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備忘録に使おうか。 過去に書いたものや、 気まぐれで思ったことを記していこうか。

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最近の記事

『板上に咲く』原田マハ

「いつくるかわからないそのときのために、 私は毎晩、墨を磨りました。」 ゴッホに恋焦がれた青森の貧乏青年が、 世界のムナカタになるまで。 妻、チヤが見てきたムナカタが、 描き尽くされています。 棟方志功は青森市出身の板画家。 小さな世界だった“版画”を、 “板画”として大きな世界に変えた人。 正直、名前は知りませんでした。 でも表紙を見て「あ、知ってる」って。 「青森の人だったのか」って。 私は津軽弁に詳しい訳では無いけれど、 棟方志功が語る言葉は素朴で真っ直ぐ。 そして

    • 四十九日を終えて

      一昨日、四十九日を終えて、 今日は、神棚封じを解きました。 お世話になっている、 八幡宮の神主さんに来ていただいて、 神棚の幕を取り、しめ縄や紙垂、 御札などを入れ替えて、 祈祷してもらいました。 葬儀で使用した車のお祓いも同時に。 母が亡くなってから、 ホントに初めての事だらけで、 失敗も多かったです。 陰膳は全て逆向きにと言うのは、 母から見てだと思ってたんだけど、 私から見て逆だったと知ったのは、 四十九日の日でした笑笑 母から見て、箸の向きも、 味噌汁とご飯の位置も

      • 『純喫茶トルンカ』八木沢里志

        谷中の商店街から、 
猫に誘われて路地に入った先の突き当たり。 
そこに純喫茶トルンカはあります。 
谷中は谷根千と呼ばれて人気の高い地域です。 
谷中、根津、千駄木で、谷根千。 
私も都内にいた頃は時々散歩に行きました。 
女性誌や情報番組での特集も増え、 
谷中の細い商店街はとても人が多いです。 
反面、お寺も多く、 
1本脇に入ると静かで素敵な店があったり。 
大好きな本、 小川糸著『喋々喃々』の舞台でもあり、 
私にとって憧れの地です。 
そんな谷中に古くからある純喫

        • 『アトムの心臓「ディア・ファミリー」23年の記録』清武英利

          【追記あり】 6月公開の話題の映画、 「ディア・ファミリー」の原作。 先天性の心疾患を持った娘のために、 医学の素人が人工心臓を作ろうと挑むお話。 大泉洋さんが宣伝に出てて、 絶対泣くという噂は聞いていて、 原作があると教えてもらったので、 読むことにしました。 実話をもとにした小説かと思っていたら、 取材や手記を、 時系列にまとめたノンフィクション。 次女に生きて欲しい。
その気持ちでここまでやれるか、
動けるのか、と、ただただ圧巻でした。
恐怖感を乗り越えて挑んだその選択

        『板上に咲く』原田マハ

          『山の上の家事学校』近藤史恵

          離婚して1年。 荒れた部屋に目を背けて暮らす幸彦。 長期休暇で母と旅行でも…と思っていたが、 妹の勧めで、男性向けの家事学校に行く事に。 生活をすればゴミが出る。 誰かが捨てなければたまっていく。 料理もコンビニだって、 お弁当屋さんだってあるけれど、 濃い味付けは飽きてしまうし、 ただ空腹を満たすだけの、 詰め込む食事になりかねない。 家事のどれ1つとっても、 死ぬわけじゃ無いからとサボっていたら、 心が死んでいくのかもしれない。 ちゃんと生活することの大切さが描かれてい

          『山の上の家事学校』近藤史恵

          『定食屋「雑」』原田ひ香

          主要登場人物の最初の印象が悪かったのに、 読み進めていくうちに、 どんどん好きになっていく。 最後には大声で大好きだと伝えたいくらい、 頬が緩んだまま読み終えた。 夫の浮気を疑って、 夫がよく行く定食屋に偵察に行く沙也加、 定食屋で無愛想に甘ったるい料理を作る、 ぞうさんこと、みさえ。 主にこのふたりの視点から書かれた物語。 時々、常連客の目線もあって、 その不定期な感じが飽きがこなくて良い。 なんでもすき焼きのタレで味をつける、 雑な料理ばかり作ってるかと思いきや、 キメ

          『定食屋「雑」』原田ひ香

          『スピノザの診察室』夏川草介

          SNSで書店のアカウントが入荷を紹介していた。 写真に写っていたのがこの本。内容も知らず、 久しぶりに医療物もいいなと読むことにした。 母が亡くなったこの時に、 この本を読むことになるのも、 巡り合わせというかなんというか。 ……選んだのは私なのだけれど。 本作は神様のカルテを書いた現役医師、 夏川草介氏の作品で、今年度本屋大賞の4位。 ちなみにスピノザとはオランダの哲学者である。 かつて、大学病院で内視鏡の名手として、 将来を期待されていた医師、 マチ先生こと雄町哲郎が、

          『スピノザの診察室』夏川草介

          『文庫旅館で待つ本は』名取佐和子

          この本を読み終わって閉じたあと、 私はしばらく身動きができなかった。 文庫がある旅館、凧屋旅館の若女将の円は、 本が持つ他の人には分からない刺激臭で、 本を読むことが出来ない。 お客様が訪れると本をすすめて、 その本の内容や、 感想を聞くのを楽しみにしている。 凧屋旅館を訪れるお客様は、その本を通して、 無意識に仕舞いこんでいた心に気がつく、 ……という物語。 各章ごとにお客様が居て、 それぞれが自分の足で歩き始める感じは、 作家、青山美智子さんの作品と、 同じ流れと思って

          『文庫旅館で待つ本は』名取佐和子

          『泣きたい夜の甘味処』中山有香里

          amazonでオススメされた。 開いてみてら漫画だった(笑) 熊と鮭が営む店という奇抜な設定ながら、 訪れる客の、大人の切なさ悲しさに、 スルッと入りこむエピソード。 自分に近い話しになるとこちらが涙ぐむ。 きっとこの本を手に取った人は、 どれかのエピソードにほろっとしているだろう。 何話か後に、 あったかくなるような後日談があり、 それがまた癒されました。 偶然にも、先に読んだ、 『めしのせ食堂』のような構成でした。 #日日是好日 #読了 #読書 #漫画 #中山有香里 #

          『泣きたい夜の甘味処』中山有香里

          『山口恵以子のめしのせ食堂』山口恵以子

          小説と、全国のご飯のお供の紹介が、 1冊の本になった、珍しい形の作品。 めしのせ案内人、長船クニヒコさんが、 小説の中にも出てくるし、 紹介されてるご飯のお供も、実在するのです。 主人公の店主は、定年退職を期に、 自宅を改装して美味しいご飯と汁物、 そしてご飯のお供を提供する、 小さな食堂をはじめた。 毎日訪れる常連客のエピソードと、 魅力的な一汁一菜。 いくつか、買ってみようかなと思ったり。 お店の形って、ホントなんでもありねぇ。 難しく考えずにぽーんと飛び込めるのは、

          『山口恵以子のめしのせ食堂』山口恵以子

          『リカバリー・カバヒコ』青山美智子

          2024年本屋大賞ノミネート作品です。 小さな公園に居るアニマルライドのカバ。 名前はカバヒコ。 自分の痛む所と同じ箇所を撫でると、 リカバリーできるのだ。 ……カバだけに。 コレ、お約束なもんで。 アニマルライドって言うのね、あの公園の動物。 え?常識なの?みんな知ってた? 私は馴染みのない名詞だった。 青山さんの本は、いつも狭いコミュニティで、 物語が繰り広げられる。 今回も、このコミュニティの中の5人が、 それぞれに抱えた問題に向き合う。 この人の作品の好きな所は、

          『リカバリー・カバヒコ』青山美智子

          家族が癌になりました⑳終

          母が病気になってから、 整理のつかない気持ちをここに記してきました。 読んでくださった方、 有料部分まで購入してくださった方、 本当にありがとうございました。 頂いたお気持ちはお線香代にさせて頂きます。 -------------------------------------------- 27日、お別れの日が来てしまった。 5時に起きて身支度をする。 母の化粧も直してあげた。 7時半に菊の花を入れてお別れをする。 8時10分出棺。霊柩車には父が乗った。 私はみんなと一緒

          家族が癌になりました⑳終

          家族が癌になりました⑲

          母は亡くなった。 22日17時半を回っていただろうか。 私は取り乱し泣きじゃくり、 昼に残った痰を取ってもらえばよかったね、 ごめんね、ごめんねと繰り返した。 医師の死亡確認は18:06。 看護師さんに、母を綺麗にしてもらい、 家族で身体を拭き、荷物をまとめた。 父が方々に連絡を入れた為、 身内が次々に駆けつけた。 霊安室に移動し、 病院から葬儀屋さんに引き継ぎ、 葬儀屋さんの車に母を乗せ、 私が同乗して家に帰った。 母はずっと家に帰りたかったから、 1度家に帰すことにし

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          家族が癌になりました⑲

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          『椿の恋文』小川糸

          小川糸の人気シリーズ、 『ツバキ文具店』の三作目。 あれから時は流れて、 QPちゃんは中3の難しいお年頃、 家族も増えて、 鳩子は忙しい日々を送っています。 下の子供達が小学生になったのを期に、 代書屋を再開します。 そんな中舞い込んだ先代の秘密。 先代の人となりからすると、 想像もしなかった過去にびっくりしました。 相変わらず鎌倉の街は穏やかで、 懐かしいあの風景が蘇るようなお話でした。 また鎌倉に行きたいなぁ。 #日日是好日
#読了 #読書 #小説 #小川糸 #椿の恋文

          『椿の恋文』小川糸

          家族が癌になりました⑱

          18日は、 前の日の眠る薬のおかげで、 夜、ぐっすり寝たせいか、 起きている時、YES NOの意思表示が出来た。 しかし、19日からはほぼ眠った状態で、 痛いのか苦しいのか、 時折、呼吸に合わせて唸っていた。 私と父は、個室になってから泊まり込んで、 朝方に帰宅して、ご飯を食べて仮眠して、 病院で食べるお弁当を作って、 4~5時間で病院に戻る。 そんな毎日を過ごした。 眠る薬のせいで、 突然呼吸が止まることもあるから、 目が離せない。 父は帰宅の際に「買い物に行ってくる」と

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          家族が癌になりました⑱

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          家族が癌になりました⑰

          16日、痛みで唸る時間がどんどん増えていた。 そしてパンフレットに書いてる通り、 時折話す内容が見当違いなことが増えた。 自分がここに居るのを、 私達家族が知らないはずだから教えてくれとか、 甥が来てるから旅館でもとって泊めないととか。 意思の疎通が出来るのは、 痛みや疲れの訴えぐらい。 突然目を開けて「行く準備をしなきゃ」と言う。 家に帰りたいのか、 はたまた旅立つ準備をしたいと言ってるのか、 涙ぐみながら、「俺が準備をするからなぁ、 なんも心配しなくていいからなぁ」と返す

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          家族が癌になりました⑰

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