培養肉市場急拡大の潮流と食品安全保障問題

魚や肉の培養肉ってご存知ですか?大豆の代替肉ではありません。フェイクミートではなく、本物の魚や家畜の肉を培養成型した人口肉です。

世界で初めて培養肉販売を許可した国はシンガポール。2020年12月にグッドミート(GOOD Meat)が販売を開始しました。

当然、北米市場での販売を第一にしていたのですが、アメリカで培養肉を販売するためには、先ずFDA(米国食品医薬品局)の安全性審査をクリアした上で、更にUSDA(米国農務省)の認可を取得しなければいけません。(※培養魚肉はFDAの安全性審査をクリアすれば販売できる。)

この難題に挑戦し続けたグッドミート社とアップサイドフーズ社(UPSIDE Foods)の2社が、2023年6月、遂にUSDAの検査証書(GOI:Grant of Inspection)を取得して市場投入準備に入っています。

2050年には世界人口が100億人を超えると予測されています。危機感を持った国々は自国の食品安全保障として様々なイノベーションに取り組んでいます。

培養肉もその一つで、国土が狭小で水資源さえマレーシアからの供給に頼っているシンガポールは食料自給率アップの主要政策として培養肉開発に取り組んでいます。

私共は仕事柄、各国の培養肉開発に関係していますが、大量生産施設の拡充に伴って培養肉市場が急激に拡大するのは間違いありません。

食にこだわる日本が取り組むべきイノベーションの一つだと思います。


MKC情報室