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ローカル電車が繋ぐ、心温まる物語。ほんの小さな出来事で、人生が少しだけ方向転換して行きます。

2021/6/6 読書記録no.38「阪急電車」有川浩

大好きな、有川浩さんの本。
ずっとずっと好きな1冊で、この前久しぶりに読みました。
やっぱり、良かった。
これはいつまで経っても色あせない、素敵な本だと思います。

今日は、こちらの本について書いていきます。


作品について。

この本は、2008年に単行本が発売されました。
その3年後、2011年に「阪急電車 片道15分の奇跡」というタイトルで、
映画化もされた作品です。
映画のキャストさんが、これまた豪華なんです。

高瀬 翔子 - 中谷美紀
森岡 ミサ - 戸田恵梨香(兵庫県神戸市出身)
萩原 時江 - 宮本信子(若い頃の時江 - 黒川芽以)
伊藤 康江 - 南果歩(兵庫県尼崎市出身)
権田原 美帆 - 谷村美月(大阪府堺市出身)
門田 悦子 - 有村架純(兵庫県伊丹市出身)
萩原 亜美 - 芦田愛菜(兵庫県西宮市出身)
小坂 圭一 - 勝地涼
カツヤ - 小柳友
マユミ - 相武紗季(友情出演)(兵庫県宝塚市出身)
羽田 健介 - 鈴木亮平(友情出演)(兵庫県西宮市出身)
披露宴の会場係 - 大杉漣(特別出演)
小峰 比奈子 - 安めぐみ
小林駅の駅員 - 菊池均也
門田 悦子の友達 - 森田涼花(京都府京都市出身)
樋口 翔子 - 高須瑠香(大阪府枚方市出身)
健吾 - 高橋努
遠山 竜太 - 玉山鉄二(京都府城陽市出身)

映画も見たことありますが、素敵です。
日日是好日もギャップを感じなかったけど、
この作品も、小説の世界観が再現されているな、って個人的に感じました。

小説も、映画も、好きです。大好きです。


あらすじ(裏表紙)

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。
片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。
乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、
やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車。
人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない路線を走って行く。
ほっこり胸キュンの傑作長編小説。


素敵な言葉。

正直、「阪急電車」で出てくる言葉は、
全てが素晴らしいというか、要所要所を抜き出すことが勿体ないくらい、
綺麗に文章が繋がっているので、
素敵な言葉を抽出するのは難しいのですが、
それでも、ここなら大丈夫と思ったものを、ここに書いておきます。

P130 乗客たちがどんな物語を抱えているか。
それは、乗客たち、それぞれしか知らない。
人数分の物語を乗せて、電車はどこまでもは続かない線路を走って行く。
P168 価値観の違うやつとは、辛いと思えるうちに離れておいた方がいい。無理に合わせて一緒におったら、
自分もそっち側の価値観に慣れてしまうから。

色々間違った方や、嫌な方に行きそうな時、
行きずりの人からいろんな言葉をもらってん。


読み終わって。

この本は、不思議で面白いです。
短編小説で、章ごとに主人公は変わります。
でも、その物語は全て「阪急電車」で起こっていること。
人は変わるけど、舞台は変わらない、それが不思議で面白い。

なんか、バトンリレーを見ているような、そんな感覚になります。

宝塚駅
宝塚南駅
逆瀬川駅
小林駅
仁川駅
甲東園駅
門戸厄神駅
西宮北口駅

このローカル線を舞台に、物語が進んで行きます。
恋が始まる瞬間もあれば、別れを決意する瞬間もあって、
結婚式から帰ってくる人もいれば、うるさいおばちゃんもいて、
子供も「女」として戦っている時もあれば、
凛としたお婆ちゃんの助言で、途中下車することもある。

それぞれに主人公がいるのですが、舞台が同じなので、
前の章で主人公だった男の子が、次の章でエキストラになってたり、
主人公の姿を、エキストラはこう見えていたのかって、
見る視点がコロコロと変わって、楽しい。
人間観察をしちゃう私は、こういうのは楽しくてたまらないですね。
会話を聞いて、フッと笑ってしまうことって、よくあります。笑

たまたま乗り合わせた電車の中で繰り広がれる、人と人との物語。
個人の人生は完全に交わらなくても、
線と線として、一瞬、電車を通じて、重なる瞬間。
ほんの小さな出来事で、人生が少しだけ方向転換する、
その瞬間を目の前で見ているようで、温かい気持ちになります。


この本は、本が苦手…と思っている方にオススメです。
読み口も軽くて読みやすいし、
「電車」という日常の空間なので、何より分かりやすい。

読み終わった時、
「あー、やっぱりこの本は素敵だな、読んで良かった」って思います。
なんか、安心感というか、安堵感というか、安らぎというか、
心がホッと落ち着くというか、そんな感覚になります。

有川さんの本の中でも、特に読んでいただきたい、オススメの1冊です。


おりょう☺︎

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