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運動音痴陰キャオタクがスラムダンクを見に行った話。

私、運動音痴なんです。
という告白から今日は始めていこうと思います。
走るのは苦手でございまして、毎年あったマラソン大会では最後尾でした。
球技も勿論苦手でして、野球・サッカー・バスケットボール・テニス。
不思議なもので昔の体育の授業というものは、一通りの種目に触れるんですね。
この頃に気付きました。
「あぁ…、人と何かやるの向いていないのか」
早くも悟りを開いてしまいました。

ですので、実際スポーツという物が苦手な私はスポーツがテーマの作品が苦手だったりする訳です。
キャプテン翼もイナズマイレブンもタッチも。
勿論その中にはスラムダンクも入っていました。
食わず嫌いなんでしょうね、なんとなく「スポーツって肌に合わない」と思いながら離れていたのかもしれません。

今日は所謂デート、というものを久しぶりに致しまして。
一番最初は水族館に行く予定だったのですが、生憎の定休日。
じゃあどうしようか、という事でスラムダンクを見に行くことになったわけです。

実際話題にもなっていましたし、大好きな木村昴も出ていましたので、
今まで遠ざけていた割には乗り気で見に行ってまいりました。
とはいえスポーツ。バスケットボールがテーマの今作品。
果たしてついていけるものなのか…、置いてけぼりになったりしないのだろうか。
不安に思いつつも劇場へ参りました。(チケット取るのは早かった)

結論から申し上げまして、素晴らしい作品でした。
なんといいますか、私的には「ワンフォーオール、オールフォーワン」みたいな感性が非常に嫌いでして。そこに強制的に人と関係しないといけないわずらわしさがあって、それが凄く嫌いだったんですね。
そういう部分への理解みたいなものが、少し出来た気がします。
全員にそれぞれ理由だったり、理想みたいなものがあったりして、
それが結局最終的には「勝利」に結びついているんだなぁ、と。
もちろん、ただその中で個人のスキルを推し量るだけではなくて、その人の人格。何を大切にしていて、この人はこういう経験をしてきたから、こういうプレイをする、じゃあどう接していこう。みたいな、複雑な人間関係の縮図をここまで短時間で見れるものだろうか。と。

勿論「こいつの表情が嫌い」「こいつの言葉が嫌い」とか。
そういう、人に対して「嫌い」って思う事が凄く劇中でもあって。
ただ、その感情や人格、全部に理由があることも、そこにある「人間臭さ」がとても心を揺さぶってきたのを覚えています。
人間ですから。
どうしても対抗心だったりとか慢心だったり、そういう感情って付き纏ってしまうものなんでしょうね。登場人物たちが、そういった人間臭い感情とぶつかって、それぞれが答えを出していくのって凄く「青春」だなぁ、とグッと来ていました。

それとは別に、素晴らしいなと思ったのが、「時間の感覚」でした。
クスッと笑えるシーンを、ちょうどいいタイミングで挟んで来たり、
登場人物の感情に合わせてエピソードを挟んで来たり。そういった、人間が何かを思ったり、思い出したりする瞬間って、他人からしたら一瞬。
けれど、当人には凄い長い時間だと思うんです。
それとは裏腹に、ゲームが淡々と過ぎていく中で入ってくる登場人物同士のやりとり。サラッとしているようで、そこには確実に何かしらの感情が乗っている。凄いリアルだなぁ、と。その淡々と過ぎていく場の中で、それを乱していくのが桜木花道というイレギュラーであり、要素。どこかアニメチックな存在だと思うのですが、これが何かを変える鍵になることは最初から最後まで変わらなくて、それがとても潔い。伝統的な少年漫画らしさを感じていました。

ラストシーン然り、人が集中する時。
音が鳴りやみ、視界はギュッと絞られ。
その世界はその人たちだけのものになる。
それを「経験が無くても伝わる」様にしたのがラストシーンであったと思います。
劇中で、何かに夢中になったり、集中したりする時(実際は違うかもしれない)
「バクバクしている」という表現を使います。
あのラストシーンにおいては、その「バクバクする」という感覚を観ている人間全員に植え付けてしまう様な、そんな迫力がありました。
そして、それがなんとなく息苦しくて、なんとなく魅力的で、抜け出したくない一瞬である事。それを叩きつける。非常に素晴らしい瞬間であったと思っています。

今まで映画を色々見て参りましたが、ここまで気持ちをグッと持ってこられた事。時間という概念を感じること。生きているという感覚を得られるアニメ映画って果たしてあったでしょうか。

そんな何度も見るものではないのかもしれません。
けれど、何となく生きている実感が得られない時、何かに夢中になったあの時を思い出したい時。青春とは何か。それの答えはこの作品にしっかり詰まっているんだと思うのです。
まだ見ていない方は、是非。


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