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大学教員の就活―応募書類の準備と二次選考の一事例(2)―

前の記事の続きです。

そして面接へ

 二次選考の面接では、複数の選考委員の先生方から多種多様な質問を受ける。面接では何を訊かれるかわからない。就活中の学生と同じく、企業研究をしっかりしておくべしだ。いわゆる「3ポリシー」はもちろん、学部学科の教員の構成、学生の様子、その大学で最近話題になったこと、組織の沿革など、公式サイトでわかることで良いので確認しておく。
 とはいえ、どこであってもおおむね最初は似たような質問で、やがて個別の(応募者の業績や個性、模擬授業から得られたことによる)質問になるだろう。今回はわたしが受けた面接(最終的に内定をいただいたところ)で頂戴した質問を、備忘録を兼ねて記事にしたい。

大学の授業に関する質問

  • なぜ今回の公募に応募したか。(ちなみにあとで「他にも公募を出しているか」も訊かれた。どう答えるのが正解なのかいまだにわからない)

  • 現在受け持っている授業を教えてほしい。そのうえで、この大学ではどんな授業をしたいか。

  • あなたの研究の「◯◯」を学生が学ぶことにはどのような意義がある?

  • 着任したらどのようなゼミ活動をしたいか。

  • (対面授業が困難だった時期)コロナ禍でどう授業をする?

  • あなたの研究を、ここの大学の学生にわかるように自己紹介してほしい。

学生対応に関する質問

  • あなたの学生指導のポリシーをひとことで表すと?

  • 教員にとって大事なことは何?

  • 〝問題のある〟学生にはどう対応する?

  • 今まででもっとも印象に残っている学生対応は何だったか?

  • 今の若者たちは、あなたからはどのように見えているか。

大学そのものに関する質問

  • この大学にどんな印象をもっているか。良いところと良くないところを挙げてほしい。

  • この学科の魅力は何だと思うか。

  • どのような委員会業務をしていたか。

  • 大学の業務と研究とのバランス(エフォート)はどれくらいと考えているか。

  • 実際のところ、現在の大学から転籍できそうか?

  • オープンキャンパスや高校生向けの業務の経験はあるか。どんな授業をして、高校生の反応はどうだったか。

  • 高校生(受験生)を集めるために、この先どんなことをしたいか。

研究活動に関する質問

  • なぜ「◯◯」という研究テーマをすることになったのか。

  • 今後の研究活動の目標を教えてほしい(「うちはあなたの専門性が活かせるような研究拠点にならないけれど……」との前置きあり)

  • わたしは「△△」を専門に研究しているが、あなたの領域とわたしの領域とをつなげる研究のアイデアはないだろうか(おい^^;)

最後に・・・・・・

  • そちらから質問は?(→「先生方からご覧になって、学生たちの印象はいかがですか?」)

  • うちは研究もできるし、科研費をとっている教員も多い。うちはいいところだよ。

二次選考の面接が終わったら

 終わったら挨拶をして帰宅する。手応えを感じられたなら興奮冷めやらぬ状態かもだけれど、とにかくなんらかの連絡を待つ。選考委員会の会議と、場合によっては学科会議での審議があるので、やっぱり時間がかかるのだ。第一候補(最終候補)になれば次は最終選考、学長・理事長+理事会の面接が待っている。
 ネット上では、「合格」の場合は二次選考が終わったその日や2、3日後に電話などで連絡があるという言説を見かけるけれど、その経験はまったくない。いずれも1ヶ月くらい待ったのちに最終選考の連絡が届いた。大学のほうでは、第一候補を決めるまでに、選考委員会に加えて資格審査委員会など複数の会議体がある。各種会議の日程もあらかじめ決まっている。「近日中に連絡」なんて、よっぽど優秀でよそに行ってほしくない方か(なおかつ選考委員会に最終決定権がある)、年度末で着任まで時間がないときか、なのでは……?
 それにやはり、最終選考での理事会の決定、それを受けた教授会での最終決定がないと、内定通知を出すことができない。任期途中での「割愛」の提出、現任校での後任教員探しなど、スムーズに進めなければ互いにトラブルが起きやすいからだ。
 ただ、いずれにしても二次選考がもっとも大きな関門なので、それを通過すればあともう少し。最終選考にぬかりなく臨むために、法人組織や公開されている情報にも目を通しておく。私立大学では「学園」設立の経緯や創立者のこと、いわゆる「建学の精神」が重視されるので、しっかり頭に入れておかなければならない。面接での、学長や理事長への自己アピールに説得力が増すと思う。

面接の前も終わったあとも胃にくるけれど・・・・・・

 「待ち」の時間はつらいけれど、3週間くらいたつと、あぁこれは見込みなしかもな? という諦めの気分になってくる。1ヶ月たつともう、ないなこれ、とほぼ諦める。忘れたころに届く「お祈り(&応募書類一式の返却……)」。募集要項に「応募書類は返却しません/返却を要する方は返送用封筒(切手を貼ったもの)を同封してください」と書かれている場合、わたしは業績はコピーしたものだけなので封筒をつけたことがない。なのにたまに、個人情報の管理の観点からか返送されてくることがある。幸か不幸か、業績のコピーがキレイな状態で戻ってきていれば(丁寧に扱ってくれたのか、それとも読んでくれなかったのか)使い回せる。。。と、無理やり前向きに捉えよう。
 そんなわけで、大学教員の公募は内定まで最終的に3ヶ月くらいはかかる。胃の痛い時間が長いけれど、その間も授業や委員会やその他業務はあるし、自分の仕事に意識を集中してすごすのみ。ちょっとでも気を紛らわして、また次の公募をチェックしていきましょう。
 
 今回は自分の記録も兼ねて記事にしてみました。大学教員の就活体験記はたくさんありますが、本当にケースバイケースなので、結局は「人と大学と公募の内容による」です。ですが、もしもなんらかの参考になれば幸いです。がんばろうがんばろう。

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