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村井康司『ページをめくるとジャズが聞こえる 村井康司《ジャズと文学》の評論集』まえがきと目次を公開

3月21日に新刊『ページをめくるとジャズが聞こえる 村井康司〈ジャズと文学〉の評論集』(シンコーミュージック・エンタテイメント)を出します。

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カヴァーは和田誠さん製作のジャズメン・ピンバッジを使わせていただきました。かっこいい装幀は名井昌代さんです。

どんな本か、ということをご説明するかわりに、「まえがき」と目次を公開します。

まずは「まえがき」です。

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  まえがき

 音楽を聴くことと本を読むことが子どもの頃から好きで、「趣味:読書と音楽鑑賞」という実にかっこ悪い人生を過ごしてきました。
 それが嵩じて書いたのがこの本です。

「Ⅰ」では小説とエッセイ、演劇に登場するジャズについて、比較的長めの文章を収録しています。村上春樹、フィッツジェラルド、ヴィアン、ケルアック、佐藤泰志など、大好きな作家を並べてみました。

「Ⅱ」には、さまざまな媒体に寄稿した、ジャズやその他の音楽関連書籍の書評を収めました。

「Ⅲ」には、野川香文、油井正一、相倉久人、中山康樹という4人のジャズ評論家についての文章、そして山下洋輔、南博、大友良英、菊地成孔というジャズ・ミュージシャンたちが書いた本+αについての文章を掲載しました。

 せっかくなら、文章に登場する音楽も聴けるようにした方が楽しいのでは、と思い立ち、「Ⅰ」のすべての文章、および「Ⅲ」の山下洋輔と大友良英についての文章の後に、スポティファイのプレイリストを作成して、QRコードを掲載してあります。スポティファイに存在しない演奏もあるので限りはありますが、なるべくその本の著者が聴いたであろう音源や、その本の中で推薦している音源を集めました。

 スポティファイでプレイリストを作成して、QRコードでそれを読み取れるようにしたのは、『現代ジャズのレッスン 1959年から考える』(アルテスパブリッシング)に次いで二度目です。プレイリストを作るのがあまりにも楽しいので、調子に乗って10種類も作成してしまいました。本の中に出てくる曲を、本を読みながら聴くことができる、という時代がやってくるなんて、少し前には想像もできなかったなあ、と感慨にふけってしまいます。
 曲の総数は462曲。たっぷりと楽しんでいただければ幸いです。

 履歴書の趣味欄に「読書と音楽鑑賞」と書いてしまうすべての人にとって、この本が楽しいものでありますように。

 2020年初春 函館にて
                                                        村井康司

続いては目次です。

    目次

まえがき 2


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  Ⅰ

「こういうことがつまりジャズなんだよ」 ―― 村上春樹とジャズをめぐる3章 10
「ジャズ・エイジ」のこだまは聞こえるか? ―― スコット・フィッツジェラルドとジャズ 46
恋とエリントンがあればいい ―― ボリス・ヴィアンとジャズをめぐって 75
指を鳴らせ! 世界を止めろ! ―― ジャック・ケルアックと「ビート・ジェネレーション」 93
夢のジャム・セッションが始まった ―― 斉藤憐/自由劇場『上海バンスキング』 109
最期の歌が多すぎて ―― 久世光彦『マイ・ラスト・ソング』 121
Let's Face The Music And Dance ―― 和田誠とジャズ 131
「この市街戦は前衛ジャズそのものだ」 ―― 佐藤泰志の文学とジャズ 148


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  Ⅱ

小川隆夫・平野啓一郎『TALKIN' ジャズ×文学』 172
アシュリー・カーン『ジョン・コルトレーン「至上の愛」の真実』 173
菅原正二『聴く鏡 一九九四―二〇〇六』 174
中川右介『カラヤンとフルトヴェングラー』 176
平岡正明『毒血と薔薇 コルトレーンに捧ぐ』 177
後藤雅洋『ジャズ耳の鍛え方』 178
中山康樹『ジャズ・ヒップホップ・マイルス』 179
ブリュノ・コストゥマル『だけど、誰がディジーのトランペットをひん曲げたんだ?』 181
ウェルズ恵子『魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ』 182
細馬宏通『うたのしくみ』 183
アシュリー・カーン『マイルス・デイヴィス「カインド・オブ・ブルー」創作術』 184
輪島裕介『踊る昭和歌謡 リズムからみる大衆音楽』 186
ウラジーミル・タラーソフ『トリオ』 187
小川隆夫『ジャズメン、ジャズを聴く』 188
小川隆夫『証言で綴る日本のジャズ2』 189
牧野直也『〈ポスト・ジャズからの視点Ⅰ〉リマリックのブラッド・メルドー』 190
小川隆夫『ビバップ読本 証言で綴るジャズ史』 191
行方均『ジャズは本棚に在り ジャズ書と名盤』 192
麻田浩・奥和宏『聴かずに死ねるか! 小さな呼び屋トムス・キャビンの全仕事』 193
小川隆夫『改訂版 ブルーノートの真実』 195


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  Ⅲ

熱い情熱と冷静な洞察 ―― 野川香文『ジャズ音楽の鑑賞』の先駆性 198
国土なき「ジャズ共和国」の誇り ―― 油井正一と『ジャズの歴史物語』 210
21世紀のための相倉久人 ―― 相倉久人『相倉久人の超ジャズ論集成—ジャズは死んだか!?』 220
悪だくみのスマイル ―― 中山康樹追悼 233
青春文学としてのツアー・エッセイ ―― 山下洋輔の初期エッセイを読む 238
無頼と含羞、天空と奈落 ―― 南博『白鍵と黒鍵の間に』解説にかえて 255
『あまちゃん』へ ジャズからの挨拶 260
菊地成孔と大竹伸朗 ―― 「夢の中のリアル」を顕在化させるためのノイズ 269
美しき妄想としての引用、あるいは「超訳」者としての菊地成孔 276


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あとがき 284
初出一覧 286
索引 295


というわけで、「ジャズと文学」について、ジャズ批評家の先達たちの仕事について、ジャズ・ミュージシャンが書いた本+αについての文章と、いろいろな媒体に寄稿した音楽書の書評を集めました。

プレイリストに収めた音楽を聴きながら読んでいただけるとうれしいです。


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