育成のポイントは「演技力」と「例え力」

ITコンサルファームで新人、中途コンサルタントを育成してます。
コンサルタントの教育現場で気づいたこと、学んだことを展開しています。

前回の記事では『なぜコンサルタントの育成は難しいか?』という話をしました。
https://note.com/ryamasaki3/n/na71b1922ed19

そこでコンサルタントの育成が難しい理由の1つとして、『地頭がよい(いい意味でも悪い意味でも)』と挙げました。
今回は地頭がよいと何が困るか、その困りごとを解消するためにはどんなスキルが必要かを説明します。
(残り2つが気になる方は前回記事を見てください。)

Q.地頭がよいと何が困る?
困るシチュエーションは3つあります。

1つ目、説明や教育方針にブレがあると刺されます。
別に新米コンサルタント達に悪意がある訳ではありません(一部悪意を持って刺しに来る人もいますが笑)。
大抵は「論理が通っていないがなぜなんだろう?」という好奇心から質問が飛んできて、うまく答えられないとグサグサと容赦なく鋭い質問を指してきます。

2つ目、教えるだけの教育は効果がありません。
一般的な教育、研修は「こういうものだから、次からはやってね」という伝え方で何とかなります。
しかし、地頭がよく、それでこれまで上手くやってきた彼ら/彼女らは、そうした伝え方をしても全く動きません。
体験して納得してもらおうにも、中途半端なケーススタディや演習ではかえって逆効果になることもあります。

3つ目、説明難易度が高いです。これは意外に思う人も多いのではないでしょうか?
「地頭がいいとなんでも理解してくれるんじゃないの?」というためです。
しかし、実は違います。
私の経験上、地頭がいい人の半分くらいは、物事の理解の仕方が一般の人とはずれているようにも感じます。その人が悪いわけではありませんが、彼ら/彼女らの理解のフレームに合わせて、腹落ちさせる説明をしなければ、理解してくれません。

Q.じゃあ、どんなスキルが必要なの?
1つ目の『説明や教育方針にブレがあると刺される』に対して必要なスキルについてですが、個人の勉強や経営層との方針すり合わせといった裏方の努力です。書き出すとこれだけで記事2~3本は軽くかけちゃうので、今回は割愛します。

2つ目の『教えるだけの教育は効果なし』に対して必要なスキルは、「演技力」です。
私は新米コンサルタントへの教育に演習を多く取り入れます。
そして、演習では「めんどくさいお客さん」「言うことを聞かないベンダー」等、役を演じ切ります。
必要に応じて怒鳴ったりすることもあります。※もちろんアフターフォローはします
そこまでして演技する理由は、演技が中途半端になると演習の質が半減するからです。
「本気で考えて取り組まないと失敗する」という意識をもって取り掛かる状況を作らなければ、彼ら/彼女らは演習から何も学べません。
逆に、現場と同じ緊張感を持ったまま演習を繰り返すと、現場に出た時に普段と変わらないパフォーマンスを出すことができます。
そのため、コンサルタントの教育には「演技力」が必要です。

3つ目の『説明難易度が高い』に対して必要なスキルは、「例え力」です。
彼ら/彼女らに刺さる例えを出して、腹落ちさせることができるかどうかが勝負になります。
例え方も一辺倒ではなく、様々な角度から刺さりやすいようにバリエーションを持たせます。
大学の授業で例えたり、野球やサッカーで例えたり。コンプライアンス上よくありませんが、人によっては下ネタで例えることもよくあります。
そうした様々な角度から打っていき、刺さる例えを見つけるのです。


では、今日はここまでにしましょう。

おしまい

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