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「パチカ製『 箔押し屋さんの大きめぽち袋 』」

青木( コスモテック )です。

デザインと加工を前田瑠璃( コスモテック )が手掛けた、WEB STORE コスモテックサンプル直売所の新製品を今回ご紹介します。

紙は、コスモテックと馴染みの深い特殊紙 『 パチカ 』 を用いて前田が制作に臨みました。 製品名は 『 箔押し屋さんの大きめぽち袋 』です。


コスモテックと 『 パチカ 』

コスモテックのブログにて、特殊紙 『 パチカ 』 への加工の取り組みが初登場したのが2006年2月にまでさかのぼります。また、2021年3月現在に至るまで 『 パチカ 』 を使用したコスモテックの名刺キャンペーンは全18回実施しました。


2006年から2021年までの15年間、故 箔押しの匠 佐藤の時代からお客様からご依頼頂いた 『 パチカ 』 の加工実績は数えてはいませんが1000件は確実に超えており、多くの図案とお客様のご要望とに向き合う中で、コスモテックに加工のノウハウを蓄積させて頂いたといっても過言ではないでしょう。

『 パチカ 』 の特性

加熱型押し(※) を施すことで、押した図案が 「 半透明化 」 する特殊紙、それが 『 パチカ 』です。
※ 加熱型押しはヒートデボスと呼ぶこともあります。

今回、前田( コスモテック )は、3つのエッセンスをデザインと加工に盛り込みました。 『 パチカ 』 というと 「 半透明化 」 するという視覚的・魅力的要素にどうしても引っ張られがちですが、お客様から学ばせて頂いて気づかされたことは、加熱型押しによって生まれる 『 機能性 』 にまで及びます。

パチカへの加工 3つのエッセンス
① 加熱型押しにより「 半透明化する 」
② 加熱型押しにより「 強度を高める 」
③ 加熱型押しにより「 接着する 」 「 成形する 」

①は視覚的要素、②③は 『 機能 』 です。
①は主に特殊紙 『 パチカ 』 を使用する上で、制作した図案を 「 半透明化 」 させるという、主流な表現方法です。ブックカバーやインビテーションカード、コスモテックで行なっている名刺キャンペーン等で行われる加工がこれに当たります。

『 パチカ 』 の機能を理解する

前田がデザインした今回の 『 箔押し屋さんの大きめぽち袋 』 には①〜③の3つの要素全てが組み込まれています。 前田の制作した図案はドット絵のようなグラフィックをぽち袋のおもて面全面にテキスタイルのように組み上げております。

写真 2021-01-19 10 07 41


しっかりと特殊紙 『 パチカ 』 を加熱・加圧することで、レースのような可憐な半透明模様を作り出しました。

② 「 強度を高める 」 こと
『 パチカ 』 はとても繊細な紙です。 例えば通常のスジ押し( 折り目をつける )加工をして、何度も開閉( 開いたり閉じたり )を繰り返すと、紙の表面が剥けたり割れたりしてしまうこともあります。

今回、 ふかふかの特殊紙『 パチカ 』 が加熱型押しを施すことで 「 半透明化する 」 ことだけでなく、加熱型押しによってパリッと強度を増すということに着目して、 『 箔押し屋さんの大きめぽち袋 』 では加熱スジ押し加工を施すことによって、スジ押し部の 「 強度を高める 」 デザインをしております。

写真 2021-01-19 10 08 22

図案を加熱型押しする際に、折りスジも一緒に加熱型押し


また、加熱スジ押し加工は 『 箔押し屋さんの大きめぽち袋 』 のグラフィックを押す際、同時に一発で加工しています。

③ 「 接着する 」 「 成形する 」 こと
『 箔押し屋さんの大きめぽち袋 』 では、一切糊を使わずに袋を形づくっています。糊を使わず、『 パチカ 』 を加熱型押しの熱で溶かして接着させているのです。

「 接着する 」 アイデアは 三井化学株式会社 MOL(※)の松永有理さんによるものです。

※ MOL = そざいの魅力ラボ
M ITSUI CHEMICALS MATERIAL
O RIENTED
L ABORATORY


『 パチカ 』 を2つに折り、その両サイドをドット絵のようなグラフィックでしっかりと加熱型押し加工しています。 パチカとパチカを重ね合わせて、図柄を加熱型押しすることで熱接着をして成形させております。

2つ折りにした状態でパチカを機械に通す
ぽち袋の両サイド部分になる箇所のみに加熱型押し

写真 2021-01-19 13 27 45


これに似た加工で思い出すお仕事があります。
パチカではありませんが、 ロー引きした印刷物を加熱型押しで綴じる( 製本する )という加工、そして、 印刷加工連の封筒のつくりです。


印刷加工連の封筒は薬袋( やくたい )、つまり、お薬を入れる袋と同様の作りになっており、封筒の両サイドを糊で接着しており、佇まいがスッキリとして非常に美しい作りになっています。


封筒を展開すると、のり代のある変形ではなく、綺麗な長方形の紙になります。

『 パチカ 』 の加熱型押しによる 「 接着 」 「 成形 」 という特性を知り、 『 箔押し屋さんの大きめぽち袋 』 では前田がその機能を取り入れてデザインをしております。

糊を使わず、パチカの特製を活かして、接着・成形する

積み上げた経験から導き出す

今回前田がデザインしたパチカ製 『 箔押し屋さんの大きめぽち袋 』 は長きにわたり、コスモテックが多くのお客様とやり取りすることで、培った経験・知識や加工方法、技術などをぎゅっと凝縮して形づくっております。

『 パチカ 』 を知り、経験を積み上げてきたコスモテックの現場ならではのデザインと加工で作った 『 箔押し屋さんの大きめぽち袋 』 は、昔と今現在を繋ぐコスモテックの知識や技を感じ取って頂くことができるでしょう。

写真 2021-03-21 17 58 48

色紙を中に差し込んで見ると、色紙の水色が美しく透けて見える

- Credit -
Design : 前田瑠璃
Print : Cosmotech Inc.
Special Thanks : 三井化学株式会社 MOL(そざいの魅力ラボ)


【 箔押し加工 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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