会議で論点が噛み合わない時は、議論の階層を整理して考える
会議などで議論が噛み合わない時、話をしている対象の階層が違うということがあります。
目的
まずは話し合う目的は何なのかを共有しておく必要があります。
その際、多くの社員は「上司からこの会議に出るように言われたので参加しています」というように、そもそもの目的を理解していないことがあります。
議論が白熱した際に、目的とは関係ない話をくどくど始める人もいるので、会議を始める際に「この会議の目的は『会社の経営課題の棚卸しをすること』です」というように、最初に釘を刺しておくのがベターです。
戦略と戦術
概念からすると、「戦略>戦術」。戦略という進むべき方向性があって、初めて、その方向に進むための手段や方法が生まれてきます。
私は旅行好きなので、事例では「東京から大阪に行くのか、札幌に行くのか」を決めるのが戦略、大阪に行くと決まった時に、「新幹線で行くのか、飛行機で行くのか」を決めるのが戦術と説明しています。
つまり、進むべき方向が決まって、初めてその方向に進むための手段を議論するという順番です。
その際、「私は鉄道好きだから、新幹線で行く」みたいな話を先にしだすと、混乱を招きます。まずは、戦略について決めるのが先。これをごちゃまぜにしていると、論点が噛み合いません。
業務
戦術まで決まった後、具体的にどうやるかはできるだけ現場レベルに任せるのがベター。なぜなら、現場にいる社員の方がよりリアルな現実を知っていることが多いからです。
例えば、先の例の続きで、
・戦略:大阪に向かう(進むべき方向)
・戦術:新幹線で行く(進むための手段)
が決まった後、具体的に行動するには
・予算はいくらか
・何時の新幹線に乗るのか
・切符はどのように買うのか
といったことを決めないと、戦略が遂行されません。
予算など会社で予め決めるべきことは明示し、各人が自分で考えて行動してよい範囲をハッキリさせておくことがポイントになります。
社長から社員まであらゆる階層の人が参加する会議で、意外と議論が白熱するのが、この業務の点。
それは、業務に関しては、戦略や戦術に比べて、より具体的であり、イメージしやすいからです。このため、言葉の揚げ足取りのようなやり取りが交わされる可能性があるのです。
けれども、細かい業務のやり方を意見の違う人たちが多数集まって「あぁでもない」「こうでもない」と議論するのは、時間対効果として無駄が多いです。
そのことで時間を費やすなら、一段上の戦術レベルでルールを決めて、
新幹線の普通車指定席で行く
というように、誰もが分かる基準を作ることに時間を使った方が効果的です。
最後に
複数の人が集まって議論をする際には、「今は何について話をしているのか」を明確にする必要があります。
目的についてハッキリさせた後で、合意できるのは、戦略までなのか、戦術までもOKなのか。
業務で意見が異なるのであれば、戦術レベルでどこまでなら了解を得られるのか。
総選挙も始まりましたが、政治家の先生方にも、せっかく論戦を戦わすのであれば、国民のために、これらの点をハッキリさせてほしいと思っています。
関連する専門コラムは「お金に向き合う時は個人の感情や思考をいったん脇において冷静に議論する」。
お金の問題と真正面から向き合うことなくして、会社と事業の存続なし
です。
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