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誰1人、その未来は予想していなかった。

2020/9/6 映画記録no.5「君の膵臓をたべたい」

先週の金曜ロードショーで放送された、映画版の『君の膵臓をたべたい』
大型台風のせいで、お家に引きこもっていたので、
録画していたものをちょうど観ました。

何度見ても泣ける、この映画。
結末を知っていても、セリフも覚えていても、
それでもまた見たくなる、そんな大好きな映画です。

今日はその映画について、まとめていきます。


詳細。

この作品は、作家・住野よるさんのデビュー作だそうです。
これがデビュー作とは、もう驚きを隠せません。
2015年、出版に至ってからは、
「読みたい本ランキング」や「TSUTAYA BOOKランキング」など
多くの順位付けにおいて、常に上位を総なめ。
高く評価されたことによって、
2017年に実写映画化、2018年にアニメで映画化されました。

アニメ版も好きですが、
今回は「実写」の方を中心に書いていきたいと思います。

主演は、浜辺美波ちゃんと北村匠海くんのダブル主演。
そして、原作にはない12年後の世界が、こちらの実写では描かれています。
高校生時代のエピソードは過去のものとして扱われていて、
桜良がいなくなった12年後の世界で残された人たちがどう生きていくのか、そこにスポットが当てられています。

もう、この実写オリジナルストーリーが素晴らしい。
全てが繋がって、号泣間違いなしです。

キャスト
山内桜良 - 浜辺美波
「僕」 / 志賀春樹(学生時代) - 北村匠海 (DISH//) 
滝本恭子(学生時代) - 大友花恋
ガム君 / 宮田一晴(学生時代) - 矢本悠馬
隆弘 - 桜田通
栗山 - 森下大地
桜良の母 ‐ 長野里美

宮田一晴(12年後) - 上地雄輔
滝本恭子(12年後) - 北川景子
「僕」 / 志賀春樹(12年後) - 小栗旬


刺さった言葉。

入院をした桜良に会いに、夜中病院へ潜り込む”僕”。
月明かりが部屋を照らしている中で、
”僕”が桜良に質問したシーン。
「君にとって、生きるとはどういうこと?」と。
それに対しての、桜良の答え。

「誰かと心を通わせること、かな。
誰かを認める、好きになる、嫌いになる、
だれかと一緒にいて手を繋ぐ、ハグをする、すれ違う、それが生きる。
自分1人じゃ生きてるってわからない、
そう、好きなのに嫌い、楽しいのに鬱陶しい、そういうまどろっこしさが、人との関わりが、私が生きてるって証明だと思う。
だから、こうして君といられて良かった。
君がくれる日常が、私にとっての宝物なんだ」

普段のなんともない日常のことを、桜良は「生きる」と表現しました。
”まどろっこしさ”という言葉を使うところが、すごく印象に残っています。

全ては偶然じゃない、と”僕”に伝えた桜良。

「君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択が、
私達を会わせたの。私達は、自分の意思で出会ったんだよ」

それぞれで選んできた線が交わったことによって、出会うことができた。
全ては、そうやって繋がっている。
もしそうなら、私が生きているこの世の中も、
同じことが言えるのかもしれないと思いました。

桜良が亡くなってからの”僕”が思ったこと。

甘えていたんだ
残りわずかな余命を彼女が
全うできるものだと思い込んでいた 馬鹿だった
明日どうなるかなんて誰にもわからない
だから今この1日をこの瞬間を大切にしければいけない
そう彼女に教わったのに

前半の方で、桜良は「1日の価値は、みんな同じ」と言いました。
その言葉の意味を知った、”僕”。
最初に桜良のセリフを聞いているからこそ、
のちの”僕”のセリフが、痛いくらいに心に響くんです。


実は。

①”僕”、に隠された名前の意味。

終盤に入るまで、名前は出て来ず、
ずっと”僕”という言い方になっています。
さらに、映画の公式サイトでも、
キャラクター名ではなく”僕”と紹介されていたくらい、名前が出て来ない。
でも、最後の最後、桜良が「春樹」という彼の名前を読んで、
ついに明かされるんです。

たぶん、私の考えるに、
桜良と仲良くなる前の”僕”は、
極力1人で行動し、人との関わりを持たないようにしている少年、でした。
特定の誰かではなくて、その他大勢の1人でしかない、
そんな意味が”僕”に隠されている気がします。

しかし、最後。
桜良と関わったことによって、
桜良にとって彼が不特定多数の誰かではなくなって、
特定の誰か、唯一の存在になっていったことを表しているのではないかと思います。
だから、「春樹」と名前を呼んだ。

呼び方ひとつで、感情の変化が伝わってきます。

②小説にはない、オリジナルストーリー

春樹が迎える12年後のエピソードは、
原作には存在しないオリジナルの内容が組み込まれています。
このストーリーがもう涙を誘うもので、
桜良がいなくなった世界、これまでどんな思いで生きてきたのか、
悲しい過去を背負ってそれぞれ生きる人物が描かれています。

生前、桜良が図書館に手紙を残していくお茶目なシーンも、
結婚式場でその手紙を読んで泣き崩れる恭子の姿も、
「お友達になってください」と数年ぶりに手を差し出した春樹も、
全て映画のためだけに作られたもの。

私は、原作を先に読んでいたので、
この映画のオリジナルストーリーを見た瞬間、
驚きと感動に包まれました。
原作にはない、「未来」がそこにあったからです。
桜良が亡くなった後でも、時間は止まらず進んでいく。
12年の時を経て、また繋がっていく、
作品だけで終わらせない想いが、そこにある気がしました。

原作しか読んだことない人も、
映画しか見たことない人も、
ぜひ、どちらも手に取って欲しいと思います。


まとめ。

この映画は、北村匠海くんと浜辺美波ちゃんのダブル主演。
青春真っ只中の美しくて儚い2人の姿、
届かなかったけれど、確かに届いた2人の想いが、
悲しくて、切なくて、美しくて、綺麗すぎます。
本当に、これからも大切にしたい素敵な映画だと思います。


おりょう☺︎

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