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はじめてのSCM(コンサルタント・商社マン必見)

今回は、ビジネスマンなら必ずといっていいほど関わるSCMの基礎についてご説明いたします。
特にコンサルタントや商社マンは絶対に知っておいて損はない知識だと思いますので、今のうちに概要だけでも抑えておきましょう。
また、動く金額も大きい領域なので、仕事の規模も大きくなることが多いです。成果を上げたい人は必ず把握しておくことをお勧めします。

①SCMとは


SCM(Supply Chain Management)の略語ですが、以前はQR(Quick Response)やECR(Efficient Consumer Response)と言われることもありました。
サプライチェーンは、原材料の調達⇒製造⇒物流⇒販売⇒消費者の流れが主なステークホルダーです。
これに加え、卸が入ってくるイメージを持っておけば基本的には問題ありません。

ただの横流しか。と感じるのも無理はありませんが、なぜこのSCMという領域が重要され、難しいとされているのでしょう。
課題となるテーマはいくつもありますが、多くは在庫とリードタイムです。
在庫に関して、受注残という言葉を聞いたことはありますでしょうか。受注残とは、需要に対して供給が足りないときの差分のことを示します。
つまり、買い手がいるのに製品が追い付いていない状態です。せっかく売れる機会なのに、販売する製品が準備できていない企業からは購入者は逃げていきます。今後取引をすることはなくなってしまうかもしれません。購入者にとっての顧客に迷惑をかけることになるのですから。
リードタイムに関して、企業ごとに必要数量のデータベースが違ったり、フォーマットの違いから連携に時間を要したり、発注タイミングのずれから販売店に届くまでかなりの時間を要するなど様々な要因から課題が創出されます。(こちらが受注残の原因になることもあります)

これらを効率よく取りまとめ、全体最適に近づけていく役割がSCMであり、企業の生命線になるわけです。
重要性と難しさの感覚は掴むことができましたでしょうか。(興味が湧いた人は、参考図書も最後にご紹介しますのでぜひご覧ください。)


②物流


SCMの基礎は、システム上の数量と現物が一致していることといわれます。実現するために5S(整理、整頓、清潔、清掃、躾)が使われます。
ここで重要なことは、コストと収益性のバランスをとることです。
在庫を常にたくさん抱えれば、上記で説明した受注残の状況に陥ることはなく、常にCS(顧客満足度)を高い状態で維持できます。
そのため売り上げも上昇し、継続的な取引が可能になるでしょう。ただ、在庫を抱えることはコストになります。
生産ラインの増築、倉庫の拡張、搬送回数の増加などなど、考えだしたらきりがありません。
どの商品をどれだけどこで保有すべきなのか、商品数の分だけ組み合わせがあるので完全な正解を出すことはかなり困難ですが、最適数に近づけていくことが求められます。その計算をするために、システム上の数量と現物が一致していることが重要なのです。

③絡み合う計画


販売計画⇒需給計画⇒生産計画⇒調達計画
この流れで川下から情報は流れていきます。
つまり、市場で売れているものが判明してから調達計画に反映されるまでのタイムラグが、製品のリードタイムにもつながります。
全てのデータベースが共通化され、フォーマットも統一されていればこの情報共有をスムーズに行うことが可能ですが、現実でそうはいきません。
どの企業が妥協して、フォーマットを変更するのか、どの企業がデータを取りまとめるのか、情報セキュリティは万全なのか、などなど障壁が複数存在します。そのため、利害調整に始まり、様々な予測を組み合わせ、どんなパターンにも対応できる準備をする企業が多いのですが、本来あるべき姿からは遠く感じます。念のための作業が多いことはコストの増大に繋がりますから。
よって、生産や物流の制約条件を把握し、責任の所在を明確にすることが全体最適に近づけていくうえで必須となります。

④SCMの重要なポイント


・受注⇒出荷⇒納品のプロセス短縮
上記を達成するためにとられる手法がBPRです。無駄な作業がないか、より効率的に作業を進めるにはどうするべきかを考え、業務フローを再構築します。今まで慣習的に行っていた作業等もすべて見直し、あるべき姿に近づけることが求められます。
・業務の標準化
自動化を視野に入れながら、優先出荷や出荷前の受注-引き当てのルール等を定めます。
ヒトの判断が介在すると利害関係にも影響を及ぼし、全体最適からは離れていきます。そのため、指標を定め機械的に判断できる環境を整えることが求められます。
他にもポイントはいくつかありますが、まずは上記を抑えておくことが重要かと思われます。
①~④のイメージが湧いたら、次のポイントへ自己学習を進めるといいと思います。

⑤まとめ(+参考図書)


ステークホルダーの多さから、敬遠されがちな領域かもしれませんが取引規模が大きいため、責任感のある大きな案件に発展することも少なくありません。コロナにより、新しいサプライチェーンの姿も議論されていますが、まずはどうあるべきなのか自分の考えを持てるようになりましょう。
そうすることで、あるあるべき姿とのギャップが理解でき、課題解決に一歩近づくことができます。
参考図書「SCMの基本」著:石川和幸さん がおススメです。

以上、SCMの基礎をご紹介しました。
ご質問等があれば、コメントやTwitterのDMまでご遠慮なくどうぞ。

またご覧いただけますと幸いです。ご精読ありがとうございました。

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