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ここ数年ずっと「ストーリーとはなにか」を考えてきた

新商品の開発秘話と開発者の想いを語るストーリー。
どん底から復活した経営者のストーリー。
お客さまからいただいた心温まるストーリー。

「ものを売るんじゃない、ストーリーを売るんだ」と言われるようになってから10年以上が経過しています。

すでに世の中には、ストーリーが溢れている。では、もうストーリーで伝えることには価値がないのか?

そんなことはありません。いつの時代も優れたストーリーは人の心を捉え続けます。

ただ、面白いかそうでないのか、よりシビアに判断されるようになっているのは間違いありません。5年前だったら読んでもらえた記事も、いまではスルーされることもめずらしくありません。

企業がストーリーを発信していくなら、圧倒的にクオリティを上げていかないと興味を持ってもらえない時代なのです。

ストーリーは登場人物、あらすじ、結末があれば書ける?


ストーリーの作り方を教える書籍はたくさんあります。

ある人は「驚きがなければストーリーではない」という。
ある人は「予想+予想の裏切りがストーリー」という。
「谷底に落ちてそこから這い上がるのがストーリー」といった人もいた。

どれも、間違っていません。

私は編集者としてストーリー的な記事をずっと編集してきたので、こういう感じで構成すればストーリーになるというのは感覚的にはわかっているつもりでした。

ただ、「ストーリー」と「ストーリーではないもの」の違いを明確に説明できるかと言われると、できませんでした。

ここ数年はずっと「ストーリーとはなにか」を考え続けてきました。関連書籍もたくさん読みました。ストーリーを定義するのは難しいなぁと思う日々が続きました。

有名企業の広報が書いた「企業ストーリーの作り方」みたいな本も読んだのですが、実際に担当している企業にはうまくフィットしませんでした。

一般的に、

登場人物(キャラクター)
あらすじ(構成)
結末

の3つの要素があればストーリーは成立するとされています。

では、「この要素を使ってストーリーを作ってみてください」と言われて、すぐに企業のストーリーを作ることができるでしょうか? 私の答えは「ノー」でした。

3つの要素を確認してストーリーを書き出してみても、「何を書きたかったんだっけ?」という落とし穴に落ちてしまうのです。加えて、自分で読んでも面白くない文章になってしまうんですよね…。

そもそも私は、ゼロイチでストーリーを作りたいのではなく、企業の情報をストーリーに変換して伝えたかったから。

ストーリーには「問い」が必要
読みやすくて面白いストーリーはどうやったら書けるのか試行錯誤を続けてみて、わかったのは、まずストーリーには
「セントラル・クエスチョン(以下CQ)」が必要ということでした。

CQとは、「読者は何を期待して見ればいいか、一言で言える問い」のことです。

例えば『ロッキー』であれば「引退寸前のボクサーがチャンピオンになれるのか?」

『インデペンデンス・デイ』であれば「攻めてくる宇宙人と戦って地球を守れるのか?」

『半沢直樹』であれば、「半沢直樹は倍返しができるかどうか?」

”クエスチョン”なので、”問いかけ”が基本ですが、CQが「成し遂げるべき目的」や「克服すべき課題」を示す場合もあります。

『全裸監督』のプロデューサー・たちばなやすひとさんの著書『「物語」の見つけ方』の中では、CQは次のように説明されています。

CQで最も大切なのは、相手に期待させることです。何に期待すればいいかが分からないとストレスを感じます。特に情報が溢れている時代では、短時間で相手の心を掴む、つまり「期待」させる必要があります。そのためできるだけコンパクトに強い印象でCQが何かを提示することが必要なのです。

(たちばなやすひと『物語の見つけ方』より)

そして、読者を惹きつけるためには、CQを物語の最初に示すことが重要です。映画の場合は、予告編でCQを示します。

「何を(何に)期待して観ればいいか」が明確であればあるほど、観客はストーリーを想像し、期待に胸をふくらませて作品を見ることができます。

「実はこんなことを描いたストーリーでした」と後出ししてはいけない理由は、CQが最初に分からないストーリーに、お客さんが耐えられなくなっているからです。

試しに、LINEマンガに掲載されている作品のタイトルを見てみてください。

『最弱なおれが異世界転生したら最強になった』といったような、タイトルがそのままCQの提示になっている作品がほとんどです。

もし『ONEPIECE』がLINEマンガで連載をスタートさせていたとしたら『おれは海賊王になる』というタイトルになっていたかもしれません。

企業がストーリーを語る場合も、まずCQをわかりやすく提示する必要があります。企業の創業から現在までをただ時系列で語るだけでは、ストーリーとは言えません。

まずは、「読者は何を期待して見ればいいか?」をわかりやすく提示しましょう。企業の場合は、実現したいビジョンや世界がCQになります。

読者に提示したいCQが決まったら、そこからどうやってストーリーに落とし込んでいくのか、次回以降で具体的に解説していきます。



株式会社コルクラボギルド 代表
頼母木俊輔(たのもぎしゅんすけ)

今なら「企業の物語」作りが体験できる、初回コンサルティング60分が無料で受けられます。貴社のなにを言語化すべきなのかから、一緒に考えていきます。お気軽にご相談ください。

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