目指したい会社経営の理想像をオーケストラの果敢な挑戦に見い出す
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
指揮者なしでベートーヴェンの第九を演奏する。
以前たまたまテレビでやっていたので、ついつい見てしまいました。
オーケストラには必ず指揮者がいて、楽団員はその指揮を見ながら曲を演奏します。同じ演奏者でも、指揮者が変わると曲が変わると言われているくらい、指揮者の役割は大事です。
しかも、ベートーヴェンの第九は第4楽章で合唱が入るなど、バラエティに富んでおり、指揮者がいても演奏が難しい曲と言われています。
それを指揮者なしで、しかも、いろいろな楽団から集まった人たちで演奏するというのは、音楽関係者からすると、かなり難易度の高い挑戦でした。
ベートーヴェンを始めとするクラシックは楽譜通りに演奏することが求められます。
けれども、指揮者によって、その楽譜の解釈が微妙に違います。このため、その解釈の違いが表現の違いとなり、音楽の違いとなって表れます。
一方、演奏者の立場からすれば、当然楽譜は見て覚えるけれど、「指揮者の解釈に従って演奏する」ことになります。
けれども、今回の挑戦では
指揮者がいない
↓
演奏のベースとなる解釈は自分たちで考える
ということになります。
このため、頼りになるのはベートーヴェンが書いた楽譜のみ。
番組の中で、出演者の一人が「これまではここまで考えに考えて演奏していなかった」という主旨の話をされていました。
何十回、何百回と第九を演奏してきたベテランの人でさえ、「今まで以上に楽譜と真剣に向き合わないと、指揮者なしで演奏するのは難しい」と感じられた訳です。
この状況を会社経営という観点から考えると、従来の会社経営では
経営者が指示する
↓
経営者の指示に沿って社員が働く
です。
一方、指揮者なしのオーケストラ演奏は
経営者がいない
↓
社員が会社の経営理念と真剣に向き合う
↓
各社員が話し合い、協力しながら働く
という会社経営に相当します。
オーケストラではバイオリンやチェロといった弦楽器、オーボエやトロンボーンといった管楽器、シンバルやティンパニーといった打楽器などが共鳴しないと良い楽曲になりません。
会社で言えば
・お客様と接する営業
・商品を作る製造
・社内の業務を回す経理や総務
といった各部門が共鳴して動かないと、品質の高い仕事は生まれません。
オーケストラで指揮者の役割は大切なのと同じく、会社経営で経営者の果たすべき役割は大切です。しかしながら、それは経営者が常に先頭に立って指揮をすることとは違います。
もしかすると、カリスマ経営者がいれば、その人がいることことで、社員が共鳴して良い仕事ができるかもしれません。けれども、その場合、その経営者にかなり依存する形になるので、持続可能性という点では問題ありです。
たとえカリスマ経営者がいなくても
社員が会社の経営理念と真剣に向き合う
↓
各社員が話し合い、協力しながら働く
会社経営を実現できたら、それは会社の持続的な成長にもつながります。
18年前「もう経営者に振り回されるのは嫌だ」と感じて、勢いのまま起業してしまった私。
けっして簡単なことではありませんが、「社員が経営理念と真剣に向き合って、社員が共鳴しながら仕事をする会社」を1社でも多く増やしたいと思いながら、日々知恵を絞っています。
追伸
ちなみに、後日そのオーケストラのコンサートマスターの方のインタビュー記事を読んだのですが、演奏を終えた後、メンバーが口を揃えて「今日、これでキャリアが終わってもいいと思った」と言ってくれたそうです。
どうせ会社を作るなら、社員から「今日、これでキャリアが終わってもいいと思った」と言われる仕事を提供できる会社したいですね。
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