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20歳の医学生をリクルートする寿司屋の店主と奥さん

20歳の医学生から話を聞いた。
「ポケモンスリープ」が流行っているらしい。
流行っていることは一旦やってみよう。
インストールし枕元にスマホをセットし就寝。
目が覚める。

6時20分。

ん??

アラームなった??

5時20分に毎日設定していたけど。

しかも5時50分から朝活をしている日だったけど??

完全なる寝坊。
ポケモンスリープのせいなのか、深酒のせいなのか。

9月に私の誕生日会をしてくれる、総称しみず軍団という大学時代の部活のの後輩たちがいる。
その後輩は毎年部活内の新しいメンバーを誘ってきてくれる。
参加者は毎年私にプレゼントをくれるので、そのお返しとしてゲームをし、その景品の1つが「しみずと寿司屋にいく権」。
見事当選したのが最年少参加の20歳の医学生。
その医学生と誕生日会に家族の病気で来れなかった私の3つ下の後輩ドクターと3人で寿司屋へ。
その寿司屋はある社長の紹介で2度ほど行ったことがある。
非常に雰囲気もよく、料理もおいしい。
今回は初めてのカウンター。

3人でお酒を飲みながら話が進む。
20歳の医学生は2か月前に彼女が出来たらしい。
その彼女にこの飲み会の話をしたら、
「倍くらいの年齢の社長に寿司屋さんに連れていってもらうんでしょ?寿司屋のマナーとかyoutubeで見たほうがいいよ。」
と言われたらしい。

しっかりした彼女である。

もう一人のドクターが最近の病院事情の話をする。
「10年前は働きまくってましたけど、今は労務管理が凄くて働きたくても働けなくなっています。若いドクターが経験積もうと思っても経験積めなくなっている。あの頃働いていて大変だと思っていましたが、その経験が無ければ今の自分の診療はできないから若いうちは勉強した方がいいですよね」

3人で話をしているとカウンター越しに大将が話かけてくる。

「若いっていいなー」

話を聞いていたらしい。
グイグイ話に加わってくる大将。

「自分が若いころはずっと修行していたなあ、月給4万円で10年くらい働いていたよ」

大将は50代半ば、でも月給4万ってなかなかの数字ですね。

「うちの寿司屋でバイトしたらどうだい?」
大将が20歳の医学生にロックオン。
「うちでバイトしてくれたら寿司食べ放題、1ヶ月のうちで来れる日だけでいいから」
隣にいる私やドクターには目もくれずプレゼンテーション。

何か感じるものがあったんだろうな。

「なんかやっているのバイトは?」
「塾講師と採点のバイトしてます」
「そんなみんながやっていることやっても面白くないぞこれからは、医学生なのに寿司屋でバイトしてました、なんて言った方が面白いぞ」

確かに、と私は思った。
塾講師と比べて時給は半分くらいかもしれないけど月に1度でも寿司屋でバイトした方が面白い。
また、その寿司屋、個人店ながら医者や経営者もよく来るとのことなのでお客さんから可愛がられるし人脈が出来る。

お店を出る。
大将と奥さんが店の前までお見送りをしてくれる。
「また是非お願いします」
丁寧に頭を下げる大将と奥さん。

「あなた、連絡先聞いたの?」
「あっそうだそうだ」
20歳の学生と大将が番号交換。

大将の熱意とそれを補う奥さんのサポート、見事なコンビプレイ。

翌日、大将から私にショートメッセージが。
「昨日は素敵な方を紹介していただきありがとうございました、またご来店お待ちしております」

一人ひとりのお客様を大切にする姿勢を感じると同時に完全に20歳の医学生をリクルートする気だなと思った一文でした。

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