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「虎に翼」メモ 第14週「女房百日 馬二十日?」/ 一粒の雨だれにも人生がある・対立を「調停」する

岡田将生演じる星(前)長官の息子の「なるほど」は、寅子の「はて?」と呼応してる口ぐせってことよね。いろんなことに疑義を呈する「はて?」に対して、いろんなことを受け止める「なるほど」。ただし、寅子は当初(やりにくい‥‥)とザワザワしていたから、彼の「なるほど」には「はて?」の意味が込められていることもありそう(笑)

というわけで、史実およびネタバレは見てませんが、岡田将生が新しいパートナーになるとしか思えないんですけどー!
太賀→岡田将生なんて、私ホイホイすぎる!
あとは松坂桃李と柳楽優弥呼んできてくださいお願いします。
(「ゆとりですが何か」見とけばいいですねw)

さて
寅子が穂高に怒りをぶつけ、翌日に和解するエピソード

いろんな解釈・感想があるようだけど、私としてはポイントは2つ

①“雨だれ”の人生をなんだと思ってんだ

寅子は「志半ばで去らなければならなかった仲間たち」をいつも心に留めている。それは、弁護士になったときの祝賀会で述べたスピーチにも、梅子やヒャンスクたちとの学生時代の回想シーンが繰り返し流れることにも表れている。

妊娠中にも仲間たちを思って全力投球せずにいられなかった寅子に、何の痛痒もなく「雨だれ」という比喩を使って仕事をやめるよう促したのが穂高だった。戦後、再会したときも同様。

寅子にとって、それは忘れられない傷なのだ。結局「女だから」という理由で志を折らなければならない無念さは、穂高にはわからない。

己の仕事人生を総括して「世の中は急には変わらない」「自分も雨だれの一滴」と穂高は言うが、寅子にしたら、自分たちと一緒にしてもらっちゃ困るという気持ちだろう。
穂高は男性たちの中では少数派(リベラル)だったかもしれないが、大学教授であり、最高裁判事にまでなった。社会的地位も収入も志も、何も失わずにきたじゃないかと。

② 感情的な対立も悪くない、ただし「おさめる」ことが大事

私としては、寅子に「ガキ!」と言い放った桂場も、女性たちについて無理解なのは穂高と同じだと思ってる。

寅子の資質を認めながらも、かつては「女には無理」と言い放ったし(母はるさんにコテンパンにされたが)、その後も「一度逃げた」と勝手に失望したり暗に責めたりしてきた。
女が置かれた環境ってもんをわかっちゃいない。わかっているけど共感しようとしていない、というか。

「虎に翼」では、リベラルな男性をチャーミングに描きながらも、その限界をかなり意識的に書き続けてると思う。

退任パーティでキレた寅子は大人げないかもしれない。
でも、普段は排除されるのに、こういう場では「華を添える」役を強いられがちな女性がその役を拒否する姿をドラマで描くのはめっちゃ大切じゃんと私は思う。

穂高に感謝し、尊敬している。
けれど許せない部分がある。

それを表に出してしまった大人げなさに寅子自身も悶えていたけど、「あーーー!」「どうしたらいいんだ!」と悪態をついた穂高も同じくらい大人げなかったし、お互いの感情の噴出がきっかけで、長い間のわだかまりが氷解した。

寅子に怒鳴られて「理想を口にしながら現実では既存の考えから抜け出すことができなかった」と気づき、正面から謝罪できる穂高はやっぱりすごい人ではあるよね。

人はそれぞれ違う。立場も、価値観も。
だから対立したり傷つけ合ったりする。

それを忌避するのでも抑え込むのでもなく「調停」することが大事なんだと思う。
お互い傷つきながらも、折り合うところを見つける。
寅子と穂高もそういう顛末だったと思う。


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