緊急事態に営業部長が会社のお金を引き出すためのチェックリスト
「資金繰りを回す」という際は、通常売上や支払を管理して、お金が足りない状況を未然に防ぐことを意味します。
しかしながら、広い意味で言えば、会社にお金はあるのに、お金を動かせる人がいないために、振込みなどができない状態をなくすことも含まれます。
特に昨今はコロナ禍で感染した人や濃厚接触者は出社できないという状況が生まれています。このため、会社の信用を保つという点から、緊急の事態が起こっても、実際に会社のお金を動かす場合の留意点について見ていきたいと思います。
会社がお金を支出する際の方法
皆様の会社では振込や現金を引き出す際にはどのような方法を取っておられるでしょうか?
・取引件数が多いか少ないか
・経理担当者がいるかいないか
・近所に銀行の支店があるかどうか
などそれぞれの会社のご事情によるかと思いますが、大きく分けると次の3つの方法があるのではと思います。
・銀行の窓口へ行って手続する
・キャッシュカードを使ってATMコーナーでやる
・インターネット・バンキングなどのシステムを利用する
普通の状況であれば、経理担当者もしくは社長ご自身で手続されるため、大きな問題はないかと思いますが、いざという時どうかと見直してみると、いろいろと検討すべき事項があります。
営業部長は無事お金を引き出すことができるのか?
通常、預金通帳や印鑑、キャッシュカードなどは金庫の中に保管し、その金庫は社長室に置いてあるというケースが多いのではないでしょうか。
そこで、緊急事態が発生し、急遽営業部長が会社のお金を引き出さないといけない(営業部長しかお金を引出せない)という場合で考えてみます。
チェックリスト的に書いてみると、普段会社のお金を引き出したことがない営業部長が無事お金を引き出すには、少なくとも以下の項目をクリアしないといけません。(預金通帳と印鑑を使って窓口でお金を引き出す場合)
1. 社長室に入れるか
→社長室の鍵を持っているか
2. 金庫を開けられるか
→金庫を開けるダイヤル番号を知っているか、金庫の鍵を持っているか
3. 通帳はどれか
→複数の預金口座がある場合、どの口座を使えばよいのか
4. 届出の印鑑はどれか
→銀行印と実印を分けている場合、どちらが届出印鑑なのか
5. 正式に届出ている会社名は何か
→通常銀行に会社名+代表者名で届けているが、その正式名称を知っているか
(例)ABC株式会社 代表取締役 ○○ △△
いざという時に慌てないために
このように見てくると、普段会社の預金通帳など触ったことのない営業部長にお金の引出しを依頼するのはかなり面倒だということが分かります。
しかも、日頃きっちりと鍵や通帳の管理を行い、特定の人しかお金を動かせない仕組みを作っている会社ほど、いざという時に立ち往生してしまうという皮肉な結果にもなりかねません。
大手企業と比べると人数の少ない中小企業がどこまで厳格に日頃の管理を行い、どの範囲まで情報を共有するか。これは実際にやってみるとバランスを取るのが意外と難しい事項です。
そこで、先に上げた項目をご参照いただき、
・実際に預金通帳と印鑑でお金を引き出せる人は社内に何人いるのか?
・緊急避難的に誰かに依頼するとき、物理的にも実行可能か?
・たとえ口頭であってもの的確に手順を説明できるか?
を一度見直されてはいかがでしょうか。
何かが起きた時は非常に慌ててしまったり、気持ちも動揺したりして、実際の行動を起こすにも余計な時間と労力がかかってしまいます。
日頃からの備えの一つとして、「自分がやる場面を順番に想像してみる」ことで、業務の課題が見えてきます。
なお、会社の業務改善で客観的な視点を取り入れたい場合は「社長専任の社外チーム」を活用するという方法があります。
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