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【経営】数字だけ一人歩きしていないか?

昨年末、とある交流会で30代半ばの経営者と出会う。
「しみずさん、Aさんが話をしたいって」
先輩経営者から私に声がかかる。

先輩経営者よりAさんについて簡単に説明。
2年前に起業、その前は外資系の保険会社でトップセールスだった、現在は外国人人材のビジネスと福祉施設も自分で数件経営している人とのこと。

「初めまして、Aです」
さすが、元外資系トップセールス、入り方が爽やか。
私よりもどうだろう、5歳くらい若いのかな?

ビールで乾杯、飲みながら雑談をする。
この交流会も終盤だったため、Aさん、結構顔が赤い。
「Aさんは将来会社をどうして行こうか考えられていますか?」
「100億の企業を作ります」
「凄いですね、何故ですか?」
「それくらいのインパクトがないと世界を変えれないんで。いや100億じゃ全然だな、300億くらいは最低必要だと思う」
「福祉施設展開していくのですか?」
「いやそれだけで行くはずがないのでいろいろ考えていますよ」
「今、施設やっているのは何かきっかけがあったんですか?」
「今の法律ではあと5年くらいはビジネスとして成功確率が高いと思ったのでやっているだけですね」

へーそうなんですね。
何となく空気感合わなそうだなと思っていたが、こういう人とはあまり関わりたくないなあ。

交流会が終わる。
2次会組、帰宅組に分かれる。
私もこの日はあんまり次に行きたいなと思う人がいなかったので帰宅。

「しみずさんもお帰りですか?」
Aさんだ。
ちょっと距離を置こうとしたAさんだ。
「あっAさん、駅まで一緒に行きますか」
距離を取り切れない私。
「また飲みましょうね」
「是非」
大人の帰りの社交辞令で握手しそれぞれ帰路に着く。

今年3月、大阪で交流会のお誘いを受けた。
たまには他県の交流会も行ってみようか、そのくらいの気持ちで行った。
数名知っている経営者がいたので居心地も悪くない。

「しみずさん!」
誰かな誰かな…

Aさんだ。
3か月前に会い、距離を取ろうとしていたAさんだ。
「偶然ですね、会いたかったです」
「いやあ奇遇ですね、私も会いたかったです」
大人の再会の社交辞令を交わし、ビールで乾杯。
最近どう?的な話をしたと思うがそれほど記憶に残らない話。

大阪まで来たので2次会に行く。
いるぜAさん。
ここまで来るとちょっと深掘りしてみようと思い始めてきた私。
「今度名古屋で会いましょうか、日程決めましょう」
「いいですね、是非。えっとーこの週、海外にいるので5月8日のランチいかがですか?」
「いいですね」
ということで昨日Aさんとランチ。

最初の出会いからサシでランチなんて考えられなかった。
彼はカンボジアに行っていたらしい。
「技能実習生を受け入れてもらう企業との面接同行と新たなビジネス発掘ですね、何回も何回も人脈全くない所からやっています」
へー、スマートに営業展開していると思っていたら、話を聞いてみると結構泥臭い。
12月に受けた目標の為には手段を選ばない人間的な印象が徐々に薄れていく。
「面接と同時に内定を出した子の家族には絶対会いに行くようにしています」
「へー悪いけどそんなことやっている印象ではなかった、もっとドライにやってそう」
「その子がどんな暮らしをし、何のために日本で稼ぎたいか、そのストーリーは絶対に押さえます。今はこのビジネスだけど絶対に大きくして世界の貧困層と言われる人たちを無くしていきたいんですよね」

そういうことか、彼が会社を大きくしたい理由が少しだけ分かった気がした。
昨年初めて会った時は酔っぱらっていたせいかKPI、いわゆる数値目標しか聞いていなかった。
何のために、このストーリーがあるかないかで聞こえ方が全然違う。
数字だけ一人歩きさせる危険性をまじまじと感じさせていただきました。
自戒の意味を込めて。

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