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「株式会社トリガー 2023年 年賀状 箔押し加工の裏側」

こんにちは、現場の前田です。

アニメ制作会社 株式会社トリガーさまの年賀状の箔押し加工をお手伝いさせていただきました。今回の 2023年 年賀状を含めると大変光栄なことにコスモテックは計7年( 2016-2021年、2023年 )にわたり、箔押し加工で年賀状製作のお手伝いをさせていただいたことになります。本当にありがとうございます!

2017年から2021年までの株式会社トリガーさまの年賀状は下記の note 記事にてご覧いただけますので、ぜひあわせてご覧ください。


さて、ここからは気になる 2023年 トリガーさまの年賀状についてご紹介させていただきます。今までは年賀状の完成形をどん!とご紹介してきましたが、今回は製作過程、加工の裏側を中心にご説明したいと思います。

コスモテックの加工現場の雰囲気、空気感も一緒に伝わるとうれしいです。

印刷を終え、これから箔押し加工するトリガーさまの 2023年 年賀状の山


今回の製作では年賀状の表裏に1色ずつ箔押し加工をおこないました。
全面にイラストが印刷されているイラスト面にはホログラムゴールドの箔を、宛名面にはホログラムシルバーの箔を箔押し加工しております。

いざ、イラスト面へ箔押し!

加工に入る前の大切な下ごしらえ

箔押し機の熱板に箔押し加工で使用する金属製の版( 今回は銅製の版 )を取り付け、透明のポジフィルムで箔押し位置を確認。その後、印刷位置と箔押し位置がぴったり合っているかどうかを再度ポジフィルムを用いて確認します。

そして、試しに箔押しして、かすれてしまう部分があれば、量産加工に取り掛かる前に箔がかすれずに押せるよう調整していきます。

イラスト面の箔押しで使用する金属製の版 材質は銅
背景の銀色の部分は箔押し機の熱板部分
透明のポジフィルム上の箔押しデザインと印刷物を合わせて
箔押し位置が正しく押されているかチェックをする


箔押し加工は最初から一度できれいに印刷物に箔がのるというわけではなく、金属版を貼り付ける熱板の些細な歪みや金属版そのものも高さが完全に均一ではないため、たいていの場合は箔がかすれてしまう箇所が出てきます。

圧力や温度調整との戦い

箔を美しく・きれいに均一に印刷物にのせるための調整は箔押し機の圧力の強弱、熱板の温度の上げ下げ、いざ箔押し加工する際の押すスピード調整を変えてみるなど、箔押し機側の設定の調整もおこないますが、それでも箔がかすれてしまう場合は手作業でより慎重に微調整を加えていきます。

箔がかすれてしまう箇所に箔がうまくのるように、箔押し機の土台( 印刷物を置く銀色のテーブル )の上に薄い紙を重ねていき、箔がかすれてしまう部分に高さを出してムラを取っていくのです。

箔がかすれてしまう部分を目視で確認
薄い紙を適寸にカットし、箔押し機の土台の銀色の板の上に足していく


薄い紙1枚で仕上がりが変わる

薄い紙を置いたら再度箔を押してみて、箔がかすれていないか目視で確認します。それでもかすれてしまう場合は、もう一枚薄い紙を足し、もう一度箔押しして確認する… この作業を箔がきれいにかすれず押せるようになるまで繰り返します( ※ )

※ これが以前 note でご紹介した 『 ムラ取り 』 という作業です。


この作業は紙と箔の相性や箔押しする面積の大きさ、デザイン・図案の難易度によって調整にかかる時間が異なるため、場合によっては調整だけで何時間もかかる場合もあります。 「 難易度が非常に高い場合は、半日がかりで 『 ムラ取り 』 を行う場合もあるのです! 」

上の写真では 「 2023 」 の文字が矢印のイラストに対して歪んで押され、
少しかすれもみられる…

矢印のイラストに対して 「 2023 」 の文字が平行に、
かすれなく均一に押すための調整が必要
ホログラムゴールド箔の箔の抜け殻
文字の抜けた部分は印刷物に箔押しされている


また、イラスト面は印刷位置と箔押し位置の見当合わせ( 位置合わせ )になる箇所もあるため、押し位置にも十分注意しながら加工にあたりました。

今回の年賀状では裏面( 宛名面 )に加圧の影響、圧の痕跡が出ないように注意しながら、箔が正しい位置に均一にのるまで時間をかけて調整しました。

いざ、宛名面へ箔押し!

宛名面の方もイラスト面と同様、金属版を箔押し機の熱板にしっかり取り付けたら、透明のポジフィルムで印刷位置と箔押し位置を確認しながら調整します。

宛名面には1箇所の箔押し
金属版の材質はイラスト面と同じ銅製を使用


シンプルがゆえの難しさ

宛名面ではホログラムシルバーの箔で年賀マークをポンっと箔押しします。 「 サイズが小さいから簡単に押せるのでは? 」 と思われがちなのですが、実は今回の場合 注意しなければならないのが白抜き文字の部分です。

「 白抜き文字・図案部分が箔で埋まってしまっていないか? 」
「 可読性を損なっていないか? 」
見る角度を変えながら目視で確認していく


この小さな白抜き文字が箔で埋まらないように、そして文字の形がしっかり出るように、熱板にかかる温度や箔を押すスピードなどを試行錯誤しながら繰り返し調整していきます。

また、箔押し機側の調整以外にも、使用する箔の接着剤によっても箔ののり具合が変わってきます。そのため、数種の接着剤の中からテスト加工し、1番ベストな箔の接着剤を選定し、本番の箔押し加工に臨んでいます。

宛名面で使用するホログラムシルバー箔
広いロール幅を図案サイズに合わせて無駄なく適寸にカットし、箔押し機にセット
箔押し加工は写真のように1枚1枚の年賀状に対して手作業で箔押し


箔押し加工の裏側、そしてコスモテックで製作のお手伝いをさせていただいた7年にわたるトリガーさま年賀状加工では、このように地道な調整を繰り返して、美しい箔押し作品・製品を形づくっているのです。

両面ホログラムの箔で加工した株式会社トリガーさまの年賀状は、素敵なイラストにホログラムの光が加わることでより豪華に、華やかな印象になりました。

箔押しを終えたトリガーさまの 2023年 年賀状 壮観!


つい豪華なイラストに目を奪われますが、宛名面にキラリと輝く年賀マークも心にくい演出となっております。

株式会社トリガーさま、今年も年賀状 製作のお手伝いをさせていただき、ありがとうございました!

青木(コスモテック)より

前田の文章をご覧いただいてもわかりますが、コスモテックでは量産加工前の調整・準備を念入りにおこなっております。印刷物に均一な圧力を、適している温度を実現することで、お客さまが求めている箔押し加工の仕上がりへ寄り添っています。

今回で7回目の製作のお手伝いをさせていただく株式会社トリガーさまの年賀状ですが、その全ての美しい仕上がりのために、箔押し加工の裏側では今回挙げたような きめ細やかな準備や調整を行っております。


トリガーの皆さまが喜んでくれるといいな、そして、そのさきにいらっしゃる年賀状を受け取ってくださるお客さまが喜んでくれるといいな、そのようなことを思いながら、今回7回目の製作に臨ませていただきました。

数年前と比べ、SNS を通して年賀状を受け取ってくださる方の反応までも感じ取ることができるようになり、製作のお手伝いをさせていただく身としても大きな励みに繋がっております。

コスモテックの現場指示書に書かれた 「 こちらでGo! 」
箔押しの校正では実は別のプランもテストしていた 


また、前田の文章には書いておりませんが、全7回にわたって、必ず本番前に校正( テスト加工 )を行っています。

「 この箔色で本当にイメージに合っているだろうか? 」
「 イラストと箔押しの相性は合っているかな? 」

など、トリガーさまとコスモテック間で検証し、仕上がりイメージの共有を必ず行なっていることもあり、量産時に箔押しの現場にかかる負荷の軽減にも繋がっており、感謝のひとことです。

ちょっと校正を行なってみる。
ちょっとした準備にもしっかり時間を設ける。

「 ちょっと 」 と向かい合ってみること、小さなことも大切に考えてみることが、実は最終的な仕上がりにおいて明暗を分けることもあるのです。

宛名面のホログラムシルバー箔をすべて箔押しし終えた状態
箔押しの現場からは無事箔押し加工をやり遂げた安堵の声が聞こえる


【 箔押し加工 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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