジネスモデルは市場感環境の変化に応じて、変化するものであるので、スモールビジネスをしながら、次の戦略としてスタートアップへ変化してもいいのです。ただし、その時は異なる思考法でビジネスモデルを考え、実行する必要があるため、それを意識した動きが求められます。

まだ私自身はビジネスをスタートする前段階で、ビジネスアイデアであるため、最初のビジネスアイデアをビジネスにすることに注力する必要があり、それをスモールビジネスとして確実に成功させていくことに注力する必要があります。ただ中長期的な視点でビジネスアイデアに対して研究活動を進めているものもあり、これはスモールビジネスとスタートアップの違いを意識しながら、ビジネスモデルの検討は継続していきたいと思います。


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