「ニューバランス 和紙製 シューズボックス2」
こんにちは、現場の前田です。
今回ご紹介するのは、グラフィックデザイナー / 美術家 Nerhol としても活動されている田中 義久さまと TOKYO DESIGN STUDIO さまとのアップサイクルをテーマとした共同研究による、第2回目となるインスタレーションで展示されるシューズボックスです。
こちらの展示は東京・日本橋浜町にある T-HOUSE New Balance で2021年7月9日(金)から8月10日(火)まで開催されております。
第1回目は2020年 年末
光栄なことに、第2回目となる今回もシューズボックスの製作にお声がけいただきました。製作チームも前回に引き続き、有限会社篠原紙工の篠原 慶丞さま・かようびデザイン室の青木 佳代さま、そしてコスモテックからは青木と私 前田で製作に当たりました。
シューズボックスに使用されている独特な和紙は、 New Balance の商品を生産・販売していくなかで排出される端材や廃材を和紙に漉き込んでおります。こちらは徳島にある和紙工房 アワガミファクトリーさまで製作されています。
“Untitled (Japanese ShoeboxⅡ#126‒285)” , 2021 © Gottingham
Image courtesy of Yoshihisa Tanaka and Studio Xxingham
和紙と和紙を合わせる
今回のシューズボックスは 「 機械漉き和紙 」 をダンボールに貼り合わせた素材( 以下 「 ダンボール和紙 」 と記載 )で作られており、ロゴマークや New Balance の文字部分には 「 手漉き和紙 」 を使用し、後者を前者へスタンピング加工で埋め込み、2つの素材を一体化させて仕上げています。
「 機械漉き和紙 」 「 手漉き和紙 」 ともに、漉き込まれた廃材は赤・青・黄色などのカラフルな色合いで、素材感のある、味わい深い和紙です。
和紙を埋め込む・箔を押す
コスモテックでは、 「 ダンボール和紙 」 に 「 手漉き和紙 」 を埋め込むスタンピング加工と箔押し加工をおこないました。 加工の際にはご多忙な中、田中 義久さまが駆けつけて下さり、その場で圧力の加減や箔色の組み合わせを確認いただきました。
箔は 「 ダンボール和紙 」 に埋め込む 「 手漉き和紙 」 の色味に合わせた赤・青・黄色の顔料箔 3色を組み合わせて使用しています。
“Untitled (Japanese ShoeboxⅡ#126‒285)” , 2021 © Gottingham
Image courtesy of Yoshihisa Tanaka and Studio Xxingham
一つのボックスに、なんと6回押し!
加工部分は1枚のシューズボックスに対して、箔押し2箇所とスタンピング加工が4箇所の計6箇所を、1箇所ずつ手作業で加工しております。
前回( 1回目の製作時 )とは異なり、一見すると 「 ダンボール和紙 」 自体はすべて共通のように見えます。しかし、今回土台となる 「 ダンボール和紙 」・埋め込む 「 手漉き和紙 」 ともに凹凸具合が一枚一枚違うのです!
加工する際、圧力が強過ぎてしまうと、 「 ダンボール和紙 」 が破けてしまったり、逆に圧が弱すぎると埋め込む 「 手漉き和紙 」 が剥がれてしまうなど、凸凹の表情が一枚一枚異なる 「 ダンボール和紙 」 それぞれに 『 丁度いい・ほどほどの圧力の加減を探ること 』 がとても難しいポイントでした。
“Untitled (Japanese ShoeboxⅡ#126‒285)” , 2021 © Gottingham
Image courtesy of Yoshihisa Tanaka and Studio Xxingham
すべてが一点もの
スタンピング加工では 「 B 」 や 「 a 」 「 e 」 のように文字の中に空白のある部分は、加工の性質上 「 ダンボール和紙 」 に埋め込まれた状態のままになってしまいます。そのため、スタンピング後に1文字ずつ空白部分を埋めている 「 手漉き和紙 」 を剥がし・除去する作業をおこなっています( 「 B 」 の場合、2か所・「 a 」 の場合、1か所 )
手間ひまをかけて、細部にまでこだわって加工されたシューズボックスは、一つ一つが似て非なるもの。それぞれ柄や凹凸感も異なるため、ひとつとして同じものがなく、まさに一点もののシューズボックスになっております!
展示情報はこちら
newbalance_t_house の Instagram より 田中 義久さま
制作過程の一部を垣間見ることができます
田中 義久さま、加工立ち会いに足を運んでくださいましたこと、また、今回もすばらしいチームの一員として製作のお手伝いさせていただきましたこと、誠にありがとうございました!
“Untitled (Japanese ShoeboxⅡ#126‒285)” , 2021 © Gottingham
Image courtesy of Yoshihisa Tanaka and Studio Xxingham
Yoshihisa Tanaka × Tokyo Design Studio cooperative research vol.02
from W Inc. on Vimeo.
【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362
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