コンサルがよく使うフレームワーク⑧ 5Force分析
今回は外部環境分析に用いる5Force分析を紹介します。
概要
こちらのフレームワークは、（いろいろな意見があるとは思いますが）「この業界の魅力度ってどうなのよ？」というときに用いるフレームワークです。5Force、すなわち5つの力とは、新規参入、代替品、売り手、買い手、業界内の5つの力を意味します。これら5つの力が、今後どう働いていく見込みなのか、その結果対象としている業界の魅力度がどう変化するのかということを分析します。
例えば自動車業界において、CASEによって従来は自動車メーカーではなかった業種による新規参入が増えるため、自動車業界の競争が激化する（つまり魅力度が下がってしまう）、というような使い方をします。なので、5Force分析では、5つの力それぞれが業界の魅力度に対してプラスなのかマイナスなのかを見極めることが重要です。
前回のPEST分析に比べて、自分の業界により近い視点で分析することになります。
新規参入
ここでは、新規プレーヤーの参入障壁をふまえ、新規参入が脅威となりそうか、あるいは脅威とはならなさそうかを評価していきます。例えば自動車が電気自動車化していくことで、テスラなどの異業種プレーヤーが新規参入しやすくなったりしますし、電気やガスの小売自由化といった規制緩和により新規参入が可能になったりします。そうすると、新規参入が多くなる、つまり自分の業界での競争が激化するため、魅力度としては下がってしまう、というような評価をします。
代替品
ここでは、自分の業界の製品やサービスが、他業界と思われている製品やサービスに代替されてしまう脅威を評価していきます。例えば、自動車業界におけるカーシェアリングだったり、ガス会社にとってのオール電化が挙げられます。「得られる価値が同じもの」「お金や時間の使い道として競合してしまうもの」といった視点で考えると分かりやすいかと思います。代替してしまう製品やサービスが増えてくれば、やはり自分の業界での競争が激化していく見込みであると評価します。
売り手
ここでは、売り手側（供給者や川上と呼ぶことも）の力を見ていきます。売り手側の供給が過剰であれば、仕入れる側である自分の業界は安く仕入れられるのでプラスになりますが、逆に供給が不足していれば高く仕入れざるを得ないのでマイナスということになります。資材の仕入れが分かりやすいですが、人材の獲得も同様です。人手不足により多くの業界では人材獲得コストが高騰してしい、結果、自分たちの業界の利益率が下がってしまうというような評価をしていきます。
買い手
ここでは買い手側（需要家や川下と呼ぶことも）の力を見ていきます。需要が伸びていくのか減っていくのか、求めるニーズやKBF（Key Buying Factor）がどう変化しているのかなどをもとに、自分の業界の製品やサービスに対してプラスに働くのかどうかを評価していきます。単純に需要が増えれば高く売れる（プラスに働く）ですし、需要が少ないと安く売らざるをえない（マイナスに働く）となります。
業界内
ここでは業界内の力を見ていきます。わかりやすい例としては、コモディティ化により各社のコスト競争激化（つまり魅力的でなくなる）、地域的な住み分けにより競争環境はあまり激化せず（魅力度は下がりづらい）といった評価をしていきます。競争が激化すると自社の利益率が下がるので、ちゃんと見ておきましょうということです。
最後に
これら5つの視点で、対象とする業界の魅力度が今後どうなっていく見込みなのかを評価していくのが5Force分析です。外部環境分析としては代表的なフレームワークとなります。そのため、ビジネスDDなどでもよく使われる印象があります。ぜひ、自分の業界が今後どのような事業環境となっていきそうなのか、PEST分析と合わせて考えてみてください。
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