反社会的勢力はなぜ日本に多く、増え続けるのか(2)

反社会的勢力は身近にいる!
 反社会的勢力と言っても、良くわからない人が多いのではないだろうか。ヤクザ(警察が指定する暴力団)、極道、犯罪者、犯罪集団、ブラック企業などである。ごく最近ではWeb3企業や売春集団も反社会的勢力と言われるようになったようだ。
 筆者は、金融機関等でこうした勢力との取引に注意する仕事をしてきた。そして最近では一般の善良な市民にアクセスする手口が巧妙になってきていることを知った。そこで、この連載では、こうした人々がどんな感じの人達で、どのような手で善良な市民や組織に入り込むのか、現時点でどのあたりにいるのかなど、個人情報に影響のない範囲で説明をしていきたい。
 この連載が、皆さんが反社会的勢力との関係に注意する切っ掛けになることを願っている。

反社はなぜまん延するのか?
 銀行や証券会社、保険会社などの金融機関は、反社会的勢力のリストを警察から見せて貰っている場合がある。ところが、同じくお金に絡む仕事をしている世界でも、貸金業者や資金移動業者、前払式支払手段提供者などはこうした情報を持たない例が少なからずある。これらの業者は怪しい取引に出くわした場合には警察に確認することで、取引の成立を回避している。
 これら三業者は合計で2407社(うち、貸金業者は268社、資金移動業者は83社、前払式支払手段は自家型が1183社、第三者型が873社)と数が多いうえ、監督当局である金融庁の検査も銀行や証券に比べれば頻度が少ないため(一度も検査を受けたことのない先もある)、反社対応と言っても金融機関に比べれば厳格性は低いと言わざるを得ない。
 誤解のないように書くと、JR東日本のスイカは前払式支払手段だが、流石にJR東日本は大手企業なのでKYCを確りやっていると言われているので、反社が悪用するリスクは少ないかも知れない。しかし、無記名のスイカを買ってそれにお金をチャージし、そのスイカを1万枚作って誰かに渡すと、これはマネーロンダリングの手法となる。
 公平の意味で、もう一つ書いておくと、金融機関でも完全にKYCを出来ない可能性は否定できない。実際にメディアが報じた事件の存在がそれを物語っている。 
 また、反社の子供が一般人と結婚した場合、その結婚先の人々は反社から離れて生きることもあれば、反社に浸かって(反社のリストに載る前までは)反社の利益のために行動することもあるだろう。
 それはまた、金融機関に勤めていた人でさえも陥る懸念のあるリスクなのだ。

政治家との関係は・・・(次回に続く) 


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