「光る君へ」メモ第18回「岐路」語る言葉は何もないまひろ格好いい
・かつての汚名を雪ぎ、良き政をすると誓うも、関白に任じられたその場で病に斃れる道兼
・「父上に恨みはない」 虐げられてきた苦しみからの解放と、罪なき者たちを殺め傷つけてきた罪の償いとをほぼ同時に描くの、優しくて厳しい脚本だなー
・「俺は極楽に行こうとしているのか…」
このセリフは、自分は地獄へ行くべき人間だと思いさだめているということだよね。どんなに心を入れ替えても、過去を清算できるわけではないと悟っている。そこに道兼が情けをかけられるべき理由がある。
・「あのお方の罪も無念もすべて天に昇って消えますように」と鎮魂の琵琶を弾くまひろ。
・“死と共に、罪も無念もすべてが消える” という考え方、やっぱりすっと入ってくるとこあるよな~‥‥と思う私はやっぱり日本人。
・そして「罪」は源氏物語の大きなテーマ。きっとこのあと、ドラマの中でまひろと道長も‥‥
・玉置玲央、道兼役はお茶の間への認知という意味でエポックメイキングになった感あるね。ちなみに私が彼を認識したのは「真田丸」(2016)の織田信忠役だったんだけど、今回ググったらその2年前、私が大好きなドラマ「足尾から来た女」で大杉栄役をやってたことが判明
---閑話休題---
・というわけで、母・詮子と后・定子の代理戦争のおもむきもあった「次の関白はどっちに?」政争は、詮子に軍配が上がりました
・詮子が身をよじるようにまっすぐに思いのたけを表現できるの、私は彼女の強さだと思うのね
・(これは平安当時の感覚とは違うけど)泣くのも感情的になるのもみっともなくて劣った振舞だとされてるわけじゃん。「これだから女は‥‥」みたいな
・でも、「伊周に決めています」「道長を関白にとは考えたことありません」と繰り返していた帝の心を動かしたのは、詮子のあの必死な言葉だったよね
・いや詮子はふつうに感情的に(&権力争いとして)道隆~伊周~定子ラインを嫌ってるってのも大いにあると思うんだけど(笑)、
「帝はどんな政をなさりたいのですか?」
「(父である円融帝の例を出して)帝の意を汲まぬ関白だと苦労する」
「母は己のことなどどうでもよいのです、お上が思う政をしていただきたいだけです」
という問いかけと訴えには一分の理があったんだよね
・これまで何度か泣いて叫んで取り乱すシーンがあった詮子だけど、初めてその意が通ったんじゃない? 夫である円融帝も、父・兼家も、ヒステリー扱いしかしなかった
・徳政を志し、御簾の中で公卿の談義をじっと聞きつつ、あっちにもこっちにも配慮して判断し、「嫌いにならないでくれ」と定子に懇願する一条帝、絶妙な設定だな~。今後どんなふうになるのか楽しみ
・兄 伊周を推しつつも、彼に人望がないとわかっている定子の、兄を蔑むような視線と口調が大変良い
・定子の苦労も伊周の横暴もききょう(清少納言)がすべて見ている。ちなみにききょうは道長のことをただの地味な渋ちんだと思っている。渋ちんって死語ね…
・三浦翔平の伊周、演技は下手だが「貴公子然としているが絶妙に愚かだし嫌な奴」感はよく出ている。しかしさすがにもうちょっと何とかならんもんかな?
・明子役の瀧内公美も、どのドラマで見ても演技が物足りないと思うんだけど、最近よく見るよね。兄に向って「褒めるところがございませんけれど」ってセリフおもしろかったw
・まあ、倫子と明子だったら倫子の圧勝だな~、と印象付けるための、中の人の演技力の差でもあるのだと思う。(失礼すぎてお許しください)
・さわさんの演技も「たはは…」ってなるけどかわいくて嫌いになれない。やっぱり彼女は玉鬘で、戻ってきて良い男と結婚するのかなー
・公任の屈折してる感じいいよね。ルックスは光源氏だけど、源氏物語でいったら「頭中将」的な役柄。
・関白も左大臣も空席な中で、内覧かつ右大臣を拝命し、実質政権の頂に立った道長。月を見上げて、まひろと会っていた秘密の場所に
・ ‥‥秘密の場所に行ったらまひろも来てたーーーーー!
・「昔の己に会いに来たのね。でも今語る言葉は何もない」エモいーーー!
・ここでまた愛の炎が燃え上がるかと思いきや、一言もなくまひろのほうから踵を返すの、みなぎる!!!
・なぜ「今語る言葉は何もない」なのか? それはきっと、道長ではなく、まひろ自身の問題なのかなと思った。まっすぐ進み続けている道長に比べて、自分は進むべき道もまだわからず、一歩も進んでいないと感じているから‥‥
・男で、名家の御曹司で、しかも今や政権トップの道長に対して、「おめでとうございます」にも「期待しています」にもならず、「その節は看病してくれてありがとうございました」すらないまひろ、今もって道長と対等な感覚を失ってない感じですごくいい! 抱き合うよりずっと良かったです!!
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?