「光る君へ」メモ第19回「放たれた矢」、第20回「望みの先に」 漢詩の手紙がここで生きてくるとは!
この時期のまひろと道長について、「つかず離れずの婚外関係」を演出するのは難しく、なので書き手の腕の見せ所でもある。うまいよねー。しかも、のびのびと自由に書いている感じがよい。
まひろが清少納言に連れられて御所に上がって定子に目通りし、しかもそこに帝がたまたまやってきて、やんごとなきお二人が寝所に消えて(笑)、戻ってきたあとまひろが帝に新しい人材登用システムをプレゼン。笑
帝はもともと中国の古典もちゃんと勉強していて徳政を志すキャラという設定なので、まひろを「おもしろい女だな」と思い、今や公卿のトップになった道長に「こんなオモロいことあってん」と話す。
「まひろ、そんなことしてたんか」と驚く道長。
‥‥という、まひろと道長のつなげ方の豪腕っぷり!!!
とんでもない展開のようだけど、リアリティライン的にも、このドラマで積み上げてきた文脈としても「ありえなくはない」線を確保してるんだよね。
物語好きで正義感も強く、父の不遇や直秀を見てきたまひろが海外の制度にあこがれるのは説得力あるし、帝が昼間でも寵姫のもとにやってきて楽しく「遊ぶ」のはドラマでこれまでも描かれてきたこと。
史料に準拠してもいる。
(昼間から帝と定子が‥‥というのは確か枕草子にあったはず)
まひろのことを帝に聞かされた道長が、大げさではないけれど表情のコントロールを失い、ハッと息をのんでしまう。柄本佑の芝居がめちゃくちゃいいですね。
しかも、話はまだ続く!
御所で帝に拝謁したまひろは気が大きくなり、これまでになく父の売り込みに熱心になる。
久しぶりにまひろを思い出した道長は、父為時のエントリーシートに目を留め、五位に推挙。
詮子から頼まれた口利きはすげなく断ったくせに~~~、と思うが、為時は実際に能力もある(らしい)し、兼家のせいで理不尽な不遇を受けていたから、職業倫理的にもギリギリOKなのだw
さらに、宣孝(佐々木蔵之介)から父が若き日に宋船に乗り込もうとしていた武勇伝を聞いたまひろは、淡路守より宋人の多い越前守をと思い立ち、為時のふりをしてもうワンプッシュするメールを作成。
この時代に代筆は珍しくないし、まひろに昔「代筆屋」をさせていた設定が、昔取った杵柄…って感じで不自然さを減じてうまい。
徹底した現場主義であるがゆえに、たくさんのメールを全部自分で処理する道長。
必然的に見つける、異色のメール!
ん?しかもこの字、見覚えがあるぞ?
家に帰って筆跡を照合する道長。ここ、
「手紙まだ捨ててなかったんだー!」
ってのと
「このときのために、昔のまひろの手紙は漢詩で書かせてたのか―!」
とで、二重の意味でみなぎったよね。うますぎ。
その様子を背後から見てる倫子!!!
いつバレるのか、そのとき倫子がどんな反応をするのか楽しみでしょうがない。
さて、伊周兄弟が花山院に矢を射かけてしまうことから始まる「長徳の変」
矢を射られた本郷奏多の表情がさすがでしたがw
「おまえといるときだけが安らぎ‥‥」
とか言ってた女を院にとられたと勘違いしてからの、伊周のしょぼくれぶりが最高でした。
順風満帆な頃は慇懃無礼な居丈高貴公子だったのに、後ろ盾がなくなると一気にひよひよになっちゃう‥‥
「いるよね、こういう人!!!」感がすごい。
反対に、
良家の貴公子やってるのがイマイチ性に合わなかったっぽい弟の隆家から、生まれもったヤンキー気質がむくむくともたげてきて、ケツまくって輝き出す感じもいい。
竜星涼をキャスティングしたのだから、隆家はこのあともしっかり描いてくれると期待してるよ~!
あの「呪符」、よくわからんけど禍々しさすごいよね?! ゾゾゾーとした。
それが、倫子の口の軽さを見越した詮子の自作自演で、
それを見抜いた倫子がお口チャックして夫を助け、
しかし詮子はとっくに他の貴族にも手を回してた‥‥
という身内をどっぷり利用した政治工作なのも良かったです。
とにかく、一人一人が生き生きしてていいですね。
そもそも、清少納言がちょくちょく宮中から有給(笑)をもらって紫式部の家に遊びに行き、定子に「少納言が心酔している友だそうな」とまで言わせる脚本、強いよねw
それでいて、二人はお互いの話にはあんまり同意していないという(笑)
二人は互いに日記やらに「あの女、気に食わない」と書き残しているのだが、どういうロジックでそこにもっていくのか楽しみだ。これから決別していくのか、それとも不仲の演技なのか?
“主役級の庶民コスプレ”という大河ドラマのお約束もこなしていてよかったですw
‥‥って、え?、次回から松下洸平出るんですか?!?!
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