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インタビュー: ”私” を大切に、いっしょに歩みましょう ~ 「ライフ&キャリアパートナーズ」 佐崎和子さん

地下鉄赤坂駅のすぐそば、小さなお部屋に招かれました。
ここは「ライフ&キャリア パートナーズ」のカウンセリングルーム。
働く中で、またこれからの働き方を考える中で、悩みや迷い、わからないことがあればぜひご相談ください。
佐崎さんの元気な笑顔が迎えてくれますよ~  (2019年9月取材)

聞き手: イノウエ エミ
撮影 : 橘 ちひろ

◆ 「主婦の再就職支援」にピンときた

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―――専業主婦・母親として10年間を過ごしたあと、最初に就いた仕事が「主婦の再就職支援」とのこと。
直前まで、いってみればご自身が支援される側だったわけですから、ちょっと不思議な感じがします。

確かにそうですね(笑)。専業主婦になる前は家具を売る仕事をしていましたから、そのころともまったく畑違い。
でも、たまたま募集を見つけて「この仕事をしたい!」と強く思ったんですね。面接でも猛アピールしたんじゃないかな(笑)。200人くらいの応募者から5人が採用になったのですが、私以外はもともと仕事をしている方々でしたね。

―――すごい競争率ですね。それ以前は、まったく仕事はしていなかったのですか?

専業主婦だった10年間は仕事はしていませんでしたが、その間も女性が働くことは大事だと思っていました。
夫の転勤であちこち転居しながら生協の活動をしたり、お母さんたちとの勉強会で勉強もしていました。ちょうど男女雇用機会均等法ができるころで、女性が自立するために経済的自立が必要と言われ始めていたんですね。

勉強会のグループで講師を招いて講演会をしようということになって、100人くらい参加者を集めたこともあります。
託児をつけると「子どもを預けてまで勉強する必要はないんじゃない?」なんて批判されたりしてね…。

―――今はお母さん向けのイベントに託児があるのは当然のようになっていますが、当時は珍しかったのですね。

はい。もともと、自分が子育てと仕事の両立が不安で働き続けることができなかったのもあり、そのころから漠然と「働く女性を支援できたらいいな」と思っていました。

◆ 600時間を積み上げて社会保険労務士に

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―――数年後に社会保険労務士の資格を取得。ちょっとした思いつきで取り組むには、大きな資格ですよね。

とにかく、仕事をするように勉強しようと思って、朝9時に勉強を始めて夕方まで机に向かっているような生活でした。
なんせ、有給休暇ってよくわからないくらいの人間でしたから、法律なんてまったく…。
社労士って何なのか、あんまりよくわからないまま取っちゃってるんです。今考えたらめちゃくちゃですよね(笑)。

―――その状態で合格して社労士事務所に入ったのですね。すごい(笑)。

一度で合格できたのは運が良かったのかもしれません(笑)。
事務所に入って、初めて「あ、社労士って事業主から業務委託を受けて仕事をするんだ」と気づきました。社会保険や労働保険の手続きをしたり、就業規則を作ったり…。もちろんそれらも大切な仕事なのですが、私はやっぱり「働く側の人と直接関わって仕事をしたい」という気持ちが強かったんです。

それで、5年ほどして社労士事務所をやめたあとは、職業紹介や労働相談など、働く人の窓口になる仕事をしてきました。

―――具体的にはどのようなところで?

厚生労働省の関連組織や行政機関、ハローワークなどです。例の事業仕分けで組織がなくなったこともありましたっけ(笑)。途中、知り合いの先生に誘われて大学院に行ったり、いろいろなことがありました。

―――産業カウンセラーや国家資格キャリアコンサルタントなどの資格も取得されていますね。

最初に社労士を受験したので、勉強には慣れました(笑)。社労士は当時、資格取得までに600時間の勉強が必要だといわれていましたから。

―――はぁ~。それを聞いただけで無理だと思っちゃいます。

でも積み重ねだから、1日6時間勉強したら、100日で600時間になるでしょう?

―――そういう考え方なんですか。目から鱗です~。

◆ 話したい思いを受け止める

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―――みなさん、仕事について悩みや不安を抱えながら窓口に来られるわけですよね。相談を受けるのは大変じゃないですか?

大変だし、今振り返れば最初のころは未熟だったと思いますが、やめようと思ったことはないですね。

―――「相談してよかった」「納得のいくアドバイスがもらえた」と思ってもらうような対応をするのは、とても難しいのではないかと想像しますが。

まずは話を聞いて、おっしゃることを理解しようと努めることですね。
「こんなふうに思っているんです」ということをある程度受け止めてもらえたと思えたら、ひとまずは満足されるんじゃないでしょうか。もちろん、それだけではなく、その先があるのですが。

―――なるほど…! 確かに、職場でも家族にも話しにくいつらさ、ありますよね。

以前、「離婚を考えているけれど、これまで全く働いたことがない」という方がいらっしゃって、何回お会いしたのかな…。ずっとその方がご自分の状況を話されるだけなんです。
でも、結局その中でご自身にとって一番いい道を選んで、一歩踏み出して働かれるようになりました。

―――何度もじっくり聞いてもらえたのがよかったんですね。

本来の相談って、そこなんです。「話したい思いを受け止める」ことなんだろうと思います。

◆ いっしょに歩むパートナーでありたい

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社名「ライフ&キャリアパートナーズ」には、いっしょに歩むパートナーでありたいという思いを込めています。
人は誰でも「成長したい」「一生懸命生きたい」という気持ちを持っている存在だと思うんです。

専門知識があると、どうしてもリードしたり、サポートしたりになってしまいがち。でも、そうじゃないんですよね。ご本人に必ず力があると信じています。

だから、相談者の方の価値観、その方の考え方の枠組みでお話してくださっていいんです。それを理解しようとつとめるのが私の仕事ですから。


―――心強いです。知らない人に相談するって、案外ハードルが高いと思うんですよね。うまく話せるのか、話したところで何か得られるのか懐疑的な人は多いと思います。

「つらい気持ちを抱えている」、「どうしてよいかわからない」、「誰かに話したい」など、どんなときでも相談していいんですよ。まず、話したいことを話してもらう。私は、批判も評価もしません。
気持ちを理解するために「こういうことでOKですか?」と確認したり、どうしたらいいかわからない方には、「こういう方法がありますよ」とお伝えしたりします。

そういうやりとりをする中で、だんだん内省を深めてご自分の気持ちに向き合って、理解して変わっていかれるんですよね。

―――悩んでいるけれどどうやって抜け出したらいいのかわからない人にとっては、具体的な選択肢が見えてくるのですね。

そうですね。それもあるし、「こうしたいけど、本当にいいのか?」と迷っていたり不安に感じられている場合もあります。

たとえば、会社に行きたくなくて、しんどくなっている。それでも「行かなきゃ」と思っている方は多いです。だけど、いちばん大事なのは、“自分が生きている” ということじゃないでしょうか?

だから「そんなに大変なのだから、早く病院に行って『私は病気だから行けません』と会社に言うといいですよ」と言います。

―――ああ~! 本当に苦しいとき、それが言ってほしいことかもしれない。苦しいときほど「休んでいいのかな。もっとがんばらなきゃいけないんじゃないか」と自分を追いつめてしまう。

そうなんですよね。でも、いいの。診断書をもらって、休んでいいんです。

―――そう言われたらすごくホッとする気がします。

「自分が辞めたいときには、いつでも辞められるのよ」とお伝えすることもあります。真面目な方は「私が辞めたら周りが困ってしまう」とか「辞めさせてもらえないかも」と悩んでいたりしますから。

―――「いつでも辞められる」って、考えてみれば当たり前のことだけれど、悩みにがんじがらめになっているときは、そう思えなくなってしまうんですよね…。

労働法や憲法、主権者教育を通じて自分自身の権利を知っていれば、できること、選べることがわかってきますよ。そういった講座やセミナーの講師のご依頼も承ります。いっしょに勉強していきましょう!


◆ 夫のお世話は卒業しました

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―――お休みのときはどのようにお過ごしですか?

週末の恒例は、自宅で夫とお酒を飲みながら、録りためたビデオ鑑賞です。この間、アマゾンプライムを契約して、テレビに映るようにもしましたよ。
プロジェクターとスクリーンを買いたいな~と思っているけれど、夫がまだ乗らないんです(笑)。

本当は映画館で観るのが好きなので、たま~には観に行きます。

時々は旅行にも行きます。子どもが育ちあがったら旅行を楽しみたいというのがひとつの夢でしたから。

―――夫さんとですか? 「今さら、夫と旅行なんて…」という方もいますが…。

私は大丈夫。夫は方向音痴じゃないし(笑)、世話しなくていいから。私、してもらっているほうなので。

―――そういえば、佐崎さんのお宅では、今は夫さんが家事全般を担っているとか。以前からなのですか?

結婚当初は共働きで、そのころは「男女平等」という意識は持っていたつもりだけれど、私のほうが帰りが遅くても、いつも「ごめんね、ごめんね」と言いながらごはんを作っていました。

ある日、はたと気づいたんですよ。「あなたのほうが帰りが早いんだから、あなた作ってよ」って。そこからでしたね。
最初は夫も「買い物するのは恥ずかしい」とか「洗濯ものを干すのは恥ずかしい」とかいろいろ言っていました。

―――当時は、世の中の雰囲気も今とはだいぶ違ったでしょうから。

40年前ですからね(笑)。
でも、子育ての時期は、単身赴任も長かったし、夫はほとんど家で食事をしてなかったですね。
彼が本格的に家事をするようになったのは、役職定年になってから。職場が遠いのもあって、私のほうが仕事の帰りが遅くなってね。

―――お料理なんかも、もともとできたのですか?

もともと嫌いじゃなかったのもあるし、私が「将来、一人になったら困るよ」とか言って脅していたのもあります(笑)。だんだん、私が何もしなくなって…。今は本当に、なんにもしてないです、私。

―――すばらしい~!

◆ 人が自分らしく生きることにかかわっていきたい

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―――10年間専業主婦をしたあと仕事を再開して、それから一度もやめたいと思ったことはないですか? 外で働くことは楽しいですか?

楽しいかどうか、と言われると難しいです。本当は、朝は「今日は仕事に行くの、しんどいな」と思うときもあるんですよ。でも、行って、みなさんのお話を聞いたり、仕事をしていると「やっててよかったな」と思います。

私の年齢だと、仕事をリタイアしている人も多くなってきました。でも、私はまだ未来を見ながら仕事をしてる(笑)。「どうしてそんなに働くの?」と言われることもあります。

でも、私の場合、「仕事しなくなったら何をするんだろう?」と思うんです。自分の人生を振り返ると、今やっと花がひらきつつあるところかなと思っています。

―――わぁ、すてきです。花がひらくって、具体的にどういう感じなんでしょう?

自分が自由になっていこうとしている…という感じかな。
だから、みなさんがもっと自分らしく生きることにもかかわっていきたい。仕事をする、しないにかかわらず、今のその方自身より少しでも自由になって、その人らしいストーリーを生きていくための同行者になれればと思っています。

◆ 違うメガネをかけて世界を見てみる

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―――もっと自分らしく生きるための「カギ」って、何なんでしょう。

今かけているメガネを外して、違ったメガネで世界を見るということかな。そうしたらちょっと違うと思います。

もっと自分らしく、もっと自分に優しくなるメガネをかけてほしいですよね。「いちばん大切なのは自分」、それでいいんですよ。仕事より、夫より、自分が元気なことが大事じゃないですか。

たとえば、仕事を始めようとしても、三食きちんと作らなきゃと思っていたら難しいですよね。でも、お店で買ってもいいじゃない、外食でもいいじゃない。そうじだって、もっと手を抜いていい。そう思うようになれば、そういう見方ができるようになれば、一歩踏み出せる。

―――そんな自分に罪悪感をもつ必要もないんですね。

そうそう。本当はきっと、お互いに笑いあえて、お互いを尊重しあっていける家庭がいちばんいいはず。でも、ついつい、そうじゃないメガネになってしまうんですよね。

―――専門の人に相談するって、違うメガネをかけることにつながるのかもしれませんね。相談したくなってきました。

2020年7月までは、1,000円でご相談を受け付けています。
占いに行くように、気軽に相談に来てください。私もまだまだ勉強中なので、みなさん一緒にもっとのびやかになりましょう!!

(おわり)


☑ 今の仕事を続けようかどうか迷っている方
☑ もっといい仕事があるんじゃないか?と思う方 
☑ 仕事をしたいけれど 何から始めたらいいかわからない方 
☑ 長期的なキャリアプランを考えたい方 
☑ そのほか、働くことに関するお悩みやご相談 

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編集後記

長い年月、いろいろな形でたくさんの方のご相談を受けてきた経験をおもちの佐崎さん。お話しぶりからもそのキャリアを感じます。決してこちらを型にはめず、フラットに話を聞き、受け止めてくれる方です。しかも、今でもいつも勉強されている! 「もっと自分らしい生き方を」、その思いをみずから実践しているのですね。ますます花ひらく佐崎さんが楽しみです。
(イノウエ エミ)


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