曼荼羅とは 【エッセィ】

曼荼羅とは


   

   1


 音楽が流れ出した。時の到来を告げる音楽が。


   

   2


 脳に収納された世界。
 
 表向きにも裏向きにも同等の世界であるということ。

 それは、一人一人に、世界世界だ、ということ。

 皮膚の内と外、という問題意識。

 脳、と呼び慣わせたるモノ、この頭蓋骨に埋め込まれたる具体的なモノにこだわったなら、「脳に収納された世界」の「世界」もまた、モノ、であるべきだが、今「脳に収納」などと口走ってしまったのは、思いとして「世界」という機能を含ませたかったのに違いない。そもそも、スタティックな「世界」というのはなんだか絵画的で、実に装飾的、着飾るためか、はたまた幼児のおもちゃのためか、それらのように、かの「世界」は戯画化、矮小化せざるを得ない。
 そうした「世界」ならば、脳という一器官が捉えて止まないその「世界」は一つに限るのか? 全てを包含して倦むことのない「世界」だが、全てを含んだ上でさらに「世界2」をも想定できないか? 脳という器官とその機能的方法が人間にとって実に人間的であるがゆえに優れているのは、すぐさま、「世界」の多様性と、その多様性込みの一つであるところの物質的「世界」を数えてしまうところにある。しかして、ここに現れるのは曼荼羅なのだ。

   

   3


 「世界」の多層化と、それの認識を示す図のことを人は曼荼羅と呼び慣わす。

 

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