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苦悶の日々に落ちてしまった

 2人目は内藤さん。当時は復職を目指し、就労支援施設に通われていた。ちなみに現在は病気前の職場へ復職されている。コロナ化で会社側との面談、運転免許の復活などが難しいなかでの復職だった。私の運転手にしてくれと言っていたのに、見事に裏切った(笑)
 当社のリハビリはスタート前に必ず「問診票」と「評価一覧(自身の身体の動きを自己チェックするもの)」を提出していただいている。正直利用者様にご負担なのは分かっている。ただ私達の目指しているのは、利用者様の目標に寄り添うこと。そのためには利用者様をきちんと理解しなければならない。例えば就労が目標だったとします。その為には何をすればよいか?まずは電車通勤ができるよう、階段の上り下りができるようにならなければならないのかもしれない。でもこれって、その人を理解しないとできないですよね?もちろんその後のカウンセリングで知ることはできる。ただそのカウンセリングを効果的にするには、初対面からある程度、私達が利用者様を理解していること。それが結局はみんなの近道。
 ただそんな中で内藤様にご迷惑をかけてしまった。問診票の言葉の意味が分からないのだという。確かに私も分からない言葉がある。理由は簡単、病院で使われているものをそのまま持ってきてしまったから。動画の会社作るのだから、説明動画を作ったらどうかと内藤さんにご提案いただいた。おっしゃる通りです!でも今は難しい。しょうがないから挿絵を入れてみた。これならば分かると言っていただいた。
 この点は医学的知識がない私が、注意すべきことであった。そりゃそうだ。例えば私は英語が苦手。というか、横文字が大嫌い。極力日本語で話してもらいたい。それと一緒。とか言いながら私もPoC(概念実証)とか書いていましたね。ダメだ、ダメだ。ここからはテストとします。
 今回テストのカウンセリングは全て、田中医師と藤井療法士におこなっていただいた。せっかく医師にお話しを聞いていただくならば、通常より細かい医学的データがあった方がよい。体験者にはCTもしくはMRI画像と、血液データをお願いした。ただこのデータ取得に、非常に苦労した。というより、ほとんど取得できなかった。
 皆さん、血液データは持っていますか?健康診断を受けていればもらえるので、こちらは比較的ハードルが低いと思う。ただ問題は画像データ。内藤さんは入院後は見た記憶がないという。見せてもらった方がよいとお話すると、急性期の医師には頼めないし、現在通院している病院は薬をもらいに行っているだけだという。データは引き継がれているはずだとお話すると、分からないとのこと。えっ、気にならないのか。再発多い病気なのに。ただこれが通常なのだ。嫌がるのですよ、医師が。意味が分からん。
 私は急性期ではとんでもない医師にあたったが、回復期の医師は良い先生で良かった。1年に1度MRI取ってくれますよ。撮らないまでも、自分の画像見ちゃダメって何???不思議。
 内藤さんは血液データを提出していただいた。田中医師から現状のご説明をいただき、今後のリハビリメニューが決定した。メニューは5種類。ただ今回は全部合わせても時間は15分以下。これならどうなのだ?無理なくできるのか?さっぱり分からないが、これはテスト。内藤さんに回答もらって修正していくしかない。頑張れ、内藤さん!(他人事)
 内藤さんは理論派だ。藤井先生も理論派だ。内藤さんがリハビリの取り組み結果をチャットへ投稿すると、藤井先生がアドバイスをおこなう。これが毎日行われる。お2人のこのやり取りが、かなり理論的であった。対して私は感性派。別世界のやり取りだった。
 私は病前ゴルフが好きだった。レッスン場で小脳梗塞になってからは辞めてしまったが。ただそのゴルフ、何年練習しても上手くならなかった。そりゃそうだ、何も考えていなかった。ただ振るだけ。頭なんて使ってないのだから。ゴルフだけではない。どんなことでもそうなのだと思う。物事をきちんと、考えて取り組む人は強い。私みたいにただやるだけでは厳しい。
あれ?今よく考えてみると、リハビリだけはよく研究していた。理論的にやっていたのだ。不思議。
 要約すると毎日チャットでセラピストとやり取りをする当社のサービスは、利用者様が考えるきっかけにとてもよいのだと思う(自慢)
 スタートして2週間、内藤さんの第1回Webリハビリが行われた。
Webリハビリとはオンラインで2週間に1度、利用者様の進捗状況を確認し、アドバイスを行うもの。状態が良ければ、次の目標にステップアップして頂く。
 内藤さんには今まで、動画5本、時間にして15分程度のリハビリをお願いしていた。内藤さんより2週間行ってみて、まだ増やしてもらいたいとのお話。そうか、今度は足らなかったか。思い切って、今までの動画を1日2セットに増やした。更に動画を1本プラス。リハビリ量は2倍以上になった。ただ決して無理はしない、全てを毎日行わなくてよいとお話した。
 内藤さんは頑張り屋さん。2倍になったリハビリを黙々とこなしていた。無理はしない様にお話はしていたが、黙々と行ってくれていた。後から知ったのだが時間がない時は、就労支援に向かう駅中でも行ってくれていたらしい。
 ただこれ正直、長期的には絶対続かないと思った。考えてみてください。高校球児が3年間必死に練習するのは何故?甲子園があるからですよね?リハビリはゴールが見えづらい。どうしてもそこまでの刺激はない。私もそう。改善は少しずつだった。ただ決して諦めなかった人が勝ち。どちらかというとマラソンに近い。でも毎日42.195㎞走れます?私は無理。3年かけてフルマラソン完走してもよいのかもしれない。結果が同じならば。
それに気づかせてくれた内藤さんに感謝・感謝。
 2回目のWebリハが終了し、内藤さんのテストは終了した。内藤さんは家が近所だった為、終了後飲みに行き色々お話した。コロナも多少落ち着いていた頃だし。
 内藤さんは就労に向けて色々動いていた。一番困っていたのは、運転免許の再開。リハビリ病院がコロナで人数を制限し、リハビリが受けられなかったのだ。その為、医師の診断書がおりない。結局内藤さんは自分で病院に電話して受診し、試験センターでOKが出て見事復活させた。何ともおかしな話ですよね?結局諦めなかった内藤さんの勝ち。
 今回内藤さんのテストで分かったこと。それはリハビリ量。私はこの言葉大嫌いだが、「急性期・回復期」に膨大なリハビリが必要なのは事実。これは否定しない。ただ私達が行っているのはそこから先。私の大・大・大嫌いな言葉「維持期」。回復スピードは確かに落ちてくるが、続けた人・諦めなかった人が勝てることは絶対あるのだ。ただ膨大な量は無理。継続できない。ちなみに私は全ての人が、リハビリで治ると言っているわけではない。障がい受容を強制してはならないと言っているのだ。
 例えば飛行機。離陸までは膨大なエネルギーを使う。ここが「急性期・回復期」のリハビリだと私は思う。そこからゆっくりと目的地に向かう。ここが私達、「COPAIN」の目指すリハビリ。少しずつだが進んでいくのですよ、どんなことでも。そして患者本人が納得する着陸地点に寄り添っていければとよいのだと思う。それが私達患者にとっての受容ではないだろうか?そんなことできるのか全く分からない。でも私は受容を強要された。そして受け入れられなかった。だからこそ、その隙間を埋める存在になりたい。

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