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アピアランス・ルールブック|Adobe Illustrator Tips

イラレをそれなりに使っている人たちは「アピアランス」と言う謎の呪文をよく唱えています。昨今はそれに関連したテクニックなども発信されるようになってきましたが、多くの人はそれを見て、真似はできても意味はわからないでしょう。

そこで今回は入門編として、それらを「理解する」ためのアピアランスの基礎知識を簡単にまとめました。あくまで理解するための「下地」であり、具体的なテクニックは動画や書籍などで自分で解読をしてください。

前半の概要部分は無料公開ですが、後半の具体的な解説はマガジン購読者限定です。(マガジンについて詳しくはこちら


アピアランスってなに?

定義

イラレにおけるアピアランスとは、パネルの一種です。ウィンドウメニューの「アピアランス」から開くか、パスなどを選択時のプロパティパネルに表示されます。

アピアランスパネル

アピアランス(appearance)とは「外観・見た目」の意味です。つまりアピアランスパネルとは、選択中のオブジェクトの、塗りや線など、見た目に関する設定をまとめたパネルです。

具体的には「塗り」「線」「不透明度」「効果」の4項目を指しており、これらを一覧および編集できるパネルだと思ってください。


あくまで「シミュレーション」である

効果などを適用することで、パスの形状などを変化させることができます。しかしそれはあくまで「見た目だけのシミュレーション」であり、実際のパスの形状は変化していません。オブジェクト>アピアランスを分割 などを適用して、初めて実際にパスが変化します。

「線幅」を大きくすると見た目は太くなりますが、実際のパスは変化していない。パスのアウトライン化をして初めて「見た目通りのパス」になる、と同じです。

アピアランスの状態ではパスの形状は変化していないので、効果で変形した後の形状のパスを編集することはできません。一方で、適用後に効果の数値を変更したり、効果を削除して元の状態に戻すこともできます。


「アピアランス技」とは

あくまで通称であり正式な用語ではありませんが、アピアランスの特性を活かした特殊な装飾テクニックです。

アピアランスはただ見た目の設定を一覧するだけの機能です。しかし「複数の塗りや線を重ねられる」「複数の効果を適用できる」などの特性により、擬似的なプログラミングのような処理をすることができます。

それにより通常のオブジェクトでは不可能な特殊加工を施すテクニックを「アピアランス技」と言います。

一般的(?)には、テキストを打ち替えるとそれに合わせて変形する装飾や、パスの形状を変更しても崩れない加工など、いわゆる「非破壊」的な装飾データを作ることが多いです。


難しいの?

アピアランスと言えばものすごく複雑で覚えることが多いような印象ですが、数個の単純なルールと、効果などの機能の性質。あとはその組み合わせのみで理論上は全てのアピアランス技を使えます。

これは学校で習う「数学」と似ています。「数字」といくつかの「公式」さえ使いこなせれば、理論上は応用も含め全ての問題が解けます。他の教科に比べれば「暗記」の量はかなり少ないと言えるでしょう。

効果を全部覚えるのも大変そうに見えますが、例えば「パスの形状をランダムに崩したい」という目的に使える効果はせいぜい2〜3種類です。そのように「役割」で考えると、実はかなりシンプルな選択肢だけだったりします。

なんとなく伝わったと思いますが、アピアランスはかなり「理系」寄りな技術です。感性的な思考のクリエイターとは相性があまり良くないのも、アピアランス=難しいというイメージの原因の一つでしょう。

アピアランスの概要については以上です。
次から具体的なルールについて説明していきます。

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