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漫画家が収益を上げるために知っておくべきサービス11選+4

新型コロナウイルス、落ち着きを見せるどころか日に日に感染範囲を拡大していて怖いですね。最近では、漫画業界にも少なからぬ影響を及ぼし始めました。

全国的なイベント自粛の要請を受けて、4/5開催予定のJ-GARDENや5/2開催予定のコミケ98といった即売会イベントが軒並み中止を余儀なくされています。その流れを汲んで、5/17開催を予定していたコミティア132extraまで開催中止というアナウンスが流れました。やむを得ない事情とはいえ、普通に悲しいです。

漫画家さんたち、特に同人市場や個人で漫画を発表して収益を上げている作家さんたちにとって、お祭りイベントであり大きな収益源でもある同人即売会の中止は大きなダメージとなってしまうのではではないでしょうか。

そこでこのnoteでは、同人作家さんや個人で活動をされている漫画家さん、これから活動を考えている漫画家さんが漫画で収益を上げるために知っておくべきWebサービスについて、超ざっくりした解説を添えてこのnoteにまとめてみました。

なお、今回フォーカスしているのは「電子書籍やオンラインサービスで収益を上げること」なので、「紙の漫画でどうやって収益を上げるか」についての情報は弱いです。というか、紙の漫画であれば「とらのあな」か「メロンブックス」のどちらかに販売委託をすればまず間違いないかなと思います。

このnoteのターゲット

ざっくりと、以下のような漫画家さんを想像しながら書いています。

・商業誌でずっと漫画を描いてきたけど、同人活動にも興味がある方
・紙メインの同人漫画活動をしてきたけど、そろそろ電子書籍とかも出そうと思っている方(二次創作ではなくオリジナル)
・独自にストア配信したりしてきたけど、もっと収益を上げたいと考えてる方

要するに、デジタルに弱い漫画家さんのための入門編的なnoteです。基礎っちゃ基礎です。すでに個人で電子書籍をバリバリ展開していたり、いろんなツールやサービスを使いこなしている漫画家さんたちにとっては知っている情報が多いと思うので、逆に「このサービス使ってるよ!便利だよ」みたいな情報があればぜひお知らせください。いい情報は追加していきます。

※今回書いた情報は、2020年3月31日時点で各サービスサイトに書かれている内容をまとめたものです。もし誤りなどがあれば修正いたします

ネットを活用して個人で収益を上げるための3つの選択肢

大きく分けると、「個人出版(ダイレクトパブリッシング)」「個人出版(配信代行サービス利用)」「ファンコミュニティ系サービス」の3つに分かれます。

個人出版(ダイレクトパブリッシング)で収益を上げる

【超ざっくり解説】
セルフパブリッシング系のサービスでは、特定の電子書籍ストアに直接自分の作品を登録し、配信まで行うことができます。取次や仲介業者に仲介料を取られずに「自分で何もかも管理したい」という漫画家さんにおすすめの電子書籍配信サービスです。

メリット…自分で何もかもやるから売上の還元率は非常に高い。基本的に自分の目の届く範囲内に自分の作品を管理できる。
デメリット…写植、データ化、表紙デザイン、アカウント登録、作品登録、売上管理などすべて自分でやらなければいけない。原則として一度の登録で一つのストアにしか配信されないため、複数ストアに配信したい場合はそれぞれのストアでアカウント・作品登録をしなければいけない。

個人出版(ダイレクトパブリッシング)の代表的なサービス

・Kindle Direct Publishing(KDP)…Kindleのみで独占配信すると売上の70%(その他ストアに同時配信なら売上の35%)が作者に還元される。国内最大規模の電子書籍ストアのため、当たればデカいがその分埋もれる可能性も高い。紙の本の販売もできるが、電子書籍のみの利用者が多い印象。

・BOOK☆WALKER…独占配信でもその他ストア同時配信でも報酬(ロイヤリティ)として売上の50%が作者に還元される。売上規模ではKindleに劣るが、同人誌カテゴリがあるので同人作品系は相性がいいかも。

・FANZA…成人漫画を描いている漫画家さんにおすすめの電子書籍ストア。販売価格に応じて、売上の30%〜80%が作者に還元される。
※独占配信と他ストア同時配信による還元率の変動は確認できず

・DLsite…FANZAと並ぶ、成人漫画を描いている漫画家さんにおすすめの電子書籍ストア。売上の60%が作者に還元される。販売価格が4000円以上の場合は還元率80%だそう。
※独占配信と他ストア同時配信による還元率の変動は確認できず

個人出版(配信代行サービス利用)を使って収益を上げる

【超ざっくり解説】
セルフパブリッシング系サービスとは違い、漫画を配信代行サービスを展開する企業(またはエージェント会社)に預けて、取次を介してたくさんの電子書籍ストアに一気に配信してもらうことができます。

メリット…作品データや情報を提供すれば、個人では配信できないストアを含めて一度の登録で複数の電子書籍ストアに自分の漫画が配信される。会社によっては販促活動も行ってくれる。
デメリット…仲介料やら取次手数料などが取られる。データ差し替えや作品の取り下げなどが個人でやっているよりも自由にできない。

個人出版(配信代行サービス利用)の代表的な会社・サービス

ナンバーナイン…契約作家数480名以上、配信作品数1300以上の実績を持つ業界大手。作品の売上は、取次会社などから支払われた金額の40-80%程度(預かるデータの状態によって変わる)が作者に還元される。配信可能ストア数は最大約170(2020年3月31日時点)。強みは配信後の積極的な販促活動と、毎月の利用明細をWeb上で簡単にチェックできる印税報告システム「pippi」。
※自社サービスのため他より少し情報量が多いです

・電書バト…漫画家の佐藤秀峰氏による老舗配信代行サービスで、電子書籍黎明期より同サービスを展開。作品の売上は、取次会社などから佐藤氏の事務所に支払われた金額の65-80%(利用規約参照)が作者に還元される。配信可能ストア数は約50(下記HP参照)。

・コンパス…白泉社の元「花とゆめ」編集長・石原史朗氏が独立し立ち上げた会社。オリジナル漫画制作を行いつつ「デジタル出版代行」という名前で配信代行サービスを展開。昨年7月ごろよりサービススタートしたため、詳細記載なし。

ファンコミュニティ系サービスで収益を上げる

【超ざっくり解説】
漫画に限らず様々なコンテンツを投稿したりファンと交流したりすることで、コンテンツへの投げ銭や月額定額課金で収益を上げることができます。コミュニティサービスの肝は、「無理なく自分のペースで継続すること」。基本的にじっくりコミュニティを育てていく必要があるため短期的なスパンで収益を上げることは難しいですが、例えばTwitterフォロワーが1万を超えていたり過去にヒット作があったり、すでに一定のファン(フォロワー)がいる方であれば早めに収益を上げられる可能性が高くなります。

メリット…漫画だけでなく日々のつぶやきやイラスト、プロット、落書き、動画配信、音声配信など、ファンのニーズに合えばどんなものでもコンテンツにできて、収益化ができる。定期的な創作資金を集められる。自分のファンが可視化される。
デメリット…続けなければいけないので飽き性にはつらい。コンテンツ投稿し続けるのがまぁまぁしんどかったりする。フォロワーが増えなかったら続けるのが辛くなる。

代表的なコミュニティサービス

・pixivFANBOX…pixivが運営する、好きなクリエイターに毎月定額支援ができるファンコミュニティサービス。インフルエンサーから商業漫画家さんまで幅広いクリエイターが利用しており、人気の人は数千人規模でファンがいて、月数十万円の定額支援をもらっている人もいる。

・note…ピースオブケイク社が運営するコンテンツ配信サービス。というかこのエントリーを公開してる場所でもある。記事一本を販売することも、マガジン化(定期連載)して月額定額で販売することも可能 。

・CAMPFIREコミュニティ…クラウドファンディングサービスCAMPFIREが運営するオンラインサロン。見たところ漫画家系で大きなコミュニティはなさそう(安彦良和さんが最近始めたみたい)なので、自身をコンテンツ化できる方は意外とチャンスかも?

・BOOTH…pixivが運営するクリエイター向けEC(ネット通販)サービス。自分の作った漫画だけでなく、キャラクターグッズやイラスト、サインなど様々なものを販売できるため、ファンがついている方であれば個人でグッズ販売を行うことができる。プラットフォーム手数料が安い。

【番外編①】 とはいえ商業誌連載も目指したい方向けサービス

「それでもやっぱり漫画一本で勝負して、商業誌で大ヒットを目指したい」という方は、よほど器用な方でない限りはコミュニティサービスを活用することはあまりおすすめしません。なぜならしんどいから。

絶対に漫画一本でいくという気持ちで臨む場合は、いまはいわゆる「漫画の持ち込み」と近い行為もオンラインでできちゃうので、そのサービスを利用されることをおすすめします。

商業誌連載を目指す漫画家におすすめのサービス

DAYS NEO -デイズネオ-(講談社)…漫画家と講談社の漫画編集者とのマッチングを目的とした、媒体横断型の漫画投稿サイト。いわゆる編集者ガチャと言われるような、誰が担当につくか分からなかった従来の漫画家と編集者の関係性を根本から見直し、漫画家と編集者がフラットな関係で繋がれる画期的なサイトです。もし自分で面白い漫画やネームが描けたら、TwitterだけでなくDAYS NEOに投稿してみることをおすすめします。

・ジャンプルーキー(集英社)…キングオブ少年漫画誌「週刊少年ジャンプ」への掲載・デビューチャンスがある、集英社運営の漫画投稿サイト。紙が売れないと言われる中でも「ジャンプで描きたい」という漫画家さんだけは本当によく聞きます。チャンスを得られるのなら、逃さない手はないですね。

【番外編②】 漫画制作のスキルを磨きたい駆け出し漫画家さん向けサービス

上記のサービス群は、自分が描いた漫画を商品化したり、自分自身をコンテンツ化するためのサービスです。ここで紹介するのは、「まだまだ漫画がうまくなりたい」「ノウハウを学びたい」という方向けのサービス。最近はちらほら見かけるようになってきました

・コミチ…コミチは漫画家の成長をサポートするサービス。出題されるお題に対して漫画を描いて、みんなからの反応や編集視点でのコメントがもらえる。他にも広告漫画の紹介や漫画賞の定期開催などもあり。

・東京ネームタンク…週刊少年サンデー(小学館)での連載実績を持つ漫画家・ごとう隼平氏が代表を務める、ネームの構造を体系的に学ぶ教室を運営。Webサービスではないが、初心者から商業連載経験者まで幅広い層が受講しており、漫画(ネーム)をちゃんと勉強したい方におすすめ。

漫画家としてのキャリアの選択肢を持つ

サクッとまとめようと思ったら5000字近くなってしまいました。改めて、J-GARDEN、コミケ98、コミティア132extraと、立て続けに同人即売会が開催中止となってしまったことがとても残念で、悲しいです。

でも、そうは言っても人生は続きますし、みなさんの創作活動を止めるわけにはいきません。

漫画家の皆さんは、とにかく選択肢を複数持っておいてください。知っているだけでもいいと思います。そうすれば、「AがなくなったらBかCをやってみよう」という次のアクションに繋がりますし、気持ち的にも軽くなります。

一般企業でも、コロナウイルスの影響で加速度的にテレワークやリモートワークが浸透していきました。不測の事態が起こる時は、過去の慣習にとらわれず新たな取り組みを推進するチャンスと捉え、未来への投資をしていただければと思います。

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ありがとうございます!お会いする機会あったらおすすめ漫画差し上げます。
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1985年兵庫の宝塚生まれ。関西学院大学→求人広告制作→Webメディア編集→schooディレクターを経て、 「世界中の人々を漫画で豊かにする」をMissionに掲げるナンバーナインに参画。※アイコンは昔青野春秋先生に描いていただきました

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