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「虎に翼」メモ 第11週「女子と小人は養い難し?」/チョビ髭のおじさんと推しのキャラが似ていて震える

山口判事の餓死の件、日本人でも知らない人多かったんじゃないでしょうか。こういうの朝ドラで扱うのすごく意義があるよね、と思いつつ、その役割を花岡に振るのは驚いた。花岡ってつくづく不器用な人だったんだな。彼の人生をもう一度最初から振り返ってみたい感ある。

佐賀から上京するくらいだから地元の神童で、でも帝大には合格できず明大に。優しい人間なのにトキシックな男の皮をかぶって女性を見下していたが、轟と梅子さんの言葉を聞き、何より寅子に心惹かれて、彼の本質である正義感やあたたかさが表にあらわれるように。寅子に思いを告げることはできず(何でだったっけ?)、地元に戻り、お見合い結婚をして、判事だから徴兵はされず終戦を迎えた。そして戦時中よりも苛酷だったという、東京の極度の食糧不足の中、ヤミ米に手を出さず妻子を残して餓死。うーむ。

岩田剛典さん、初めてちゃんと見る俳優さん。説得力あった。古風で端正、だけど不器用な感じがよかった。え、35歳なんだ(今ググった)。若く見えるね。

その花岡の餓死を「バカタレ」と一刀両断した多岐川の意図がわかるまでの一週間。金曜日の放送、

「国や法。人間が定めたものはあっという間にひっくり返る。ひっくり返るもんのために死んじゃあならんのだ」

私は日本の国民性「ルール至上主義」を憎んでる人間なので、墨書して床の間に飾ろうかと思ったw(しかし我が家には床の間がないのだったw)

「法律っちゅうもんはな、縛られて死ぬためにあるんじゃない。人が幸せになるためにあるんだよ」

それそれ。
「法律」は適宜、「国」とか「会社」とかにも置き換えられますよね。

「幸せになることを諦めた時点で矛盾が生じる」
ほんとそうだよね。

私の推し(BTSジン)の座右の銘も「幸せに生きよう」なんです。
そして、生活能力と良識の人でありながら、昔からずーーーっと、事務所が押し付けてくる無茶に抵抗し、事務所ルールを適度に無視して自分の意思を貫いてきた人でもある‥‥

チョビ髭のおじさんと推しのキャラが似すぎていて震える。笑

座右の銘を聞かれたBTSジン(2022撮影)
https://youtu.be/GmoVXwGpDbE?si=ac1GnbvOJ21UeThu

でも花岡はさ、判事だから徴兵を免れたことで、轟をはじめ同世代の青年が、ましてもっと若い少年までが戦場に駆り立てられていくのを見送る苦しみを戦時中からずーーーーっと抱えていたんだろうなと思う。前作ブギウギの水上恒司のようにね。(役名忘れた。)
戦後の頑なさは、何年も続いていたであろうその苦しみも影響したんじゃないかな。

半島から引き揚げて来た多岐川が上野駅の浮浪児たちを見て衝撃を受けたように、花岡は「食べられない子どもたちがいるのに自分がヤミ米を食べるなんて」って感じだったんだろうね。

‥‥と、画面で描かれない花岡の心中に思いを馳せる私、何なんだ。
私は根っからの太賀好きであり、チョビ髭のおじさん‥‥じゃなかった、BTSジン推しのはずなのに。(笑) 花岡ー!(涙)

妻がかっこよくて絵がうまい人だったのも良かった。
花岡は不器用でルールに縛られるタイプだから、芸術の才能があるパートナーはぴったりだっただろうね。

さて
話は推しに似たチョビ髭のおじさんに戻って

少年審判所と家事審判所がいがみ合う中、昼間はずっと寝てて、夜は仕事の話はせず両者を接待するチョビ髭のおじさん。
これは花岡をバカタレ呼ばわりして「撤回してください」と寅子に言われたときの「議論しない」態度と同じなんでしょうね。

どっちが正しいかを決めず、ただ両者を同じテーブルに座らせて言いたいことを言わせたり、飲み食いさせたりした蓄積が、直明たち学生の話という「落としどころ」につながっていったという。
その調整方法がまさに、ほかの裁判所と違う家裁のカラーそのものでもあるという。ある程度史実に基づいてるんだろうけど、ほんとに描き方がうまいなーと感心。
ま、2024年に見ると、「夜のボーイズクラブ」で政治するの、男の特権だよね~‥‥とも思うわけですがね。

平埜生成さん好きなので、汐見がヒャンスクと結婚してたのうれしいー!
正直、寅子がヒャンスクに「その名前で呼ばないで」と言われて「はて?」となる描写は、時代考証的にはすごくおかしいと思う。

朝鮮人であることを隠そうとすることを、あの時代に生きてる大人が不思議に思うはずがないです。戦前から日本人は息をするように普通に朝鮮人を差別していたし、震災では虐殺すらしたわけだから。
「この国に染みついた香子ちゃん(朝鮮人)への偏見」と多岐川に言われるまでそのことに思い至らなかったのなら、寅子に失望するわぃ。

寅子をそんなふうにイノセント(ネガティブな意味で使ってます)に描くのは、視聴者である私たちがイノセントだからなんだよね。

汐見が言う「僕は彼女のお兄さんにひどいことをした国の人間なんだから」というセリフもまぁ甘くて、あのマイルドウォッシュされた特高の描写で、日本がお兄さん(のみならず朝鮮の人たち全体に)どんなにひどいことをしたか、視聴者にはぴんとこないだろうな~と思いはした。
ま、ヒャンスクのエピソードは続くだろうから、今後の描写に注目してる。

あと、多岐川に怒られはしたけど、「助けてと自分から声を上げられない人もいるんじゃないか」と思い、「自分に何ができるのか考え続ける」のは、寅子の美質だと思います。

息子中2が先週から轟の安否を気にしてたので、生きててよかったー!
よねさんも生きてた(涙)
よねさんと轟の構図が、書生時代の優三と寅子と同じ。

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