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【コスモ女子勉強会】大貫美鈴さんと学ぶ。2021年の宇宙ビジネスが本格化する?!宇宙業界の展望をわかりやすく解説!

コスモ女子では、イベントや勉強会を通して、超小型人工衛星、デブリ対策、ICT技術、宇宙食の進化など、2020年の宇宙ビジネスの目覚ましい進展を、みなさまとともに学んできました。
(前回の勉強会レポートはこちら

今回の講師は、宇宙ビジネスコンサルタントとして活躍中の大貫美鈴(おおぬき みすず)さん。
大貫さんは2度目のご登場で、2020年6月の勉強会"スペースX社から学ぶ宇宙ビジネスと宇宙事業の展望に期待"に参加された方も多いのでは。
今回は、2020年の宇宙業界の実績を踏まえて、2021年の宇宙産業どうなっていくのかをたっぷり教えていただきました!


宇宙雇用増大!民間企業から続々と小型衛星打ち上げ

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2020年、海外で一気に小型衛星の打ち上げ機数が増加しました。
しかし、「2021年は2020年に比べものにならないほど打ち上がる」と大貫さん。
小型衛星(重さ500キロ以下)が年間1000衛星あがるようになり、”規模の経済”に突入していくとのことです。

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打ち上げの大切な目的は、衛星を使って仕事をし、様々な産業と結びついてサービスを行い、地球の課題解決をすること。
宇宙産業が、他の産業を底上げするような役割を担うことで、ひいては宇宙雇用増大にも繋がります。

日本は約9000人が事業参画していますが、これはスペースX社の雇用人数とほぼ同等。
アメリカは15万人、ヨーロッパは5万人ほどの宇宙雇用があるので、日本もこれから大きく伸びていくことが予想されます!

「どんな衛星利用サービスが生き残ると思いますか?」という会場からの質問に対し、「宇宙や地球の課題解決をする限り生き残るのかと思う、大切なことは、いちはやくマーケット入りして、その分野のビジネスを確立して市場を掴むこと」と大貫さん。
事業参入のハードルが下がりつつあるからこそ、自らのアイディアや情熱を形にし、宇宙業界で立ち位置を確立することが重要なんですね!


有人宇宙飛行の黄金時代!トライ・アンド・エラーで夢の実現に突き進む

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2020年5月のクルー・ドラゴン(スペースX社)打ち上げは、アメリカにとって約9年ぶりの有人宇宙飛行復活となり、大きな話題を呼びました。

日本人では野口総一(のぐちそういち)宇宙飛行士が搭乗し、約半年間ISS(国際宇宙ステーション)に滞在。
続く2号機では星出彰彦(ほしであきひこ)宇宙飛行士、その後も続々と日本人飛行士が民間機で宇宙に飛び立つことを予定しています。

トム・クルーズと映画監督が宇宙で映画を製作する、という夢のような計画も進行中で、宇宙に行くだけでなく地球上と同じような活動が次々実現する予感がありますね!

スペースXの強みは、プロトタイプを試験飛行させて失敗を糧にまたプロトタイプを飛ばす……というトライ・アンド・エラーで開発を推進するアジャイル開発。
スペースX社が「失敗」ではなく「必要なデータはすべて取れた」と表現したことに、わたしたちコスモ女子も失敗を恐れず、果敢に挑戦していく勇気をもらいました!

「民間人だけの有人飛行って、大丈夫?」と思われるかもしれませんが、実は、元々NASAの宇宙飛行士だったところから民間企業に転身しているケースも。
Axiom Space(アクシオム・スペース)社のマイケル・ロペス氏は上記のケースで、大貫さんはNASA時代から知る彼の動きに注目しているんだとか。


深宇宙・アルテミス計画月面着陸の始まり

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アルテミス計画とは、現在活躍中の宇宙先進国だけでなく、宇宙新興国、そして民間企業など、地球が一丸となって月を目指していくアメリカが主導する月探査、究極的には火星を目指す計画のこと。
アポロ計画や2030年ごろに退役が予定されているISSは国主導でしたが、現代の月計画は民間企業の協力が不可欠、という点が今までと大きく異なります。

アルテミス計画は、持続可能な月面探査・活動により技術を獲得し、最終的に火星に人類を着陸させることが目的です。
活動に必要な荷物を輸送するため、いよいよ今年から”CLPS(Commercial Lunar Payload Services, 商業月ペイロードサービス)”がスタート!

民間企業に物資輸送が任されている本プログラムにて、日本の宇宙ベンチャー 株式会社ダイモン の月面探査車YAOKIが、アメリカのAstrobotic(アストロボティック)社の月面着陸機に搭載されます。
人類の進歩を担う計画で、日本企業が着実に実績を残していることに感動ですし、日本の宇宙業界の未来に大きな希望が持てるニュースですね。

最終的には2040年代には1000人が月に住み、1万人が月面を往来するような世界へ。
宿泊施設(月面ホテル)も建設されるだろうとのことで、アニメや漫画のような宇宙で暮らせる時代もすぐ近くまで来てることに、ワクワクが止まりません!

コロナ禍でも宇宙投資は絶好調!

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宇宙事業への投資額は毎年すさまじい勢いで伸びており、2020年は第三四半期で前年1年間の5.7Bドル(約6000億円)に迫る記録!
日本はアメリカ・中国に続いて3番目に宇宙スタートアップへの投資件数が多く、宇宙スタートアップ企業も現在100社近く存在、宇宙開発への期待度が目に見えて明らかです。

資本を得てベンチャー企業を盛り上げるために必要なM&Aも、昨年のコロナ禍において今までで一番件数が多いなど、多額の資金が宇宙ベンチャーに注ぎ込まれています。
また、SPAC(Special-Purpose Acquisition Company,特別買収目的会社:買収を目的とした企業を先に設立し、その後未上場企業を買収することで、通常のIPO手順を短縮する狙い)によって上場を目指す企業が続々と登場し、今後もこの流れは継続しそうだと見られています。

上場のメリットはなんと言っても、株式公開することで資本が得られること!
株主に活動内容の公開を行う大変さはありますが、やはり大きな資金調達が可能になることで、宇宙開発の幅が広がるため、企業にとって重要なプロセスなんですね。


さいごに

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2021年の宇宙ビジネスの動きは、まさに夢が現実により近づく年であることがわかりました!

世界的経営者が宇宙事業に投資・参入する動きもますます活発になり、Amazon創業者のジェフ・ベゾスに至っては、CEOを退いていよいよ宇宙に本腰をいれるとのこと。
テスラ社およびスペースX社のイーロン・マスクが目指してきた火星居住に関しても、2020年7月に3機の火星探査機(アラブ首長国連邦、中国、アメリカ)が打ち上げられ、これから知見やデータが収集されることが期待されます。

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圧倒的な情報量で大満足の勉強会でしたが、なんといっても大貫さんが心から楽しそうに宇宙のことを語っていただいたことが印象的です。
コスモ女子の夢も実現に近づいている今だからこそ、人工衛星打ち上げを決意した最初のドキドキ感、仲間や協力してくださる方が増えた喜び・感謝を忘れず、宇宙に貢献するコミュニティになろう!と気持ちが引き締まりました。

コスモ女子では、宇宙が大好きな方から、宇宙に少し興味が出てきた方まで、多くの方に宇宙の魅力をお届けできるよう、今後も幅広く宇宙にまつわるイベントを開催・発信していきます。

次回3/16(火)には、"【はじめての宇宙】第二弾!宇宙の起源について~誕生から138億年の間に何が起きていた?~"をテーマに交流会を予定しています。

ぜひ、お気軽にご参加ください。

講師プロフィール
*米スペースフロンティアファンデーション/大貫美鈴さん
≪ご経歴≫
米国の宇宙企業100社以上が所属する米スペースフロンティアファンデーションに所属し、革新的商業宇宙開発を推進するニュースペースの活動に取り組む。清水建設宇宙開発室に勤務後、ボストン滞在中に米国各地の宇宙ベンチャー企業の躍動感に衝撃を受ける。
JAXA(宇宙航空開発研究機構)での勤務を経て独立、宇宙ビジネスコンサルタントとして、事業開発、市場開拓、調査、アウトリーチなどで世界中を飛び回ってきた。また、宇宙起業家養成講座の講師や、宇宙での衣食住遊、宇宙ファッション、宇宙ウェディングなどを通して身近な宇宙を広めるためのプロジェクトに参画。清水建設の宇宙ホテル構想提案以降、宇宙旅行はライフワークになっている。
2000年4月からスパークス・イノベーション・フォー・フューチャー㈱シニアバイスプレジデント。著書に「宇宙ビジネスの衝撃」(ダイヤモンド社・2018年)、「宇宙旅行入門」(東京大学出版会・2018年・共著)、「来週、宇宙に行ってきます」(春日出版・2009年)、「宇宙で暮らす道具学」(雲母書房・2009年・共著)などがある。雑誌や新聞での取材も多数。


女性中心のチームで人工衛星を打ち上げる!
宇宙に興味のある女性の皆さん、コスモ女子として一緒に盛り上げていきましょう!

【イベントの詳細】
Peatix|【はじめての宇宙】第二弾!宇宙の起源について~誕生から138億年の間に何が起きていた?~

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