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台風の日には

いつからだろうか。いや、むしろもう誰もそんなことはしていないのだろうか。

台風の日には、コロッケを食べる。

ということを。
近所の揚げ物屋さんは「台風だ! 今日はコロッケが飛ぶように出るぞう」と張り切って仕込みをしているに違いないし、スーパーはコロッケ売り場でいつもの三倍のコロッケを売っているに違いない。

それを確認したいけど、そこそこ強い雨と風なので、出かけるのが面倒くさい。Uberでコロッケを運んでもらうか。いや、それとも冷凍のコロッケがひとつだけ残っているのをこの際やっつけてしまうという手もある。

しかし、ここで私は強く言いたい。

世の中のコロッケは、味が甘すぎる。

なぜジャガイモに砂糖を入れるかね。
どこぞの不埒者が甘いは正義と言うスローガンでも掲げているのだろうか。甘くて結局食べたくなくなるのよ。

ならば、自分で作ってしまおうではないか(ドン!

コロッケはね。素朴が一番だよ。
茹でて潰したジャガイモに、炒めて塩コショウで味付けしたひき肉をぶち込んでおしまい。必要なら塩を加える。あとはパン粉を付けて揚げるだけ。

私のコロッケは素朴だけど確実に美味しい。
私はコロッケはご飯のお供としてトップクラスの力があると信じてやまない。コロッケは揚げたても美味しいが、冷めてもまぁまぁ美味しい。ソースをかけると、ご飯としか組み合わせたくないくらい強固なおかずとして輝き始める。衣を箸で突きやぶり、ずっしりと質感のあるジャガイモが顔を出す。ひき肉の脂の香りとジャガイモのほくほくさが、私の頬を強めに落とす。びたんと音が出るくらい。

と、ここまで書いておいて言うのもなんだが、私が過去にコロッケを作ったのはたった一度だけだ。恥ずかしい。

でも最近、卵焼き用のフライパンで揚げ物をすると少量ならば簡単に揚げ焼きができることを知った。それで天ぷらを揚げたら、こんな私でもちゃんと天ぷらになった。この方法でコロッケを揚げれば、間違いなく簡単に自作コロッケが爆誕するはずだ。

ちなみに、私は一度だけ作った超超美味しいコロッケのレシピは以下の通り。

【材料 2人分 -私にとっては1人分】
じゃがいも 2個
ひき肉(牛でも豚でもミックスでも)120g ← テキトー
牛乳(大さじ1)
バター(大さじ1)
塩/胡椒(適量)
パン粉(衣用)
卵(バッター液)1個
小麦粉(バッター液)大さじ4

玉ねぎはコロッケが甘くなるので入れない。私としては、玉ねぎがない方が美味しい。コロッケの真髄は ”シンプルさ” なのだ。しかし、バターはスルーできない。断言していい。バターの香りをちらつかせたジャガイモは、イモでもモテる。だからといって、あなたが脇の下にバターを塗ったとしても、即モテにつながるとは言い切れない。っていうか、むしろやめた方がいい。バタ臭いと後ろ指をさされるだけだ。せめて、塩をこすりつけるくらいでやめておいてほしい。それなら誰も不幸にならない。

作り方は簡単。

① ジャガイモを皮付きのまま茹でる。皮に十字に切れ目を入れておくと皮が簡単に剥がれる。茹で時間は約25分を目処にするといい。串を差してスッと通ったらオーケー。

② その隙にひき肉を炒める。テフロン加工のフライパンであれば油はいらない。ひき肉ってまじで油すごいから。炒めながら塩コショウで味付け。(ちょっと醤油を入れて焦がしても美味しい)ちなみに、ひき肉は炒める時にあまりいじらない。少し焦げ目が入ったところでしゃもじなどを入れてバラバラにする。ちょっと焦げが入った方がなんでも美味しい。

③ 茹で上がったジャガイモの皮を剥いたら、素早くマッシャーで潰す。潰したら、熱々のうちにバターを入れる。更に牛乳を入れ、塩胡椒を少々。

④ ③に炒めたひき肉を入れて混ぜ、形をあなたの思うコロッケの形に整える。

⑤ 小麦粉と卵を混ぜてバッター液を作る。小麦粉の次に卵液というのが普通だが、それだと衣が剥がれたりするので、不器用な私はバッター液を使う。これだと温かいジャガイモのタネのまま揚げても事故がない。(と信じたい)

⑥ 形成したタネをバッター液に浸し、全体に行き渡せる。

⑦ ⑥にパン粉をつける。
⑧ 温めた油で揚げる。パン粉が黄金色になったら完成。揚げ焼きなので、油の温度はあえて書かないが、目安は180℃くらい。なんでも、だいたい180℃がなんとかなる温度だと私は信じている。

以上。脳内簡単。

さぁ、これで今夜はあなたもわんぱく飯をぺろりであろう。ぺろりは幸せのオノマトペだ。ぺろりの先にあるものは、それがなんであろうとだいたい幸せに繋がっている。

なんと、こうしているうちに外は雨も風も落ち着いてきてしまった。もうコロッケを食べる理由がなくなってしまったではないか。

私は窓の外を見て、膝を落とし絶望するのであった。

#わんぱく飯以前に
#米がない


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