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第3回THE NEW COOL NOTER賞エッセイ部門~8/13講評

第3回THE NEW COOL NOTER賞エッセイ部門へご参加いただいている皆様。

8月開催分エッセイ部門は、現時点で32作品応募があります。
募集の締め切り15日まで残り2日となりました!
参加は8月15日まで受け付けております。7月にご参加いただいた方でも、8月分は別記事で新たに参加いただくことが可能ですので、どうぞ、ふるってご参加ください。

なお、参加される場合は「参加表明気記事」を、応募記事とは別にお書きいただく必要がありますので、ご注意ください。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
本日は、応募いただいた作品より、4つ講評を掲載させていただきます。

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<講評(ゼロの紙さん)>

仁淀川。
仁淀川と聞くと、小説の宮尾登美子の
作品を思い出す。

ここにあるのはその後の仁淀ブルーと
称えられている、自然豊かな景色が
思い浮かぶようなそんな描写で読者を
愉しませてくれる。

小さな頃をすごした場所が自然と共に
育まれることとは、あらためて、心豊
かな体験なのだと気づかされる。

作者の眼差しは遠いところへ放ったり
すぐそばの川にふれている足元の水を
みつめたり。

時には雪をかぶった銅像の視線に立った
り。
まるでその描写はカメラワークのよう
に自在。

仁淀川は、背景としての川ではなくて。
作者にとっての、怖れも、悲しみも憧れ
も、すべてをのみ込んでいるおおきな水
の器なのだと思った。

仁淀川はいつしか太平洋へとたどり着く。
そのことが、ふみさんにとっての、ひと
つの拠り所のように感じられた。

このエッセイは、大人になったふみさん
が想いをたどりながら書いているという
よりは、仁淀川の前に立っている、幼き
日のふみさん自身の視線で描いていると
ころが素晴らしい。

みずみずしい筆致。
読者は、ふみさんと同じように、大いな
る自然の前に佇んでいる気持ちになって
ゆく。それは自然の再現力もさることな
がら少し不思議な体験をも読む者にもた
らしてくれる、ぜいたくな時間。

ふみさん、鮮やかな記憶が描かれたエッ
セイをお寄せいただきありがとうござい
ました。

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<講評(ゼロの紙さん)>

東京2020オリンピックは人々の心に
何をもたらしたのだろう。

そんな問いかけが通奏低音のように
エッセイの中に響いている作品です。

くろしおさんはかつてバドミントンの
競技を学生時代と社会人の部活動を経
験した視点に基づいて、今回のオリン
ピックについての考察を書いています。

この大会に対して、人々の想いが解け
ない糸のように絡みあっているのかと、
自問しつつ、そうじゃないと想いにた
どり着く。

それは絡み合っているのではなくて、

“皆が皆、違う方向を見過ぎている”

と。

自らの競技者であった体験をもとに
ご自分が記した文章の中に今回の東京
オリンピックについての想いを重ねな
がら。

勝利するとはなにか。勝利にたどり着
くまでの過程ではそこに対峙する人々
は実にさまざまな視点で物をみている
ことに気づくのです。

そして競技にルールがあるように、私
たちの世界を取り巻くルールも時として、
変わってゆく。

アスリートは競技としてのルールを守り
ながら、見守る側としては今回のイレギュ
対応を強いられながらも、そこに賛同し
つつオリンピックの目撃者となったひと
りである作者のくろしおさんは思います。

スポーツマンシップにのっとって、
正々堂々と戦い、勝ち負けを競い合う


この概念に気づかされたのが今回の東京
オリンピックだったのではないかと。

ほんとうの意味での平和の祭典であること
を感じる日々が戻るようにと。
祈るような気持ちで書かれたエッセイです。

問いかけのひとつひとつが、読む人の心に
響きます。ご自分の体験に基づきながら、
スポーツのもたらす意味を投げかけてくれ
る素敵なエッセイをありがとうございまし
た。

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<講評(ヒロさん)>

エスプリ効いた短い形容のひとことひとことが魅力的な楽しいnote.

閉店アナウンスはくぐもり、モールが営業終了を告げると動き始める風景。
どうせ車なんて来やしない横断歩道の赤信号は"いい大人として"の無視。
図体のでかい若者が信号に倣い立ち止まると"柄にもなく"。
羨ましさを感じるのに、意味は要らない。

憂い、寂び、ささやかな反骨が下地にしっかりと流れて独特の時間の流れを文字で生み出します。

冒頭ほど早くに記される、"捻じり込んだイヤホン"が伏線として効いています。

最後の一文だけで一転、温かな優しい気持ちへ転換され、笑みが浮かぶ読後の余韻となる。

壱貫さんのnoteは詩がメイン。
THE NEW COOL NOTER賞 7月詩部門で授賞させて頂いた「パレード」も印象的です。

繋ぎのための行が一切なく、全ての行に記したいこと、発したいこと 、ひと工夫された上で忍ばせてあります。
音読するリズムに細心の配慮がなされていることが、繰り返し楽しみたくスパイスなのでしょう。
タイトルのセンス 、これまた抜群で なによりカッコイイ。

ブロックごとに切り取っても一つ一つが詩として成立する、贅沢なストーリー。

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<講評(洋介さん)>

備忘録か心のうちの一人語りか
誰かに聴いて欲しい思い、
このエッセイはみやさんの
忘れたくない現在という時間。

みやさんは見栄っ張りだという
幸せな人を知ると不安になり、
不幸な人を知ると安心する。
自分を情けなくて苦手という。

みやさんは上手に
生きてる人と思われている。

勉強も苦も無くできる
運動もできる
進学も就職も人間関係さえも
一流ではないが満足できる、
絵に描いたしっかり者の優等生。

幼い頃に自由を妨げる
思い込みという呪いを
自我にかけ続けたみやさん。

期待に応えることを
全てとする自我は
自らを痛めつけて
苦しめながら役割を果たしてきた。

もっともっともっとという
自我の欲望は
心を苦しめ追い詰める。
いつしか心はいびつに歪み
他者からの羨望を餌とする。

比べて争い人より
秀でることを全てとする自我
いつしか心は歪み悲鳴をあげる。

まだ比べられる世界の
中ではわかりやすかった。
モノサシがあり求められるものも
努力すらもマニュアルにあった。

いつからかモノサシの無い
幸せという定規を知り
みやさんは戸惑うことになる。

生きることの幸せ
結ばれる幸せ
子供を産む幸せ
一人一人が異なる価値観。

周りの友人たちは
「しあわせのカタチ」という
パズルのピースに簡単に嵌まる。
形に嵌まるだけでいいのだろうか。
疑わなければ誰でもできる。
気づかなければ誰でもできる。

みやさんの本心は気づいている。
努力も過程も評価も皆異なる
「しあわせのカタチ」
年齢なんていう
世間の評価指数も関係ない
「しあわせのカタチ」

みやさんにも本気で思う人がいた。
想いは無惨にも三年半で砕かれた。
信じていた想いは呆気なく壊され
失望と悲しみと人間不信を残した。

周りの友人たちの
「しあわせのカタチ」
おめでとう、おめでとう、
おめでとう。
本当は聞きたくなかった、
知りたくもなかった。
自らの心の
浅ましさと醜さに嫌気がさす。

心には潤いなどなく
砂漠のように裁き続ける。

人と異なること、
人のモノサシは異なること
他人のモノサシなど
知らない方が心は穏やかだ。

みやさんは気づいている。
人と比べることなく
争うこともなく
自らの価値観をしっかり
内に持って生きるなら
心の底から友人たちに
おめでとうと言えた。
そんな自分になれるだろうか。

みやさん、
素敵なエッセイを
有難うございます。
この世界には正しいも
正しくないもありません。
どうぞ自分の人生、
善き心の思うままに楽しく
自分らしく笑顔で生きてください。

外にある価値観は人を幸せに
することはありません。
いつかすべては笑い話になります。

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*講評は分担制としているため、必ずしも応募順に講評結果が発表されるわけではございません。よろしくお願いいたします。

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応募作品はこちらのマガジンに収録されます。
 他の参加者様の作品もお読みいただき、ぜひ、当コンテストを通して新しく知り合い、また仲良くなった、との声をお聞かせください! 皆様の縁がつながるコンテストでありたく思います。

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