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第3回THE NEW COOL NOTER賞始まる世界部門~10/16講評

第3回THE NEW COOL NOTER賞「始まる世界」部門へご参加いただいている皆様。

本日までで、約40作品を超える応募をいただきました。
10月部門も本日で締切となります。

参加いただいた皆様、
最後まで、応募をいただき、ありがとうございました。

締め切り後の最初の講評となります。
本日は、みこちゃんからの講評を掲載させていただきます。
ぜひ、楽しんでいってください。

(本日の講評者)

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<講評(みこちゃん)>

文学や美術に造詣の深いゆーさんらしい出だしだなと思った。
トゥールーズ・ロートレック。
私も好きだ。

そして、ムーラン・ルージュで次々と描き続けたダンサーのポスターには、いつも黒が印象的に使われている。ゆーさんのアイコンの黒と同じ色をしているんだ。黒だから同じなんじゃない。同じ種類の黒い色をしているんだ。ゆーさんとnoteでの付き合いの長いみこちゃんにはその黒が同じ黒だって言うことがわかる。

それは、ムーラン・ルージュの有名な言葉
「人間は醜い、されど人生は美しい」

ゆーさんの黒はこれだよね。

この、よく見ると真っ黒ではなく、目を凝らせば漆黒のような光沢が見えてくる。真っ黒のなかの落ち着いた手触りのよい、手入れされた黒猫のお腹の毛のようだ。


きっとゆーさんは時々漆黒の猫になって、愛猫ちゃーちゃんと戯れる生活をしてきたんだろうな。

「大人で見つかった発達障害」

独特のつらさが想像できる。なんていうのかな。転んで膝を擦りむいて、泣きわめきたいのをこらえきれず泣き叫んで、まだ痛みは引いていないけど涙は規定量を使い果たして枯れてしまった。
そこに大人がやっとやってくる。
膝小僧の激しくすりむけた子供を見て、一瞬ぎょっとするが、その瞬間に子供が泣いていないことに気がつく。
大人はまるでホッとしたかのような表情になって、「大したことなくてよかったね」と嘘を付くよね。
その嘘が、遅れてきた不幸が、二重にゆーさんを苛む。

そしてゆーさんの心は悲しみで真っ黒になる。でもその黒さは決して醜い黒ではない。悲しみに耐え、その意味を探り、誰のせいにするでもなく、それを受け入れるという態度を貫くことにより、その黒は漆黒の光沢を帯びてくる。光を決して失わないゆーさんの心が、漆黒の光沢を内側から照らすからだ。だからゆーさんの黒は、ロートレックの使う黒と似ているんだ。

「人間は醜い、されど人生は美しい」

このセリフは黒の輝きが見える人にしか吐けないよね。
ゆーさんがこの言葉を口にしたらきっと似合うだろうな。

そう思いながら記事を読み進めていたら、あったはないかここに。

「個性的な性格なだけだ、って思えるようになってもきました。」

ゆーさんだけの、そしてロートレックには、そしてもしかするとみこちゃんにも見えるかもしれない黒。
それが、ゆーさんの個性なんだ。

右側のそこにあるものがない。

若い頃にもう大丈夫だと思ったはずのがん細胞が遅れてやってくる。
またもや、遅れてやってくる。
涙の乾いたときに大人がやってきたように、泣き止んでさあ生きていこうと思ったときにがんがやってくる。

おとなになって発達障害が見つかったときとまったく同じだね。
ゆーさんの悲しみはいつも、悲しいときにやってこない。
それがあたかも解決したかに見えるときにやってくるのかもしれない。
少なくともこの作品のふたつの不幸の本質はそれだと思う。

みこちゃんもがんサバイバーだよ。
でもそのことはここでは書かない。
教養が盗みだ、っていうみこちゃんの暴言には、みんな口をつぐんだ。白い目で見ているその視線をずっとずっと浴びてきたよ。敵愾心も感じてきた。でもゆーさんは折に触れて私がもう触れなくなった「教養は盗みだ」あの言葉すきだよって言ってくれた。

だからゆーさんならわかるでしょ。あたしは安易な共感というのが大嫌いなんだ。だから、がんのことはここでは書かない。でもあるべきものがなくなったことのつらさ、そしてそれが理不尽な病であることはよく知っている。

でも私はともかく、ゆーさんなら大丈夫なのではないだろうかと、無責任にそう思ってる。
だって、ゆーさんは理不尽な遅れてきた不幸を受け止めることができる人だから。
黒に身をやつすのではなくて、漆黒のように黒の中に輝きを育てることができる人だから。

朝窓からそそぐ、朝の光。
その光がゆーさんを照らすとき。
そこには、黒を大事に育てることのできるものだけに許された特権的な輝きがある。

朝の光はブラックホールのように吸い込まれることなく、きれいな光沢を放って、ゆーさんの周りの人を照らすはずだ。

今日も世界が始まる。
ゆーさんにも、世界中のみんなにも。
もしかして、みこちゃんにもだね。

素晴らしい作品を講評させていただき、ありがとうございました。

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*講評は分担制としているため、必ずしも応募順に講評結果が発表されるわけではございません。よろしくお願いいたします。

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応募作品はこちらのマガジンに収録されます。
 あわせてこれでも母さんが主催するこちらのマガジンにも収録されます。
 他の参加者様の作品もお読みいただき、ぜひ、当コンテストを通して新しく知り合い、また仲良くなった、との声をお聞かせください! 皆様の縁がつながるコンテストでありたく思います。

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