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会社員、初めての翻訳に挑戦!

翻訳してみたい!

「働く女性にワクワクとエネルギーを与えてくれる未邦訳の本を訳したい!」との思いから、
まずは英日翻訳とはどんなものなのか?
思い切って試してみることにしました。

そこで、翻訳者の世界を少し調べたところ、
どうやら翻訳者の方のほとんどは「実務翻訳」という
取扱説明書やマーケティング書類、契約書、特許明細といったビジネス実務書面を翻訳することで生計を立てているようです。
一方、文芸や映画といった「文芸翻訳」をメインに据え(られ)ている人はほんの一握りとのこと…!

私がチャレンジしたい翻訳は「文芸」の方ですので、なかなかハードルは高そうです。

翻訳、どうやって始めればいい?初めの一歩

続いて、翻訳家になるための初めの一歩を調べてみると
登竜門としては、各翻訳会社のトライアルテストに合格することが王道のようです。

しかし、トライアルテストへの参加要件として「実務経験3年」という壁があり、まずはここをどうクリアするかが考えどころ。

色々調べたところ、会社員をしつつ実務経験を積める方法として、以下の2つをトライして見ることにしました。

①TED翻訳ボランティア

10~15分程の英語動画に字幕を付けることができます。

[How To]
TED Translators への登録 - TED Translators Wiki からRegistrationを行うと、
Captionhubというサブタイトル編集アプリの登録案内が来て、ものの5分で登録が完了します。

アプリ内で対象Talk一覧から好きなTalkを選択すると、30日間は自分だけがそのTalkを編集できる状態となります。

締め切りまでだいぶ余裕があるので、仕事をしながらでも隙間時間で翻訳を進めることができます。
なお、同時期に並行して翻訳できるTalkは3つまでです。

[Good Points]
☑ 映像翻訳の世界観を知ることができる。
「本の翻訳と比べて、よりノンバーバルなエッセンスを、より短いワードで的確に表現することが重要なんだ」という気づきを得ることができました。
ある意味、映像翻訳は"じっくりと取組む通訳作業”という感じなのかもしれません。

☑ Captionhubといった、今まで触ることのなかった字幕アプリに親しむことができる。
映像編集に全く疎い私ですが、Talk音声のスピードや話出しに合わせて 適切な位置にサクサクと字幕を入れることができるようになっています。編集アプリの高度さに驚きました。

☑ 翻訳が公開された場合、そのTalkの始めに自分の名前(ローマ字)のクレジットが載る。
今後、翻訳実務経験を証する際に有用かと思います。

☑翻訳対象の動画が短いのですぐに翻訳を完了させられ、結果色々なジャンルのTalkに取り組める。
ビジネス、環境、人文等、あらゆるジャンルの内
自分が得意そうな分野がどれなのか、素早く感覚をつかめると思います。

[Bad Points]
☑自分の翻訳が公開されるためには、レビュアーによるレビューを経る必要がある。

実はこれが結構鬼門なような気がしています。

レビュアーとは、自分のTED Talk翻訳が7本以上公開された人のことで、
この人に自分の翻訳動画をレビュー対象として選んでもらう必要があります。
(逆に、レビューさえ経れば動画は即公開されます。)

因みに自身は、FacebookのTED Japanese Translatorグループからレビュー依頼を呼び掛けたものの、
1週間経った今でもレビューアーがつかない状態です。
どうやら、半年以上誰にもレビューしてもらないことも多いようです。。

そこで2つめのアイディアとして、以下のオーディション参加にトライすることにしました。

②翻訳オーディション・コンテスト

[How To]
オーディションは、アメリアといった大手の翻訳者有料コミュニティや、通訳・翻訳ジャーナルといった雑誌媒体、JAT(新人用)等いろいろな媒体で通年で開催されています。

その中で私は、トランネット(株式会社トランネット (trannet.co.jp))のオーディションに参加してみることにしました。

トランネットのオーディションは年に15~20回程度開催されており、
未邦訳の本の一部(3~4頁程)が翻訳課題文として提出されます。

課題文を10日程の期限内に訳文を提出すると、2週間程度で結果が発表されます。

[Good Points]
☑ 最優秀者は、課題文となった本の翻訳権を得ることができる。
稀に「最優秀者該当者無し」となることもあるようですが、新人翻訳家にとっては夢のようなチャンスが得られます。

ただ、もし選出された場合には、3か月程度で1冊を訳す必要がある(+報酬総額は一般的なサラリーマンの一月の手取り程度)ため、
本業との兼ね合いを考える必要がでてくる点に留意が必要です。
それを差し置いても、選出されたという実績は今後に大いに生かせそうです。

☑ 自分の訳文を講評してもらえる。

自分の訳文を、複数の審査委員によって各項目ごと(e.g. 訳の流暢さ)に6段階ほどで評価してもらえます。

トランネットは年会費11,000円で、これに加えてオーディションごとに3,000円の参加料がかかり、初めは若干気が引けていました。

が、「プロに自分の訳文を見て頂けるなんて、これは翻訳の右も左もわからない自分にとっては安すぎるお買い物!」と思い直し、チャレンジすることにしました。

なお、他の会社のオーディションも、参加のためには有料会員登録が必要だったり、参加料が必要だったりすることが多いようです。

[Bad Points]
☑翻訳に時間がかかる
TED Talkとは打って変わって、本のジャンル次第では多くのバックグラウンド調査(e.g. 専門用語の定型日本語訳がないかの確認。専門的な記述内容を理解するための背景知識の勉強)が必要になってきます。

私の場合、たった4頁の課題文を訳すために計10時間程は使ったのではないかと思います。

☑ オーディション選出者名はペンネームで公表される(本名は出ない)。
従って、翻訳実績を証明するためにこのオーディションを使おうとする場合、トランネットからの講評通知メール等をしっかり保存した上で活用する必要がありそうです。
なお、上訳者として選出され実際に出版にこぎつけた場合には本名クレジットが本に掲載されます。

これからのこと

以上、翻訳の右も左もわからない私でしたが、
2週間で2つの訳文を提出するところまで漕ぎつけられましたので、
思ったより気軽に翻訳の世界を覗いてみることができました。

今回初めて翻訳にトライしてみた1番の収穫は、
「情緒・行間の豊かさや、その本が作り出す世界観・余韻に没入させるパワーは、人間による翻訳だからこそ生み出だせるものなんだ(人による翻訳と機械翻訳とでは全く使命が異なるのだ)」
という実感を得られたこと。

あらためて、翻訳家の方への尊敬の念が生まれると共に、
数々の素晴らしい本を訳されてきた方々や歴史に感謝の気持ちが芽生えました。

また、純粋に「知らない世界に足を踏み入れるのって楽しい!」という感覚を久しぶりに得られた良い機会となりました。

まずは、オーディションの講評を楽しみに待ちたいと思います。

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