新卒で入った会社の話
今に始まったことではないが、私は学生時代、実にダメな学生だった。二浪してまで入った大学を1年留年しただけでなく、要領が悪すぎて新卒カードを逃すという体たらくである。大学卒業後半年は、面接官に鼻で笑われたり転職エージェントに馬鹿にされたり、自分で仕事を見つけたかと思ったらブラック企業だったりと散々な目に遭った。
そうして9月にようやく、編集プロダクションに拾ってもらうことになる。アルバイトでの雇用だったが、フルタイムで働けるだけで私は満足だった。入社当時は私を含めて7人、のちに5人という小さな会社だった。
そんな会社でなにをしていたかと言うと、私は毎日ダジャレを考えていた。まさかと思われるかもしれないが、会社がガラケー向けのお笑いコンテンツを提供しており、その中のひとつにダジャレのコーナーがあったのだ。
他にもお笑いコンテンツの企画を考えたり、別の出版社のライティングを請け負ったりしていた。企画のキの字も知らなかった私は、先輩方に随分酷評されたが、それでも企画が採用されたときは純粋にうれしかった。
だが、かねてからの出版不況は容赦なかった。結局その会社は、東日本大震災のすぐ後に倒産してしまった。
その後の私は様々な仕事を転々としたが、とりあえず使えそうなアイディアを試してみるという基本姿勢は、どの仕事でも変わっていない。
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