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19歳だったそうだが、彼は自分が他人と話したことを忘れながら会話しているのだろうか。

ある人と会話している中で、「それは何だと思いますか?」とたずねられたので、「刺激だと思う」と言ったあと、「漫才で言う"つかみ"みたいなものだ」と言った。

すると相手は即答で「というよりも、」と言い、そこから早口で喋り出した。


もともとは「ひろゆきとか成田悠輔とかが、変な格好や痛い発言をするのは、より短時間で『自分は普通じゃない』とアピールするためだと思う。ネットの人気者にはそういうのが必要なんじゃないかな」という私の話だった。

それが漫才で言うつかみ。彼らは、テレビに出演したときに、なぜか共演者の悪口を言ったり、相手が困るようなことを言ったりする。

それはきっと悪意からではなく、普通の見た目で普通のことを言っても最後まで話を聞いてもらえないという、ネット世代が持つ焦りからくるんじゃないかと私は思った。

なので、短時間で相手に刺激を与えたい、という意味で「刺激」と答えた。


それに対して、相手が間を置かず、早口で「というよりも、、、」とどんどん喋ったので、私は混乱しそうになった。

そして、「いま、あなたは"というよりも"と言いましたが、何よりも、という意味ですか?」と尋ねた。

さらに、私が「最初の質問にたいして、何と答えたか」と、「それを何に例えたか」も尋ねた。

すると驚くことに、相手は黙ってしまった。どの質問にも答えられない様子だった。

私は、「まず漫才の"つかみ"に例えました」そして「刺激と言いました」と説明した。


ついさっき私の言ったことを忘れてしまったのだろうか?


まあ、日常会話のなかで相手の言ったことを忘れるというのはよくあるし、それ自体は別に悪いことでもなんでもない。

問題は、それに対して「というよりも」、つまり比較したことである。何なのか覚えてない、わからないものと持論を比較することになる。

iPhoneが何なのかわからないまま、もしくは「iPhone」と言われたことを忘れたまま別のスマホと比較できるのだろうか?

そのスマホは何よりも良いのか、悪いのか?

そんな発言、とてもじゃないが信じられない。


私は別に、相手にいじわるをしたいわけではなかった。

ただ、会話の途中でわけがわからなくなってきたから質問しただけだ。

自分で「何だと思いますか?」と聞いて、それに対する答えをもらって、でもその答えをまるっきり忘れて、それと比較する。

私はその相手が心配になった。19歳だったそうだが、彼は自分が他人と話したことを忘れながら会話しているのだろうか。


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