点字教室 第3回目/白杖使用者同士のすれ違い

#視覚障害者が嬉しいと感じた配慮 #障害理解 #視覚障害 #点字

点字教室 第3回目 内容


点字教室、第3回目の記録を共有させていただきます。

今までの記事はこちら(第一回目)こちら(第二回目)をご覧ください。

本日は、母音+5・6点であるサ行から。
前回までに、まずは3点を使うナ行、文章の助詞ともなるワヲン(ついでに点数も少ないし下段なので特徴的)、3点に6点をプラスしたハ行、そして3点を抜いて6点のみのカ行、3点6点をマスターして上にあがった5点のみであるラ行、と来たので、次は5点6点同時のサ行ということだろう。だんだん子音点が増えて行く、というわけだ。

今までと同じやり方でサ行の文字をランダムにしばらく読み、上記の行すべてのサ行をプラスして作られた2~3文字の単語をしばらく読み、その後、文章。

ちなみにサ行においては、「シ」は右上と左下が空いている、セは左下だけが空いている。ついでに「ソ」は右側は全部の点が埋まっており左側は真ん中のみ、という形での覚え方がしやすい。
私は「シ」や「ト」を、かくかくと曲がるテトリスのひし形ブロックのような覚え方をしようとしていたが、これでは指が点の当たりを判別しにくい。なぜなら、読みながら斜めに当たったりするようなこともあるからだ。だから、そもそもの6点の位置から右斜め上と左斜め下の2つが空いている、もしくは左斜め上と右斜め下の2つが空いている、という識別の方が良いようだ。

さて、サ行を終えると、遂に今度は3点・5点であるタ行。
「テ」は一番判別に苦労するかと思っていたが、点は確かに多いが逆に言えば右下の1点が空いていることがわかりやすい。
寧ろ、予想外に「チ」を読むときに私は時間がかかった。
「ト」も今までは時間がかかっていたのだが、ふと、左上と右下がすかっと空いている感覚を覚え、ああ、これが「ト」か、と繋がるようになってきた。

タ行をランダムに一文字ずつ。その後、今までのもの+タ行でできた単語。その次、文章。
表記できる例文が多くなってきているため、だんだんと分かち書き(文章の表記法のルール)における発見も出てくるようになってきた。

さあ、五十音残り僅か。
次は、一番点数の多い、3・5・6のマ行。
まさごろ、と覚えている行。
全ての点が打たれている「メ」は逆に一番わかりやすい。
そして、「マ」以外は、すべて5つの点で構成されつまり空きが1点だけであるため、マ行だと推測がつきやすいわけでもある。(もちろん「セ」「テ」も5点使うが、これは下段のどちらかが空く。ミ・ム・モは下段は空かず、上段が空く。これを慣れていけば身体が経験値判断できるようになるだろう。)

マ行の文字をランダムに。その後、単語。
その後、文章。


さあ、残すはヤユヨのみとなった。
無論…まだ濁音やら半濁音やら促音やらは残っているのだが。


それから、本日、習ったことの気付きを数点。

①動詞「する」の活用形「し」
「芦ノ湖畔を散策し温泉に入る」という文章を読んだ。
これは点字表記だと「あしのこはんを さんさく し おんせんに はいる」であった。
「あしのこはんを さんさくし おんせんに はいる」ではないのだ。
というのは、動詞「する」はそれだけで一文節を構成するものであるため、活用形で「し」と一文字になったとしても、分かち書きをする、ということらしい。(もし解説が間違っていたらご指摘ください)

②改行し、一文章が2行以上となるとき
そもそも文章の始まりを、2マスあけて3マス目から打ち始めるものらしい。
そして、改行したら1マス目から打つ。つまり、3マス目から始まっていれば文章の始まり。1マス目から始まっていたら前の行から続いている文章の途中であると即座に判別できる、というわけだ。

③数字で日本語特有の読み方をする単語
これは私が個人的に日常で感じた疑問を先生に尋ねたのだが、「3日目(みっかめ)」などと表記するとき。
私は先日、自分の覚え書きでこれを「"数符"3 かめ」と書いたら、後日読んだとき「3」を「さん」と読んでしまい、「さん…かめ?ん?かめ??」と、自分で打った覚え書きのくせに何秒も悩んでしまった。
点字は、表音文字(発音を表す文字)である。そのために、例えば「私は」などと点字表記する場合は「私わ」と、ワヲンの「ワ」を使うし、「どこへ」と表記するときも「どこえ」と、あいうえおの「エ」を使う。でなければ、漢字(意味表記)の存在しない点字では、「WATASHIHA」「DOKOHE」と読んでしまい、主語や場所の名前ともしうまく噛み合って別の意味を成す単語になってしまったら何を書いてあるのかわからなくなってしまう。
そのため、漢字がない分、発音に忠実に打ち込んでいくわけであるが、しかしながら、点字には数符(数字)はある。
そして、なんと日本語は、数字も同じ数字で何通りも読み方がある場合があるわけだ。
先生が教えてくださったところによると、どうやら「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、ここのつ、とお」のような日本語独特、というような読み方をする場合は、「和語」と言い(と記憶しているのだが違ったらご指摘ください)、これは五十音表記で打ち、数字は使わないのだそうだ。
つまり「3日目」や「1日(ついたち)」と打ちたい場合は、五十音で「みっかめ」「ついたち」などと表記する。
例えば4月1日を表したい場合は、「”数符”4がつ ついたち」とするのだと。
ちなみに、14日などは「じゅうよっか」とは読むが、こういう場合は「”数符”14か」とするのだそう。
ちなみに私はこういうとき「”数符”14 か」と、分かち書きをしていたのだが、「か」は数字と混同することはないため、分かち書きせずくっつけるのだということ。
更にちなみに、「16円」などと書きたい場合、「え」の文字は「6」と同じで混同してしまうため、「166」と読んでしまいかねない。そのため、「つなぎ符(3点・6点の下段2点で記すアンダーバーのようなもの)」を使い、「”数符”16”つなぎ符”えん」とするのだそうだ。
墨字の楽譜で歌詞を表記するとき、音符を伸ばすときや距離的に離れている(しかも全部ひらがな)けれども同じいち単語だよということを示すためにアンダーバーでつなぐ。これと同じようなものだろうと解釈。

日常遣いしていればこれが腑に落ちて当たり前のようになっていくのだろう。実際、結果的にもそれが一番読みやすいだろうな、とも思った。


本日は行きも帰りもバスを試した。片道1時間半ほどはかかる。バスも乗り継ぐが、乗車時間の長い方のバスは40分揺られる。行きも帰りもこの各40分、点字教室の教材をひたすら読む訓練に充てた。

そして、帰宅してからふと気付いたのだが、家に来ていた封筒にボールペンで書かれた墨字を触ったとき、「何か書かれている」うっすらとした感覚を得た。さすがにボールペンの宛名書きなど指先で読むことはできないが、ボールペンで墨字で何か書かれているという僅かな凹凸に気付くようにもなってきたようだ。


白杖使用者同士のすれ違い

点字図書館から誘導ブロックを伝いながら駅へ向かっているとき。
前方から、「あ、白杖のかたですね」という女性の声が。
どうやら、白杖使用のかたと手引きしている女性のかたのようだ。
私が「あ、すみません。」と止まると、男性の声が「女性のかたですね」と。この男性の声が白杖のかたなのだな。
点字図書館の方から来たわけなのでだいたい点字図書館からの帰りだとわかるのだろう。「こんにちは。あなたも行ってきたのかな。お疲れ様です。お気をつけて」と声をかけてくださった。

手引きのかたがおられたから「白杖のかたですね」と実況中継してくれて私も状況を察して立ち止まることができたわけだが、それにしてもこの実況の声、嬉しかった。私にも気付くような、状況がわかるような言い方であったから。
そして、白杖使用者同士はお互いの存在に大抵気付くことができないし声をかけあうことも難しい。この一言で、お互い挨拶をする機会にもなったのだった。


#視覚障害者が嬉しいと感じた配慮

本日もたくさんあったのだが…

①点字図書館へ向かう途中、誘導ブロックを伝っていると突然、横から私の右耳に向かって声が。「すみませんー、日点の職員なのですが、このちょっと先にね、車が止まっているんです。点字ブロックを跨いだような形で停まっちゃってるのでね、もし良かったら車を避けた先まで…。」と、腕を貸してくださった。
きっと日点に行くのだろうなという予測もあって「日点の職員ですが」と言ってくれたのかもしれないが、日点の外でも「日点の職員ですが」と言ってくださったのはわかりやすく、安心。
そして、このかた、どうやら日点に戻るわけではないらしく、案内のためだけに声をかけてくれたらしい。しばらく歩いてその先にあった車を避けた先でお別れをした。

②帰りのバスにて
高田馬場駅でバス停に行きつくのに手間取り、ここでもバス停まで辿り着かせてくれた通りすがりの男性がいらしたのだが、その後、バス停で待っていた女性が今度は話しかけてくれ、バスに乗って降車ドアに一番近い座席まで手伝ってくださった。
この女性、「今日は天気良いですね~」などとも話かけてくれながら「あ、私後ろの席座ってるので、何かあったら言ってください。私、先に降りちゃいますけど、私降りるときもお声かけますね」と言って、降りられるときに「肩たたかせていただきますね~(肩ぽんぽん)、私、次のバス停で降りるので、お先に失礼します」と声をかけてくださったので、改めてお礼を伝えて「お気をつけて」と言い交わしてお別れすることができた。

③乗換えのとき…
バスを降りて、さあ近くの乗換えバスのバス停へ!…と思ったのだが、予想していた場所とどうやら降りた場所が違う様子。
ん?ここはどこだ?と思っていると、女性の声が「大丈夫ですか?どこに行かれます?」と聞いてくださり、「すみません、今バスを降りたのですが方向がわからなくなってしまって…ここはどこでしょう」と聞くと周囲や方向を説明してくださり、「あ、では多分大丈夫です、こっちに行けばバス停があるはずなので、そのバス停に行きます」と伝えると、「あ、では私もちょうど同じ方向に行くので、一緒に行きましょう」と腕を貸してくださった。
「お節介ですみません」などと…いやいや、バスを降りた瞬間ここがどこかわからない!良くあるのです!その上、そういう時に限って道はわかっているだろうと思われやすいのか、話しかけていただきにくい…
そのため、大変助かりました。
バスを降りた瞬間、方向感覚や今いる場所がわからなくなって緊張度が一気に高まっている白杖使用者は多いのではないか…と、私は予想しております。ぜひ、お声がけくださると助かります。
このかた、乗換えの停留所も見て、そこまで連れて行ってくださいました。

本日はなんとも贅沢なことに、このバス停、既に何名も並んでおり、並んでいた女性たちがその後も声をかけてくれてバスの乗降を手伝ってくださいました。

おかげさまで、本日も無事、生還いたしました。
本日も皆さま、本当にありがとう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?