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この本いいよ!vol.4〜当年78歳(!)今日も夜勤で施設見回ります

『障害者支援員もやもや日記』著者:松本孝夫
発行:三五館シンシャ
発売:フォレスト出版

日記シリーズでベストセラーを連発している三五館シンシャから、また話題の新刊が発行されました。

このシリーズの中でも、一推しです。
こちらを読んで初めて知る、障害者施設で暮らしている人たちの生活、心の中、支援する人たちの仕事や、思い。これほど正直に、優しい眼差しで書かれたものは他に見つからないから。

今度は異例の『障害者施設』で非常勤で働く78歳(!)の支援員のお話。
読んでいると辛くなるようなハプニングが続出 
それなのに読み終えると、名画を観た後のようなさわやかな読後感。

この本にはみんなが何となく避けていた本当の(著者いわく『きれいごとの通用しない』)事がきちんと書かれているから、胸を打つんだ。

著者は利用者に対して『感情的に怒らない』を一貫して実行している。字にすると8文字。これは、ものすごい事だと思う。

暴力を振るわれる事は日常。
普通なら手を上げてしまいたくなるような状況でも、著者自身の人生経験と叡智とを(非常勤でも参加できる研修で)精神科医から得た知識も総動員して一人一人の入所者の行動原理を深く考える。

感情を表現できず大暴れする利用者に、文字で表現することを教えると、次第に落ち着いていく。彼が一生懸命書いた、たった3文の短い手紙を見て涙が止まらなかった。

母親が、彼を産んでからずっと今まで周りからの偏見に苦しんだ話を支援員にした章では『障害』って本人が『障害』者なんじゃなくて、それ以外の人達が作り出しているものなんじゃないのか、と思った。

どの年代のどんな人にも読んでほしい。
今年一番におすすめしたい本です。

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