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都心の真ん中で「年金」を叫んでも、むなしいだけので、会社は的確な目標を設定すべし:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(大手町支店編8)

大丈夫!起業すれば非合理的な目標からは解放される

私は入社1年目の途中で営業担当者になりました。営業になると、当然のことですが、目標(ノルマ)が課せられます。

営業に出たての頃は担当先といっても、企業内の個人の方が中心。このため、融資残高をいくら増やすかといった目標は少なかったのですが、個人定期預金をどのくらい増やすかという目標はそれなりにありました。

そして、勤め先では、貸出金や預金残高を増やすという目標以外に

・給与振込口座の指定
・カードローン
・クレジットカード
・公共料金の口座振替の指定
・NHKの受信料引き落とし口座指定

といった細かい目標がありました。

これらは社内では「基盤項目」と呼ばれる目標で、

基盤項目を達成する→結果的に預金や貸出金が増える

という想定の下、設定されたものです。本部が各支店に目標を割り振り、その支店毎の目標が各営業担当者に割り振られるという流れです。

ただ、これらの目標は既に何年にも渡って設定されているものであるため、先輩から引継いだ先では、ある程度取りつくされていることがほとんど。また、新人の営業担当者がお取引先に訪問しても、すぐに応じてくれる訳もありません。

このため、件数の多かったクレジットカードについては、お取引先というよりは、あらゆる伝手を駆使して、なんとかクリアしたのを覚えています。

さて、そのような基盤項目の目標の中で、気になったのが

年金の受取口座の指定

です。

高齢者が年金の受取口座を自分の銀行に指定すれば、2ヵ月に1度年金が入ります。このため、各銀行とも年金の受取口座の指定に力を入れていました。

ただ、申し上げたいのは、はたして、この目標を全支店に課す必要はあるのかどうかということです。

私の入行店である大手町支店は、いわば都心のど真ん中にあるお店。個人のお取引といっても、都心にある会社の現役社員の方がほとんどです。

このような営業圏の店舗で、給与振込口座の指定を目指すのは理にかなっていますが、高齢者の年金の受取口座の指定を目指すのは、はたしてどうなのでしょうか?

もちろん、目標の件数から言えば、「給与振込口座の指定>年金の受取口座の指定」でしたが、数は少なくても、ノルマとして課せられた以上、担当者としてはやらざるを得ません。

後に融資先を何社か担当するようになってからは、融資先の経理担当者に「目標があるので、ご両親の年金口座をウチに変えてもらえませんか?」と依頼したこともありました。けれども、新人の時は、ほとんどが預金先なので、優越的地位の活用(?)もできずに、件数が少ない割には苦労した覚えがあります。

会社には業績を伸ばすために、いろいろな目標があります。その中には下手をすると、

理論的には正しいけれど、現場の実情を把握していない目標

があります。

そして、そのような目標は「数字が小さいから良いだろう」と考えて、そのまま惰性で続けていると、長期的には業績にも大きく影響を与えることにもなります。

大手町支店に在籍中に、本部も少し頭を切り替えたのか、途中から基盤項目の目標は対象がやや減りました。それでも、他行に勤めている友人と情報交換すると、「へぇ、そんなことまでやらされてるの?」とびっくりされることが多々ありました。

まじめな社員ほど、会社の設定した目標を忠実にやろうと努力します。けれども、見当違いな目標は結果的には実を結びません

ちなみに、都心の真ん中で「年金の受取口座を指定してください!」と叫んでも、目標はできそうになかったので、当時はまだ元気だった祖父母にお願いして、一年目の目標はなんとかクリアしました。

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