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「柔軟な判断」ができないリーダーが陥っている5つの思考


世の中にはいろんな「リーダー論」がありますが、最近では優れたリーダーに求められるのは謙虚で驕らないリーダーシップだという意見もあります。


今回は、柔軟に物事を考えるためにリーダーが知っておきたいことを話したいと思います。

ちなみに、あなたはリーダーに必要なものは?

と聞かれたら何を思い浮かべますか。


「力強さ」、「やさしさ」、「みんなをまとめる力」といった意見がでてきそうですね。

少し前までは”力強い”リーダーシップというものが求められていました。

アメリカでは、強いリーダーに求められる3つの「C」なんてものがあります。
それは、confidence(自信)、conviction(信念)、consistency(一貫性)です。

今まではこれがリーダーには必要な資質だと考えられていました。
自信に満ち溢れ、自分なりの信念を持ち、言動に一貫性がある人が良いリーダーとされてきたわけです。

そのため、ビジネス書でも「部下を動かす」とか「相手を意のままに操る」といった本がよく見られます。

しかし、ITアドバイザーとして活躍しているアル・ピタンパリによれば、「人を説得するためのフレーズや戦略ばかりを追い求めるうちに、我々は当たり前の疑問を忘れてしまった。——説得されるべきは、むしろ自分のほうではないだろうか」と記しています。

確かに私たちは他人を説得するノウハウというものを手に入れようとしますが、「素直に相手の意見を聞く方法」といったものはあまり求めない気がしますね(笑)

そもそも「素直になる方法」と言われても、多くの人が「自分は割と素直」と考えていたり、人の意見に流される人のことを意志が弱いと考えていたりします。
なかには”相手の意見を取り入れたいけど、素直になれない”と感じる人もいるかもしれません。

しかし、組織や現場のリーダーという立場だと、説得を受け入れたために「やり込められた」とか「言いなりになった」と言って非難されることもあるため、なかなか考えを変えることができません。

ピタンパリはこのような柔軟な考えを邪魔する5つの障害をあげているのでそれを紹介します。


①人間は認知的倹約家である
認知的倹約家ってなに?と思うかもしれませんね。
人間は何かを思考するとき、すべての情報をよく考えた上で判断しているわけではありません。
「めんどくさーい」と感じる労力のいる作業は、簡単な方法で直感的に判断することで脳への負担を少なくしようとします。 
この傾向のことを認知的倹約と呼んでいるわけです。

これはダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」を読むとわかりやすいのかもしれません。

ステレオタイプなどでもそうですが、枠にはめて考えることで思考するためのエネルギー消費を少なくしようとします。
脳にとって”思考”にエネルギーを使うよりも生命維持にエネルギーを回すほうが重要なんです。

そのため、自分の信念が間違っていることを示す新たなデータが出現したとき、それをまず否定します。
「その情報は間違っている」という決めつけは、それ以上考えなくても済むということにもつながります。

たとえば、時間に追われているときなど、心に余裕が無いときは人の話を落ち着いて聞くことができませんよね。
そんな時、あなたの信念を揺るがすような証拠を見せられても「本当かな?」とか「今までの考え方では通用しないかも、、、」といった判断はできません。
「そんなのは間違いだ」と決めつけ、思考をストップさせエネルギーを温存します。

つまり、人は基本的に今あるものを捨てて新しいものに取り組むエネルギーを惜しんでいるわけです。



②二元的思考

「白か黒か!」、「YESかNOか!」といったどちらかに分けて考える傾向の事を言います。

世の中のものをすべてこのように分けて考えることはできませんよね。
しかし、人は曖昧なものを嫌います。
ハッキリしないとモヤモヤした気持ちになることもありますよね。
私もそうです(笑)

また、一度ある立場をとるとそれを絶対と見なし、他の考えを受け入れ、変えることが難しい時もあります。

なので、新たな証拠が現れたとき、必ずしも判断を変える必要はないかもしれませんが、少しずつ考え方を修正する必要はあります。


③自分のセルフイメージが崩れるのを恐れる
私たちは自分自身のアイデンティティが危機にさらされるとき、そのことから目を逸らそうとします。

理想の自分が危機にさらされれば人は戦うか、そこから逃げ出すかといった行動を取ります。
つまり、真実を知ることで自分の大切なものが危うくなるとき、たとえそこから得られる利益が大きかったとしても、それを素直に信じることができないというわけです。


④そもそも視点を変えることは難しい
「相手の立場に立って」と人はよく言いますが、これが「難しい」ということを忘れてはいけません。

これが簡単にできれば世界はもっと人にやさしいはずです。

また、リーダーといった立場の人たちは、その”立場の強さゆえ”に様々な視点から物事を見ることが難しいといいます。

自分のやり方を押し付けて「俺のやり方はわかっただろう」といった態度の人もいますが、他人は理解することができません。
そのため、指示がきちんと伝わならかったりします。

効果的にコミュニケーションを行なって相手を動かすためにはまず、自分の事を理解してもらう必要があり、その上で聞き手のものの見方を考慮することが大切になります。


⑤説得され過ぎてはいけない
これはとても難しく感じますね(笑)

説得を受け入れるリーダーは難しい選択をし、不確実な状況でも行動を起こす必要があります。
そのため、”説得を受け入れるツール”をいつ、どの程度使うべきかを理解しなければなりません。

では、実際どんな時に説得をどれくらい受け入れればいいのか気になるところではありますが、そのことについては具体的には書かれてはいませんでした。

ただ、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールの心理学・経営学教授フィリップ・テトロックによれば、心を開きすぎてもダメだと言います。
「心を開きすぎればあり得ない可能性まで検討する誘惑に勝てなくなる。その結果、初めはちゃんと除外していた可能性まで考慮しはじめ、そのことに希少なリソースを浪費してしまう」と言います。

心を開きすぎてもダメ、閉じていてもダメと言われると難しく感じますが、そもそも明確な基準といったものはないのかもしれません。
職場の人間関係、信頼関係といったものに左右されるのではないでしょうか。

また、他者への信用の置き方についてフランスの認知科学者ヒューゴ・メルシエは「初めて誰かに会ったときなど大雑把な手がかりに頼らなければならない場合、信用に関する自分の判断を他人がどう見なすかについて過剰に気にしないようにするべきであろう」と言っています。

これは、相手の意見に意義を唱え、相手を疑うことで無作法に見えるものを恐れる傾向につけ込もうとする人がいるためです。

また、人に悪く思われたくないという気持ちは、他者を不当に信用しなくなる傾向があります。
なぜなら、実際に騙された時に自分が愚か者に見えてしまうのを恐れるようになるからです。

メルシエは「私たちはその種の社会的圧力に屈しないよう努力すべきだ」と言っています。
広く人を信用することは損をすることもありますが、長期的にはそれに見合った結果を生むといいます。
一つの考え方として、損をしたときは”必要経費”だと思うことです。

もし、信用し過ぎることを心配するのなら、信用しなかった場合のコストも一緒に考えるといいかもしれませんね。


難易度の高いものもありますが、この5つの事に気を付けていれば、自分の考えに固執することなく、上手に相手の意見を聞き入れられるようになるかもしれませんね。


今回はここまで

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それではまた次回お会いしましょう。

※この記事は主に私のアウトプットを目的に書いているものです。
参考にした資料(主に読んだ本)をもとに考察したもので、私の主観が多分に含まれています。
そのため、参考にした論文とは結論が異なる場合があります。
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