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[人工衛星Emmaのキセキ]第4話 どんなことをやらなきゃなの?~人工衛星が打ち上がるまで~

こんにちは。
あいです。

ここまでの1~3話で、コスモ女子アマチュア無線クラブの人工衛星打ち上げのプロジェクトが走り出すまでの軌跡についてお送りしてきました。

ここで、いったん立ち止まって
「そもそも、人工衛星の打ち上げって、どんなプロセスで進むのか」

ということについて、今回は書いていきたいと思います。


人工衛星、打ち上げまでのプロセス

人工衛星の打ち上げは、大まかにいうと以下のプロセスで行われます。

  1. ミッションを決める

  2. ミッションを実装するための準備

  3. 各方面に必要な申請を行う

  4. 地上局の開設

  5. 便の決定(ファイナルコール)

  6. 人工衛星引渡し

  7. 衛星搭載

  8. 打ち上げ

  9. ISSからの放出

  10. 地上との通信

  11. ミッションを果たす

便宜上、番号を振りましたが、1~4はほとんど同時進行で並行して進めてきました。

1.ミッションを決める

まず真っ先にやるべきが、この「ミッションを決める」ということ。

人工衛星を打ち上げる目的に関わるので、スタートラインであり、ある意味では最も大事なフェーズです。

そんなところが抜け落ちたまま私たちの人工衛星プロジェクトは走り出したのですから、いま考えてみればすごい話です(笑)

その辺の話は前回を読んでみてください。

2.ミッションを実装するための準備

当然ながら、ミッションは「決めたら終わり、それでOK」というものではありません。
そのミッションを実現するための、さまざまな準備が必要になります。
今回の私たちのEmmaの実例で言うと、ざっくり以下のような感じです。

人工衛星に搭載するソフトウェアの準備

人工衛星に乗せるみんなの願い事を集めるためのクラウドファンディング

集めたメッセージを人工衛星に組み込む

特にクラウドファンディングについてはなかなか苦労しました。

というのも、本来はクラウドファンディングって事前にある程度支援者を集めてからやるものなのですが、
今回はご存じのとおり、泥縄でミッションを決めてからの急ぎのクラファンだったため、支援者もなかなか集まらずに期限ギリギリまで
「集まらない!どうしよう!?」
とメンバー一同ハラハラしながら試行錯誤していました。

とはいえ結果はというと、
みんなの必死の努力の甲斐あって、なんと目標の120%を達成しました!

この体験は、やればできる!と思った瞬間のひとつでした。

3.各方面に必要な申請を行う

ここと、次の 4.地上局開設 が、この人工衛星プロジェクトで一,二を争う(※)大変な工程でした。
(※まだこれを書いている時点では7の段階なので、この先より大変な工程がある可能性はあります。)

知らないことが多かった(というか、知らないことだらけ)というのが一番の要因ではありますが、今振り返ると、あれだけ何も知らないなかで、よく乗り越えてこられたなと思います。

どんな審査があるかについては、次の章で。

2.審査の内容

ひと口に審査といっても、その内容は多岐に渡ります。

ざっくり書き出してみると下記の通りです。

  • 安全審査

  • 国内周波数申請

  • 国際周波数申請

  • 宇宙活動法に関する申請

安全審査

人工衛星の打ち上げに際し、公共の安全を確保するため、JAXAによる安全審査をパスする必要があります。

国内/国際 周波数申請

打ち上げた人工衛星と無線で通信を行うのに、どの周波数の電波を使うのか、あらかじめ申請を行う必要があります。
これがないと、あちこちで混線が起きかねないため、重要な申請です。

宇宙活動法に関する申請

宇宙活動法とは、正式名称を「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律」といいます。
名前のとおり、人工衛星の打ち上げと人工衛星の管理に係る許可制度と、打ち上げ及び管理に伴う第三者損害の賠償について定められた法律で、人工衛星を打ち上げる際にはこの申請は避けては通れないものとなります。

なお、これらは「人工衛星を飛ばすため」に必要なもので、
このほか、地上局を開設するためにも申請が必要なのと、
地上局から人工衛星と通信を行うために、アマチュア無線の免許が必要になります。

当時、メンバーにはアマチュア無線の免許を持っているものがおらず、あわてて有志を募ってアマチュア無線三級の資格を取得しました。


3.振り返って

今は振り返って書いているのでこうして分かっているようにまとめられますが、当時はこれらのこともひとつひとつ手探りで調べてきました。

ステップ通り、スケジュール通りにとんとん拍子で進んできたかというと全然そんなことはなく、予定外と想定外の連続で、「マジかよ」と思うこともしょっちゅうでした。

次回からはその辺について、もう少し具体的に書いていきます。

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