白杖使用者の冒険―横断歩道編+

連日ながら、またも横断歩道での出来事。

最近、2日連続で図書館へ。
図書館への道は、ほとんど一本道でまっすぐで行けるのだが、観光客の人通りが非常に多い、そしてどちらかというと狭い歩道で、誘導ブロックがない。
いくつも道路を渡ることになるが、信号があるかないか、明らかに信号のある横断歩道でも音響信号はない。
そして、店がひたすら連なっているところでもあるので、店先に人がたむろしていたり、店先に商品やケースや看板などが飛び出しているところも多い。
まっすぐなのだが、緊張する、なかなかの難関。

そこで、とある横断歩道に行き着き、耳をそばだてて車の音を聞きながら、出ようか出まいかと迷っていた。後から思うと、少しきょろきょろしているように見えただろうと思う。
すると、横から「だいじょーぶ?」という男性の声が。
私が答えようとしていると、向こうからも、「あー……イマ、まだアカイデス」

ありがとうございます…!
観光客であった模様。言葉の壁を越えて、日本語、不自由なのに、一生懸命「赤い」単語を頭から捻りだして教えてくれたのでした。

また、次の日も同じようなことが。
これは横断歩道ではなく、この道の中でも観光客が多い曲がり角。
曲がり角の横断歩道の端をゆっくりと探り探りしていると、突然、しっかりと、しかし優しく、前から私の腕を支えてくれる人が。男性でしたし少し驚きましたが、この人、ゆっくりと私を誘導し、横断歩道脇のポールに触らせてくれながら、ゆっくりと横断歩道の方へ誘導してくれました。一緒に渡ってくれようとしたのでしょうね。
ただ、私はここで横断歩道の位置を確かめたのは90度曲がるためであったので、「ありがとうございます。あっち(指さして)に行きます。」とゆっくりはっきり、なるべくイントネーションだけでも明るく感謝を伝えるように発すると、「Oh,oh」というような雰囲気で手を離して、去って行かれました。

以前も観光地ど真ん中で方角を失い、片言の英語で助けようと話しかけてくれた中国のかたや場所もまるでわからないのに一生懸命力を併せて調べようとしてくれた遠方の修学旅行生たちもおられましたが、本当に、ご自身も何が不自由でも、とりあえず補い合える・支え合えることが何かあるかもしれないとアプローチをしてくれる(何せこちらはアプローチしてもらえないと”見えない・気付くことすらできない”ので)…

たとえ言葉が通じずとも、たとえ場所は知らず案内できずとも、それから…この前は駅構内で迷っていたら私(身長150㎝程度の小柄)よりも半分くらいの背丈の小さなおばあさまが手引きして助けてくださいました…他に身体的に余裕があるわけでなくとも、それでも、とりあえず手を差し伸べてくださる。
本当に、あたたかくありがたい。

私は確かに街中では、視覚では、気が付くことがなかなか難しい部分はありますが、それでも気配や聴覚で私でも役に立つことができそうな場所があれば、できる限り即座に反応しようと、思うばかり。
そうでなくとも、できうる限り、柔らかく暖かいコミュニケーションを。
そしてその他では、少なくとも、私自身のでき得る限りの活動で、お返しすることで。

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