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アフターコロナで必要とされる視点

「身の回りにいるイラっとする人を撃退する」という某テレビ番組。

なぜか子供達が好きで「おもしろーい!」といって結構な頻度で観てます。でも私の中では、「なにが面白いのかわからない・・・」とずっと違和感があり、何度も観ているうちに段々イライラしてきました。

なぜこんなに自分がイライラするんだろうなぁと思ってちょっと考えてみたら、気づきました。

人を一つの側面で判断しているからだ!!

・後輩をいびるお局OL

・上長の言うことを聞かない困ったキャリア社員

・新人アルバイトに対して「どうせ辞めるんでしょ」という対応をする先輩社員

こういう非常識に感じる個人に対して「なんてひどい!!」と「悪者」に仕立て上げて、撃退する・・・

もちろん行き過ぎたハラスメント行為に対しては大いに成敗していただきたいところですが、果たしてこの個人だけに問題があるのかなと疑問に思います(あくまでテレビ番組なのに熱くなるなという話かもしれませんが汗)。


目前の事象が起きている要因は一つじゃない

私は組織開発というテーマを取り扱っています。

この組織開発は、定義づけが難しいとされていますが、

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組織の仕組みやプロセス、メンバー間の関係性を構築することで、組織全体のパフォーマンスを向上させること、組織力を強化すること

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と説明されます。

組織内の課題を解決してパフォーマンスを向上させるためには、目に見えている病を処置するような対処療法的な解決だけではなく、なぜその病を引き起こしてしまっているのか、「病にならない体づくり」のような目に見えない根本的なものをいかに顕在化させることがポイントとなります。

併せて、組織開発においては、組織内で起こっている事象には「誰か一人」「どこか特定の部署」といった特定の悪があるわけではなく、組織の一人一人を含めた「組織全体やそのプロセス、構造」がそれを生み出してしまっている、と言われています。


例えば社内課題を取り扱う時は

私が実際コンサルティングで行なっている事例。

経営者から「人がなかなか定着しない」というご相談に対して、「定着するための仕組みを考える」という解決策よりも先に、「なぜ人が定着していないのか」に着目し、その真因を探ることがとても大事になってきます。

それが「経営者が育成制度を導入しないから」とか「人事が動いていないから」といった特定の誰か、部署と限定せずに、

・社員がこの会社で働いている意義やモチベーションはどこにあるか

・経営者は社員にどうなって欲しいと思っているか

・人を育てるということに社員はどういう意識を持っているのか

・人事はどのように考えているか

・経営者、人事、現場での温度差はないか

というように、その現象を生み出す影響になっている、目に見えない真因を探求していきます。


目に見える現象に対して「○○のせい」と決めつけるのはあくまで一つの側面からであり、その現象は他の角度からみたらどうか、なぜそうなってしまっているのか、小さな問題が複数絡み合ってしまっていないか、どこから紐解くのか、という視点で見ていきます。


番組の事例を深掘りしてみると

例えば冒頭で出てきた番組の事例で言うと、このような感じです。

[後輩をいびるお局OL]

・お局OLさんが本当に欲していることは何か

・本当は後輩とどういう関係性を作りたいのか

・上司にヘルプを求めていないか

・今の状況に至る前に変化はなかったか

・上司は彼女にどうなって欲しいのか


[上長の言うことを聞かない困ったキャリア社員]

・キャリア社員がこの会社で働き続けている理由は何か(この会社に本当はどう貢献したいと思っているのか)

・上長に対して求めたいことは何か

・キャリア社員をこのように育ててしまった会社の仕組みや構造に問題はないか


[新人アルバイトに対して「どうせ辞めるんでしょ」という対応をする先輩社員]

・実際にかつて、先輩社員Aさんが育てたアルバイトが何人も辞めたことがなかったか

・その時に育成をした実績を承認したか

・先輩社員だけに新人育成を任せっぱなしにしていないか

・チームとして新人を育てる仕組みがあるか などなど


こんな感じの視点で、深掘りしていきます。そうすると、今起こっている事象がこの個人だけの問題ではなく、チームや組織のあり方・関係性・仕組みなどに要因があるといったケースが多々あります。

こういう視点で洞察しないまま、ある一定の側面だけで

「あの人は悪い人!!」とか

「あの部署のせい!!」と決めつけて

まるで滅多斬りにしてやるみたいな考え方に違和感があったんだなーと気づきました。物事を多角的に捉えるという意識や視点が大事なんだと改めて感じました。


最後に

ある番組をきっかけに再認識した、「一つの事象を多角的に洞察してみる重要性」ということについてまとめてみました。


目の前の出来事を一つの断面で捉えて、「あの人のせいだ」「あの部署のせいだ」と決めつける・・・
このようなことは、コロナショック前まで多くの企業内で起こっている「あるある」ではないかなと思います。

今までは、それでも社内は回っていたかもしれません。

しかしwithコロナ、after コロナの時代では、後回しにしたことがツケとして回ってきます。嫌な現実も課題にも、逃げずに、他責にせずに、多角的な洞察力を持ってしっかりと向き合っていくことが必要とされていると思います。

目に見えることだけではなく、見えない真因を探ってみる。こういう視点で目前の事象を捉えてみませんか。


(余談)ちなみに、「テレビなんだから、こんな風に複雑に観ないで、純粋に楽しめばいいのにー」と子供達に怒られました・・・イライラするぐらいなら観なければいいだけの話ですけど汗 


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