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日々、試行錯誤中

 昨日より今日、今日より明日、つい一日が過ぎていくなかで、常に新しいことや、面白そうなことを見つけられたら、と思いながら過ごしています。

 我が家にオルガンが来て、妹が幼稚園で音楽教室なるものへ行きはじめたとき、同い年の幼馴染も通っていることを知り、自分も行きたいと思いましたが行かせてもらえませんでした。我が家に「エレクトーン」なるものが来た時、やっぱり教室へは行かせてもらえませんでしたが、妹のテキストを見様見真似でひき始め、いろんな曲がひけるようになりました。そんななか、楽譜に書いてある和音コードに興味を持ち、試していくうちになんとなく理解できたような気がして、小学校の音楽の先生にこれで合ってるのか、聞いてみましたら褒めてもらえました。褒められれば嬉しい。もっともっと理解しようと思うようになったのでした。

 時は1970年、大阪万博会場でのこと。人気の月の石や宇宙船、リニアモーターカーなどの混雑するパビリオンはパス…。その代わりに唯一、ちょっと混雑していたけれど、ぜひ行ってみたいところ、古河グループのパビリオンでは、お客が鐘を叩いて奏でたメロディーをもとに、コンピュータがアレンジし、ロボットが電子オルガンを自動演奏する、という展示があったのです。これはもう大興奮でした。

 その興奮が醒めやらぬ間に、太陽の塔があったお祭り広場に隣接する池の大噴水が、BGMにあわせてコンピュータ制御でライティングを変化させつつ、さまざまなパターンで水の織りなす様子に、これまた大興奮。思えば、このとき、コンピュータと音楽が、私の中で結びつき、将来進むべき道標となったのだと思います。

 コンピュータ(当時は、計算機)について学ぼうと決意したのは、普通の人とちょっと動機が違ったかも。たぶん、言葉にするとこんな感じ。(音楽をやりたいから)計算機の作り方を学びたい〜〜。なんとも不純な動機でしたが、やがてマイコンが登場し、パソコンが登場し、電子楽器を制御する仕組みとして、MIDI(Musical Instruments Digital Interface)なんぞというものまでできてしまった。あと何年か早かったら、卒業研究は「電子オルガンの自動演奏のためのリアルタイムシステム」などにはならなかっただろうなぁ。

 パソコンが登場してすぐの頃、米国のByteという雑誌に、HP社のパソコンを使ってHP-IBで楽器を自動演奏してみた、という記事が載っていて、同じようなことを考えている人がいるんだなぁと思ったり。そういえば、後でパソコン関係の知り合いの他社の人も、この記事読んだと言ってたなぁ。。

 社会人になるとき、どんな会社へ行きたいか?と先生に問われ、まよわず「音楽に関係のある会社へ」と答えました。で、最初はオーディオ機器のエンジニアとしてしばらくテープデッキをいじってました。オーディオ機器のなかでは、子供の頃からテープレコーダーを分解・組み立てを繰り返したりして遊んでいたので(この話は長くなるので、またいつか)。アルバイトして貯めたお小遣いで買ったポータブルデッキの設計者が目の前に大先輩としている・・・恐れおののきました。ですが、大好きなテープデッキのお仕事は突如デジタル・オーディオをやれということで終わりを告げます(このあたりも長いので・・・また、いつか)。そんなこんなで、長いこと皿回し(銀色のお皿)をやっていましたが、パソコンが作りたいと駄々をこねてパソコンの開発を始め、基礎設計が同じものを何機種か商品化して頂きました。サーバもやりたい!とサーバも手がけたり・・・ いぁ、話が逸れ過ぎました。ある年の楽器フェア(当時は、九段の科学技術館で2年に1度開催)で、パソコンにMIDIを搭載すればシンセサイザーが動かせるという発表を聞き、これに飛びつかない理由はない!と、いろいろ買いましたよ。

 ROLAND社のマイコン搭載MIDI拡張ボードに、シーケンスソフト、YAMAHAのDX-7。最初のMIDIソフトは、最大同時発音数が6音でしたね。当時、この6音で完結するように、いろいろアレンジしてたりしました。なかには、交響曲を6音で・・・コンデンス版ですね。まぁ、割と忙しい会社人間やってましたが、週末は毎週徹夜に近い感じでMIDIデータを打ち込んでいましたっけ。いつしか機材も増え、パソコンも高性能になり、16CHや24CHのレコーディング用の卓(ミキサー)や大量のパッチベイなど、結構気合の入ったパーソナル・レコーディング・スタジオになってしまいました。置き場所と機材の発熱量が大問題だったです。

 今はMIDIに関しては、すべてパソコンで完結するぐらいまで集約されてしまいましたが、まだ一部の機材は残したままで、たまに灯を入れて懐かしんでいます。

 思えば、ずいぶん早い段階でコンピュータによる音楽の自動演奏が可能になったはずなのですが、ここまで引きずっているには、私なりの理由があります。まず第一は、やっぱり演奏するのが好きだから。自動演奏であっても、自分なりの解釈で曲作りをするのは、指揮者の行う作業と似ていると思います。第二は、まだ完全にはできていないことがあるから。しかし、これは最近になって、かなりできるようになってきたので、もうちょっとかな。実はこれ、管楽器や弦楽器では当たり前のように、奏者が自動調整して音を合わせているもんだから、たいていはきれいな響きはきれいに純正律に準じた音で鳴っているのが普通です。ピアノの世界では考えるまでもないことですが、実は、MIDIを使ったシンセサイザの自動演奏って、基本的な考え方自体が鍵盤楽器前提で成り立っているんですよねぇ。だって、簡単に入力するには鍵盤って都合が良いですし。だから、普通にシンセサイザによる演奏って、ほぼ、ピアノと同じような平均律で鳴ってる。だけど、実際のオケやアンサンブルで弦楽器、管楽器は、きれいに響く時は純正律に近い感じで響くからきれいなわけで。

 はぁ、長くなりました。私がまだコンピュータの自動演奏について引きずっている第三の理由。それは、近年になって、ようやく、本当に納得できるレベルで、いろいろな音源が出てきたことです。こうなると、やっぱり指揮者の気分ですよ。かなり前からGigaSamplerあたりでは、それなりにきれいな生楽器の音が登場していました。私もいくつも購入(散財)しました。けれども、あれから20年以上たった今、それはもう凄いことになっていますので、ちびちびとお小遣いを貯めては、新しい音源ライブラリを買って、データをいじっては演奏させてみて、にやにやしている、というわけです。

 結局のところ、コンピュータで音楽を演奏させる、という行為は、いったいどういう意味を持つのか、まぁ、これについては、学生時代の卒論の考察以来、ずっと考え続けているんですが、いろんな方のご意見も伺ってみたいなと思います。しかし、音楽大好き人間としては、ただただ、演奏させるという事だけでも大変嬉しいことで。下手でも自分のできるところでの演奏には違いないのです。

 といったことを考えている私が、noteでこれから音楽、音楽とコンピュータと音響(DAWやらも)について、また、コンピュータについて、日々悩み、試行錯誤するなかで情報共有できれば嬉しいなぁと思います。ただ、ご覧のように、たいてい、長い文章になってしまうのがアレですが。。

2021年6月

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