KEITA MAKINO | DE Inc.

DE Inc. 共同代表 -E共同代表。09年博報堂、15年に独立し文鳥文庫を出版する…

KEITA MAKINO | DE Inc.

DE Inc. 共同代表 -E共同代表。09年博報堂、15年に独立し文鳥文庫を出版する文鳥社を設立。2020年より、DEを創業し、社会課題の解決を目指す企業コミュニケーションを軸足にクリエイティブ業務を行う。2020年3月に「広告がなくなる日」を上梓。

マガジン

  • 東北

    テスト

  • 地域建築遺産

  • 言葉と創作について考えていること

    • 50本

    作家/はあちゅう、文鳥社/牧野 圭太、コピーライター/長谷川 哲士、歌人/木下龍也 による言葉と創作についてのマガジン。

最近の記事

システムに抗うということ。

ちかごろ「システム」への嫌悪感や危機感がどんどん大きくなってきている。僕がこのような使い方における「システム」という概念を意識しはじめたのは、村上春樹のエルサレム賞のスピーチ「壁と卵」だった。 このスピーチは「壁と卵」という比喩を使う。「卵」とは、一人一人の人間のことだ。そして「壁」は、その個人の尊厳を奪おうとする何かであり、その名こそ「システム」と呼ばれれているものだと明言している。 この授賞式のときに、エルサレムではまさに「戦争」が起きていたタイミングであり、「戦争」

    • KPIは寄付金額。「寄付」を「ビジネス」に組み込めるのか。【KIFFma第一回報告】#KIFFma

      (DEの牧野です。とても久しぶりにnoteを書きます) 宮下パークで開催していたサスティナブルマーケット「KIFFma」ですが、無事に開催を終了し、寄付金額が決定したのでご報告。 数字だけ書くと、11日間の運営で売上が322万円、寄付金額が約1/3の108万円ほどになりました(数千円の増がまだありそう)。これから Save The Chidlren / PLAN INTERNATIONL / どうぶつ基金 の3団体へ寄付の手続きを進めます。 KIFFmaは、「寄付とつな

      • 大学を半年で休学して、就職してきた19歳未経験エンジニアの話。

        彼は2018年の12月にTwitterで連絡をくれた。その時まだ19歳。僕の「エンジニア募集」という呟きに反応してくれたのだ。なぜ連絡をくれたのかということは省略するが、とにかく「大学を半年で休学した。エンジニアの経験は多少あるので働きたい」ということだった。 僕はすぐに「会いましょう」と返信をした。理由はいくつもあるが、一つはとても誠実な素敵な文章だったこと、もう一つは僕と同じ大学学部だったことだ。僕はつまらない大学を辞める勇気がなく惰性で卒業したが、彼は半年で休学をする

        • 声をあげられなかった広告たち。

          CALL4という「公共訴訟」をクラウドファンディングやストーリーの配信を通じてサポートするプラットフォームがあります。社会の間違ったルール、時代にそぐわない慣習、個の尊厳を蔑ろにする伝統。そういったものを変革すべく、国や自治体への「公共訴訟」を応援し、サポートする仕組みです。 代表の谷口さんを筆頭に、多くのボランティアメンバーで運営されていて、ちょうど二周年を迎えました(おめでとうございます)。国や自治体という大きなシステムに泣き寝入りせずに抗うことのできる、ものすごく意義

        システムに抗うということ。

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          なぜ僕は「東京オリンピック開会式」を、手放しに楽しめなかったのか。

          令和三年。7月23日、日本時間の20時。ついに東京オリンピックの開会式が執り行われた。もちろんSNS上もその話題で持ちきりで「感動した」という声が多くみられたように思う。まず、僕個人の意見を言えば「まったく楽しむことのできない開会式」だった。 それはひとつひとつの演目や演出の問題ではない。それら自体は、個人的には面白かったし、こんなトラブルだらけで、時間も予算もたりない中、開会式を実現した人たちの苦労を想像し、賛辞を送りたいと思う。もともとファンであった「がーまるちょば」の

          なぜ僕は「東京オリンピック開会式」を、手放しに楽しめなかったのか。

          「DE」という会社をつくりました。

          こんな緊急事態宣言がでるかでないかという世知辛いタイミングですが、1月からDEという会社をつくりました。「ディーイー」と読みます(今回は鳥にはしませんでした)。博報堂時代からずっと一緒に仕事をしているデザイナーの柴田賢蔵と「共同代表」という形です。渋谷の桜丘に事務所をかまえました。僕がネット工事をミスってまだネットも通ってませんが、景色のいいシンプルなオフィスでとても気に入っています。 柴田賢蔵/ Kenzo Shibata Co-Founder/ Designer / C

          「DE」という会社をつくりました。

          会社という「船」について(会社を離れるにあたり)。

          2020年は、誰にとってもいろんなことがあった1年だっただろうと想像します。僕にとっても御多分に洩れず、36年生きてきた中でかなり「特別な年」でした。 そんな年の最終日のご報告ですが、エードットを12月で離れることとなりました。取締役副社長は11月にすでに退任しており、12月で仕事を終え、1月から新しい会社をスタートします(新しい会社についてはまた年明けに報告します)。喧嘩別れなどではなく、僕の新しい挑戦というワガママを聞いてもらったという流れです。 5年ほど前に、まだ1

          会社という「船」について(会社を離れるにあたり)。

          この時代に、なぜ「メールマガジン」をはじめることにしたのか。

          こんばんは。牧野です。この令和という時代に「メールマガジン」という、ちょっと懐かしい響きのシステムを活用しようと思います。 名前は「from OUTLAND」というものです。「OUTLAND = 辺境」なのですが、アイデアとは常に辺境から生まれるというポリシーから命名しました。安定して落ち着いた場所から離れ、孤独になり、ある意味では精神的な鎖国をし、独自の世界で生きていくこと。そこから新しい思想やアイデアが生まれ、世界を変えていくのではないかと信じています。 さて、ではな

          この時代に、なぜ「メールマガジン」をはじめることにしたのか。

          「ブランドビヘイビア」- 行動する広告へ。

          「ブランドビヘイビア」という言葉を掲げて仕事をすることにした。これから先、あらゆる企業や組織に対し、(基本的には)この「ブランドビヘイビア」を提案し、実現していくことを仕事にしたいと考えている。この文章はその宣言のようなものだ。 ずっと今の広告のあり方に疑問を抱いてきた。効いているかもよくわからない広告を何千万、何億とかけて作っている現場をみてきた(実際その多くはそれほどの意味を感じなかった)。6~7兆円あると言われる広告費をもっと社会に役立つことに使えないものか。広告を「

          「ブランドビヘイビア」- 行動する広告へ。

          ローソンのPBデザインについて思うこと #ローソンPBに思う

          この件に関しては、あまり口を開かないほうがいいだろうと考えていました。どう言葉を選んでも「批判的な立場」になってしまうからです。僕だってできれば喧嘩はしたくないし、誰からだって嫌われたくもないのです。 しかしハフポストの「ハフライブ」にローソン社長の竹増さんが登場して↓のような企画をやることになったそうで、そのきっかけとなった最所さんにも↓というようなコメントをいただいたので書いてみることにしました。 なぜ僕がでていこうと思ったかと言えば、ローソンのパッケージを弊社(エー

          ローソンのPBデザインについて思うこと #ローソンPBに思う

          SNSデモから1週間がたって、「怒り」について考えている。

          そのデモはたった一人の、ひとつのツイートからはじまった。金曜夜に投稿され、土曜の午後から拡散された(自分もこの頃に見た)。夜にはトレンド1位を長時間にわたり独占、多くの「著名人」の方々が発信し、今まで政治的発言をしてこなかった方々も声をあげた。合計で600万ツイート(同じ人の複数投稿は含む)を超え、あくまでSNS上だが、かつてない大きな「うねり」を生んだ。 要は「政権の意向次第で特定の検察庁幹部を役職定年後も継続させられる」という法案に対する抗議だ。内閣総理大臣を捜査する立

          SNSデモから1週間がたって、「怒り」について考えている。

          クリエイティブディレクターという仕事。そして、この国に足りなかったもの。

          新型コロナウィルスの影響で、世界は大きく変わってしまった。3ヶ月前には誰も予想していなかった姿だ。医療の現場は過酷な状況が続いているし、感染の恐怖と戦いながらこの騒動を収束させるために動いているすべての方に敬意を表したい。 しかしながら、そういった人だけに限らず、あらゆる人々が少なからず被害を受けており、経済的な打撃は広範囲にわたる。飲食店や映画館、旅行やテーマパークといった人が集う場の被害は甚大で、大企業も中小企業もベンチャーも個人も、そしてあらゆる業種も被害を受けている

          クリエイティブディレクターという仕事。そして、この国に足りなかったもの。

          とあるダメな新米コピーライターの昔話。

          先日、博報堂の先輩と飲みながら「昔話」をした。とある「コピーのかけないコピーライターの話」だ。 そのコピーライターは、本当にダメなコピーライターだった。広告のイロハもわからず、きちんとした文章を書く訓練もされていない。出身が理系だったからか「間違ってはいないが、おもしろくもない」そういうやつだ。 そんな中、新規プロジェクトが始まった。上司のCDが言った。「この仕事はお前がメインのコピーライターをやれ」まだ入社2年目のそのコピーライターにとって、始めてメインをつとめる仕事だ

          とあるダメな新米コピーライターの昔話。

          新しい世界にこんにちは。 #NEWWORLD2020

          たかだか4ヶ月前に2020年を迎えた時、いったい誰がこんな世界を予想できただろう。廃墟みたいな渋谷の夜。誰もいない静かなオフィス。全てが変わってしまった。 世界がこれだけ変わったんだから、正気でいられるわけがない。ふわふわした気分なのは、きっと僕だけじゃないと思う。この1ヶ月は、現実を受け入れるのに必死だった。 そして同時に、とてつもなく大きな無力感がやってきた。 自分の社会人人生の中で、これほど無力感を覚えたのははじめてのことだった。3.11の震災のころはまだ社会人3

          新しい世界にこんにちは。 #NEWWORLD2020

          自分が存在しなかったら、存在しえなかった仕事をしたい。

          どんな仕事をしていきたいか、と聞かれたら、タイトルのような答えを返す。博報堂を辞めたのも、「ここにずっといたら、他の誰かがやってもさほど変わらない仕事」をし続けることになるだろうと、何となく感じ取っていたからだ。 経験上、「自分がいなかったら、存在しなかった仕事」に、大小の優劣はない。例えば、僕にとって「最も大きかった仕事」は「文鳥文庫」という、とても小さなプロダクトをつくったことだった。 文鳥文庫は16ページ以内におさまる文学だけを集めた出版物だ。薄いカードのようになっ

          自分が存在しなかったら、存在しえなかった仕事をしたい。

          僕は結婚ができない。

          めずらしく、とてもプライベートなことを書く。ずっと書こうか悩んでいたテーマだ。なぜ今書くのかということに明確な理由はとくになく、夜中の4時に眠れないので、せっかくだから書いてみようと思った、という程度のことでもある。 僕は結婚ができない。結婚をしたくない。 いつの間にやら35才になり、それなりの身分を持つようにもなり、「どうして結婚しないんですか?」と聞かれることがたくさんある。実にたくさんある。 だけどその質問は、まったくリアリティのない異国からやってきた質問に聞こえ

          僕は結婚ができない。