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有川さんの綴る言葉の奥深さに、今回も心打たれました。

2021/5/18 読書記録no.33「レインツリーの国」有川浩

有川浩さん、私の大好きな作家さんです。
私は本を買うとき、作家さんではなく、
本の表紙を見てジャケ買いすることが多いのですが、
有川さんの本は、無条件に買っちゃいますね。絶大なる信頼をしてます。笑

元々は高校時代の友人が有川さんのファンで、
その影響で好きになりました。
その子は「図書館戦争」が大好きな子でしたね。
元気かな?元気だといいな。

ということで、今日は「レインツリーの国」について書いていきます!


作品について。

『レインツリーの国』は、有川浩の小説です。
2006年9月に単行本が刊行され、
2009年7月に新潮社文庫版が発刊されました。
2015年9月には角川文庫からも文庫本が発売されたそうです。。
さらに、2007年にNHK FMシアターでラジオドラマ化され、
2015年には、玉森裕太さん・西内まりやさん主演で映画化されたそう。

(また見たい映画が増えた…笑)

あらすじ。

きっかけは「忘れられない本」。
そこから始まったメールの交換。
共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。
まして、ネット内時間は流れが速い。
僕はあっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。
かたくなに会うのを拒む彼女には、
そう主張せざるを得ない、ある理由があった――。


印象的な言葉。

P84 無意味に見えるのは自分の立場で見るからで、
それが必要な人がいるということを突き詰めて考えたことはあったのか。
P126 理想の人なんておれへんよ。
単に条件が違う人間がいっぱいおるだけや。
その中には人間できてない人もできてない人も、
おんなじように一杯おるよ。
ていうか、できてる部分とできてへん部分と、
それぞれ持ってる
んちゃうかな、みんな。
P172 本当にちゃんと考えたいんです。
日頃の暇つぶしに混ぜて、適当に考えるんじゃなくて。
今まで逃げて考えなかったこと、ちゃんと考えたいんです。
自分の甘えてたところとか、わがままなところ、嫌なところ、
いいところもあるなら、それを見つけてあげたい。

少しだけ、私がいろんなことに強くなれる時間をください。
P174 他人に理解できない辛さを抱えていることに変わりはない。
その辛さの種類がそれぞれ違うだけで。
P183 早くあの国がもう一度開いて、言葉を自由に綴ってくれますように。俺は、君が自由に綴るあの言葉が好きです。
フォントで君が綴る言葉をもう一度俺に読ませてください。
いろんなツールで君が使いこなすフォントが君の声で、
その声をおれは待ってるから。
P184 どうしてこれほど彼女の言葉が好きなのか分かった。
彼女は耳が不自由なだけ、言葉をとても大事にしているのだ。
第一言語として自分たちに遺された言葉を。
その言葉を大事に使って、真摯に理屈を組み立てる、
だから彼女の言葉に惹かれるのだ。
P219 漆黒の鏡になった窓に向かって、瞳は短くした髪をかきあげた。
まるで、周囲の誰かに補聴器を誇示するように。
それはささやかな仕草だったが、無理解で、
瞳たちのような人間を傷つけることが多い世界に少しだけ、
何かを主張してやれたような気になれた


読み終わって。

とても、良い本でした。
感想がとても陳腐な気がしますが、これに尽きます。

当事者だから分かること、当事者じゃないから分からないこと、
気持ちを分かろうと努力すること、
努力しても、100パーセント理解することはできないこと、
本音と付き合うこと、人と向き合うこと、心に寄り添うこと、
大切なことが、沢山込められていて、
改めて、有川浩さんの世界観にどっぷり浸かって、
有川さんが綴る言葉の奥深さに、心打たれましたね。

第一言語、第二言語の話をしているときは、
グッと、考えさせられました。
そうか、そうなのか、そういうものなのか、って。
私は知りませんでした。全く。恥ずかしくなるくらいに。

ちゃんと知りたいって思いました。
完全に理解することはできなくても、
私の中にある常識の大きさを少しだけ広げて、
その広げた部分を、少しずつ埋めていけたらいいな、って思います。

本当に素敵な本でした。
これからも、大切にしたい、そんな本でした。


おりょう☺︎

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